「配送状況の確認と「置き配」について」はAmazon詐欺!ゼロ幅文字で正体を隠しスマホだけ偽の人間確認画面に誘導する手口

通販の利用が増える季節を先取りしてか、「置き配」をテーマにした詐欺メールが届きました。今回は文面そのものに仕掛けられた、ちょっと変わった小細工を中心に解析します。
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
件名:[spam] 配送状況の確認と「置き配」について
差出人表示名:【Amazon】配送状況のお知らせ
送信元アドレス:smgqj@smgqj.m9526.com
送信元IP(Received-SPF client-ip):20.127.23.115(Microsoft Azure、AS8075/米国バージニア州)
DKIM署名:送信元ドメイン自身の署名に加え、正規メール配信サービス「SendGrid」の署名も付与されており、SendGrid経由で配信されていることが分かります
受信日時:2026年9月5日 14:15
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載
ご覧の通り、このメールはAmazonを装った真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです(見えない文字の混入部分は省略しています)。
【本日お届け】ご注文商品の配送について 常々Amazon.co.jpのサービスをご信頼くださり、誠にありがとうございます。 ご注文番号:501-7787731-908412のお荷物は、本日配達を実施する運びとなっております。 お届け先のご住所並びに受取方法(「置き配」)の設定に誤りがございませんか、配送状況ページにて事前にご確認のほどよろしくお願いいたします。 なお、配達の状況によっては、担当の配送スタッフからお電話または ショートメッセージにてご連絡を差し上げる場合がございます。あらかじめご了承くださいませ。 [ご配送状況をご確認ください] ※リンク先のページは、スマートフォンからご確認くださいますようお願いいたします。
実際に届いたメールの表示画面(受信者情報は含まれません)
■ 偽装判定:本文に仕込まれた見えない文字
正規のAmazonからのメールは「@amazon.co.jp」等の公式ドメインから送信されます。本メールの送信ドメイン「smgqj.m9526.com」は無作為な文字列で、Amazonとは一切関係がありません。
【ゼロ幅文字の埋め込み】:
本文をよく調べると、件名や文章の随所に「ゼロ幅文字」と呼ばれる画面上には一切表示されない特殊な文字が大量に埋め込まれていました。HTML形式で普通に表示している分には気づきませんが、メール本文をプレーンテキスト表示に切り替えたり、HTMLソースを直接確認したりすると、単語の途中に不可解な文字コードの羅列が挟まっていることが分かります。
プレーンテキスト表示に切り替えると、隠されていた文字コードがそのまま可視化される
このゼロ幅文字を単語の間に挟むことで、「配送」「置き配」といったキーワードをそのまま検出する単純なフィルターをすり抜けようとする狙いがあると考えられます。さらに本文の末尾には、画面には表示されない長いランダムな文字列も隠されており、メールごとに中身のデータを微妙に変えることで、同一内容とみなして弾く重複検知の仕組みを回避しようとしているとみられます。
💡「ここで!」ゼロ幅文字ってどうやって見つけるの?
ゼロ幅文字は、その名の通り「幅がゼロ」の、画面に何も表示されない特殊な文字です。メールソフトの通常のHTML表示ではまったく気づけませんが、見分ける方法があります。メール本文をコピーしてメモ帳などのプレーンテキストエディタに貼り付ける、あるいはメールソフトの「元のメッセージを表示(ソース表示)」機能でHTMLコードを直接見る、という方法です。今回のメールも、プレーンテキスト表示に切り替えたことで、単語の間に挟まれた大量の不可解な文字コードが浮かび上がりました。
■ フィッシングサイト詳細解析(クローキングを確認)
誘導リンク:
hxxps://kaikuo5.com/zJcx2J3N6z.ne.jp(末尾に「.ne.jp」を付け、日本の正規ドメインのパスであるかのように見せかけるトリック)
誘導先IP:43.167.196.60(Tencent Cloud、AS132203/東京都渋谷区のデータセンター所在地であり、攻撃者自身の所在地を示すものではありません)
【パソコンからのアクセス】:「404 Not Found/The page never existed on this site.」という素っ気ない表示のみで、一見何もない普通のサーバーに見えるよう偽装されています。
パソコンからのアクセスでは、何もないかのような404エラーが表示される
【スマホからのアクセス】:一方でスマートフォンからアクセスすると、「サイトへの接続が安全かどうか確認しています」という偽の人間確認(CAPTCHA風)画面が表示されました。この画面を通過させることで、自動巡回するセキュリティ調査ツールやbotをふるい落とし、本物の被害者候補だけを次の画面へ進ませる仕組みとみられます。
スマートフォンでのみ表示される、偽の「人間確認」画面
【サイトの状態】:今回の調査では、この人間確認画面を通過した後、無関係な動画サイトへ転送される結果となりました。本来の狙いである偽ログイン画面などには到達しませんでしたが、パソコン・調査環境・条件次第で表示先を細かく変える、非常に手の込んだ振り分け構造になっていることがうかがえます。
■ 過去記事とのインフラの重なり
今回の誘導先ASN・所在地(Tencent Cloud、東京都渋谷区)は、直近の楽天Android詐欺キャンペーンで確認した一次誘導IPと同一のデータセンター区画でした。ブランドや手口は異なりますが、同じホスティング区画が複数の詐欺グループ・複数のキャンペーンで使われている実態がうかがえます。
■ 注意点と対処法
- 「見た目が普通」でも安心しない:見えない文字が仕込まれていても、表示上は完全に自然な文面に見えます。
- メール内のリンクは絶対にタップしない:「スマートフォンからご確認ください」という誘導自体が、パソコンでの調査・検知を避けるための不自然な指示です。
- 「人間確認」画面が出ても進めない:Amazon公式が配送確認の前にこのような認証を求めることはありません。
- 公式サイト・公式アプリで確認:配送状況は、必ずAmazon公式アプリやブックマークした公式サイトからご確認ください。
- 公式の注意喚起も参照:Amazon公式「フィッシング詐欺メールによる被害を防ぐ3つのポイント」
本レポートの結論
Amazonを騙り「置き配」確認を口実に偽サイトへ誘導する詐欺メールで、見えないゼロ幅文字によるフィルター回避と、パソコン・スマホで表示を変えるクローキングという二重の偽装が確認されました。見た目の自然さに惑わされず、リンクは絶対にタップしないことが一番の防御です。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで『これ気をつけて!』と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Forest
















