Apple「Trade In下取り査定結果」詐欺メール、まさかの自爆——本文に「このメールの怪しいポイント」という種明かし文がそのまま残っていた

お昼休みにパッと見た瞬間、思わず二度見してしまうようなメールが届きました。「iPhoneの下取り査定が終わりました」という内容で、5万円を超えるギフトカードが受け取れるとのことですが……本文の最後まで読むと、攻撃者自身のとんでもない忘れ物が見つかりました。
ご覧の通り、このメールはAppleを装った真っ赤な偽物です。iPhoneを下取りに出した覚えがなくても、覚えがあっても、リンクは絶対にタップしないでください。この記事のURLをご家族のLINEグループで共有して注意を呼びかけてください。
詐欺メール本文の再現
※以下は届いた詐欺メールの本文をそのまま再現したものです。宛先部分は伏せています。
〇〇 様 平素よりAppleをご利用いただき、誠にありがとうございます。 お送りいただいた iPhone 14 の下取り査定が完了いたしました。査定結果は 以下のとおりです。査定額を受け取るには、受取方法の登録が必要です。 ■ 査定結果 査定対象:iPhone 14(128GB) 査定額:52,000円(Apple Gift Card) 査定完了日:2026年8月26日 受取期限:2026年9月10日 受取期限を過ぎますと、査定額は無効となります。お早めに以下のボタンから 受取方法の登録をお願いいたします。受取には、ご本人確認のためお支払い 情報の登録が必要です。 [査定額を受け取る ボタン] ご不明な点がございましたら、サポートページをご覧ください。 Copyright (C) 2026 Apple Inc. All rights reserved. 〒106-6140 東京都港区六本木6丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー(日本)
■ 実はメールの続きに、こんな文章が残っていました(原文ママ)
トレーニング:このメールの「怪しいポイント」 ・査定額が相場より高い金額に設定され、クリックを誘引している ・ギフトカードの受取と称して、お支払い情報の登録を求めている ・受取期限を区切って急かしている ・ボタンのリンク先が Apple の公式サイトではない このようなメールを受け取ったら、リンクをクリックせずに破棄してください。
これは本来、フィッシング詐欺の見分け方を教えるための「研修用サンプルメール」に書かれているはずの解説文です。攻撃者がこのテンプレートをそのまま流用し、削除し忘れたまま実際の詐欺メールとして送信してしまったと考えられます。皮肉なことに、この文章自体が「これは詐欺です」という一番分かりやすい証拠になっています。
送信ルート及び偽装判定
■ 送信元はGoogle Cloud、返信先だけ「apple.co.jp」を偽装
メールを実際に送信したのはhmcyx.yizuihao.comというドメインで、送信元IPは35.219.78.245でした。このIPを逆引きするとgoogleusercontent.comという表示になり、大手クラウドサービス「Google Cloud」のサーバーを借りて送信していることが分かります。一方で、メールに「返信」しようとした場合の宛先だけはcontact@apple.co.jpという、いかにも公式らしいアドレスが設定されていました。実際に送っているドメインとは無関係で、見た目の信頼性を演出するための小細工です。
■ テキスト版とHTML版で、誘導先を2つ用意
このメールにはテキストだけの版とデザイン付きの版が同時に入っており、それぞれ別のリンク先が仕込まれていました。文章だけの版はhxxps://login.chinacraftsnet[.]com/…、デザイン付きの版(実際に表示される方)はhxxps://www.hzznyey[.]com/…という、まったく別のドメインです。どちらもCloudflareという大手サービスの裏に隠れており、実際にどこで運営されているかまでは特定できませんでした。

▲ リンクにアクセスした際の読み込み中画面。

▲ 最終的にはファイアウォールによってアクセスが拒否された。
なお、パソコンとスマートフォンの両方で同じ画面が表示されることを確認しており、端末によって表示を変える「クローキング」は行われていませんでした。
💡「ここで!」用語解説:Apple Trade Inって何?
Apple Trade Inは、使わなくなったiPhoneなどをApple公式に下取りに出し、査定額をApple製品の購入代金に充当したり、ギフトカードとして受け取ったりできる、実在する正規のサービスです。ただし正規の手続きでは、Apple公式サイトやApple Storeで直接申し込む必要があり、身に覚えのないメールで突然「査定完了」の連絡が来ることはありません。
注意点と対処法
- 下取りに出した覚えがなければ、それだけで詐欺と判断できます:身に覚えのない「査定完了」通知は無視してください。
- 「ギフトカードを受け取るのに支払い情報が必要」という矛盾に注意:お金を受け取るはずなのに支払い情報を求められること自体が不自然です。
- 期限で焦らせる文言は詐欺の定番:「〇日までに」という表現が出てきたら、一度立ち止まって確認してください。
- Apple関連の手続きは公式サイト・公式アプリから:メール内のリンクではなく、ご自身でブックマークした正規のページから確認してください。
本レポートの結論
Appleを騙る「Trade In下取り査定完了」メールは、Google Cloudから送信され、返信先だけ公式風に偽装するなど手が込んでいる一方で、本文にフィッシング啓発研修用の「種明かし文」をそのまま残してしまうという、なんとも間の抜けたミスが見つかりました。攻撃者のミスに笑ってしまう一方で、リンクの仕掛けそのものは実際に個人情報を狙うものです。身に覚えのない「査定完了」通知が届いたら、内容を信じずそのまま削除してください。この記事のURLをご家族と共有して、注意を呼びかけていただければと思います。
調査日:2026年9月2日 / Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
※本記事に記載のIPアドレス・ロケーション情報は調査時点のものであり、日々変化する可能性があります。
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Teal(PRIMARY #134e4a / ACCENT #e65c00)















