【続報】アメックス「ポイント情報のご案内」詐欺、キット制作者の「テスト用サンプル」文言が丸見えに

今回はアメリカン・エキスプレスを騙るポイント失効系の詐欺メールをご紹介します。以前にも似たテーマの記事を公開していますが、今回は本文の末尾に、思わぬものが残されていました。
ご覧の通り、このメールはアメリカン・エキスプレス公式を装った真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。
■ メール本文の再現
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。
平素はアメリカン・エキスプレス®・カードをご利用いただき、誠にありがとうございます。 本メールは、保有いただいているメンバーシップ・リワード®・ポイントの有効期限が近づいている会員様へお送りしております。 メンバーシップ・リワード®・ポイントは、入会日を基準としたプログラム年度(1年毎)で管理されており、各プログラム年度に獲得したポイントは3年後のプログラム年度末に失効いたします。 ▼失効対象ポイント 82,000ポイント ▼ポイントの確認・交換はこちら https://ameknxbrebobo.com/account/ 獲得いただいた大切なポイントを、航空マイルやホテルポイント、アイテム交換などにぜひお役立てください。 送信元:アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド 〒105-6923 東京都港区虎ノ門4-1-1 神谷町トラストタワー ※本メールはテスト用途のサンプルです。実際の配信に使用する場合は、事前に社内法務・コンプライアンス部門の承認を得てください。

実際に届いたメールの画面。本文の一番下に注目
本文の一番最後をご覧ください。「※本メールはテスト用途のサンプルです。実際の配信に使用する場合は、事前に社内法務・コンプライアンス部門の承認を得てください。」という一文が、そのまま残った状態で送信されていました。これは詐欺師本人が書いたものではなく、詐欺メール作成用のテンプレート(フィッシングキット)に、制作者側が付けていた注意書きだと考えられます。送信前に消し忘れたか、あるいはそもそもこの文面を精査せずそのまま流用したのでしょう。
■ 用語解説:フィッシングキットとは?
近年の詐欺メールの多くは、犯罪者が一からデザインしているわけではなく、「フィッシングキット」と呼ばれる既製のテンプレート一式(メール文面・偽サイトのデザイン・送信システムなど)を購入、あるいは闇市場で流通しているものを流用して作られています。キット制作者は自身の身元や意図を隠すため、あるいは購入者への注意喚起として「テスト用」「実運用前に承認を得ること」といった文言をあらかじめ埋め込んでいることがあり、それが今回のように消し忘れという形で表に出ることがあります。詐欺が「個人の犯行」ではなく「分業化・ビジネス化された産業」であることを示す象徴的な痕跡です。
■ 件名バリエーションにご注意
当ラボでは以前、同じくアメリカン・エキスプレスの「ポイント失効」を口実にした詐欺メールを解析しています。今回の件名「【8月】ポイント情報のご案内」は、その時とは異なる表現ですが、狙いも手口の骨格も酷似しています。件名を変えながら繰り返し送りつけてくるのが、この種の詐欺メールの典型的な特徴です。1通見破れれば、似た件名のメールもすべて疑ってかかってください。
■ 送信ルート及びフィッシングサイト解析
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
Received-SPF解析:
Received-SPF: Softfail; client-ip=222.230.170.9; helo=kf-ypugox.5-min.jp
送信元IPロケーション:222.230.170.9(ARTERIA Networks Corporation/Vectant、千葉県浦安市、法人向け回線)
SPF認証結果は「Softfail」で、正規に運用されているドメインでは通常起こらない状態です。送信元は法人向け回線と判定されており、何らかの形で乗っ取られた企業ネットワークが悪用されている可能性があります。
■ 誘導リンクの解析
誘導先URL(伏せ字):hxxps://ameknxbrebobo.com/account/
リンクをクリックすると、ウイルスバスタークラウドが即座に「安全ではない可能性があります」という警告を表示しました。

ウイルスバスタークラウドによる警告画面。この時点でアクセスを中止するのが正解
警告を越えて先へ進むと、本物のアメリカン・エキスプレス公式サイトによく似たログイン画面が表示されます。

最終着地点の偽ログイン画面。デザインは本物に酷似しているが、URLはアメリカン・エキスプレスと無関係
■ 注意点と対処法
■ こんなメールに要注意
- URLをクリックしない:リンク先は情報を盗むための精巧な偽サイトです。
- 公式サイトやアプリから確認する:ポイントの有効期限は、必ず公式アプリまたはブックマークしたマイアカウントページから確認してください。
- 件名のバリエーションに惑わされない:件名を変えて何度も送りつけてくる手口です。
- 不自然な文言が残っていないか確認する:「テスト用サンプル」のような制作者側の注意書きが残っている場合、詐欺メールである強力な証拠になります。
アメリカン・エキスプレス公式の「アメックスを騙った迷惑メール(フィッシング詐欺)にご注意ください」ページにも、実例や対処法が詳しく掲載されています。あわせてご確認ください。
本レポートの結論
メールの文面自体は精巧に作り込まれていましたが、末尾に残された「テスト用サンプル」の一文が、この詐欺が既製のフィッシングキットを流用したものであることを図らずも証明していました。手口の巧妙さと、こうした「うっかりミス」は表裏一体です。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
使用配色テーマ:Amethyst














