Amazon「番地をご確認いただご通知」は詐欺!Google Cloud送信×Alibaba Cloud着地、正規ESPヘッダーを模した新手口を解析

HL-META: date=2026-08-21 | brand=Amazon(確認用記号列・番地確認通知なりすまし) | sender_geo=オランダ(Google Cloud Platform) | site_geo=シンガポール(Alibaba Cloud) | spf=pass(攻撃者ドメイン自体の認証、Amazon公式とは無関係) | dkim=pass(同上) | cloaking=unknown

今回は、Amazonを騙る詐欺メールの中でも、少し毛色の違う新パターンをご紹介します。「番地をご確認いただご通知」という、どこか不自然な日本語の件名が目を引きました。

【実録】Amazon「番地をご確認いただご通知」の正体:正規ESPヘッダーを模した新手口とGoogle Cloud×Alibaba Cloudの送受信基盤を解析

Heartland-Lab (ハートランド・ラボ) 専門調査レポート

緊急性レベル ★★★☆☆(3/5)
偽装工作精度 ★★★★☆(4/5)※正規ESPヘッダーの模倣+画像盗用

件名:[spam] 番地をご確認いただご通知

送信者表示名:アマゾン <incqox@incqox.coachsformula.com>

受信日時:2026年8月21日 11時40分頃

※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載

ご覧の通り、このメールはAmazon公式を装った真っ赤な偽物です。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。

■ 大量の件名バリエーションを確認

今回のメールが届く直前、当編集部には同じような「コード」「番号」「照会」といった単語を使った、微妙に異なる件名のAmazonなりすましメールが立て続けに届いていました。「コード発行のご案内」「検証作業コードをご連絡いたします」「照会数字列をご説明します」など、いずれも意味は通じるものの、どこか機械的で不自然な日本語表現が共通しています。おそらく件名を自動生成・ローテーションさせながら、迷惑メールフィルターの検出を回避しようとしていると考えられます。

■ メール本文の再現

※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。

確認用の記号列をお控えください

平素より格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。

お客さまのご稼働に際し、登録中身との一致を確認させていただくことがございます。その際に必要な確認用のコードが、下記のご連絡ページに記載されております。

お手数ではございますが、下記のご報告ページをご了承の上、番号列をお控えいただき、ご運用の場面で入力してください。番号は安全な場所にお取り扱いいただきますようお願いいたします。

ご相談な点がございましたら、下記のお知らせページより詳細情報をご承知ください。

[確認用の記号列を確認する]

本メッセージは正式なご説明として配信されております。
ご返信をいただきましても お受け取りいたしかねますので、所定のお問い合わせ窓口をご活用ください。
本メッセージの明細につきましては、大切にご管理いただきますようお願いいたします。

実際に届いたメールの画面。「確認用の記号列」「番号列」といった聞き慣れない言い回しが特徴

「登録中身との一致を確認」「ご稼働に際し」など、日本語として不自然な言い回しが随所に見られ、機械翻訳や自動生成による文面である可能性が高いと考えられます。それでもAmazonのロゴと配色を使うことで、一見の信頼感を演出しています。

■ 送信ルート及び偽装判定:正規ESPヘッダーの模倣

■ メールヘッダー解析(送信者情報)

Received-SPF解析:
Received-SPF: Pass; client-ip=34.147.99.19; helo=incqox.coachsformula.com

送信元IPロケーション:34.147.99.19(Google LLC/Google Cloud Platform、オランダ・フローニンゲン)

SPF認証は「Pass」ですが、これも「incqox.coachsformula.com」という攻撃者側ドメイン自体の認証が通っているだけで、Amazon公式であることの証明にはなりません。

今回のヘッダーで注目すべきは、「List-Unsubscribe」「List-Unsubscribe-Post」「Feedback-ID」「Precedence: bulk」といった、正規のメール配信サービス(ESP)が大量配信メールに付与する標準的なヘッダー項目が一通り揃っていた点です。これは、配信停止リンクの提供などを義務付ける海外の迷惑メール規制(例:CAN-SPAM法)に対応するための体裁であり、攻撃者が正規のマーケティングメール配信の仕組みを模倣、あるいは実際にそうしたプラットフォームを不正利用して送信している可能性を示しています。

■ 用語解説:ESP(メール配信サービス)の悪用とは?

企業が大量のメールを配信する際に利用する専用サービスを「ESP(Email Service Provider)」と呼びます。正規のESPは配信停止(オプトアウト)の仕組みを標準搭載しており、そのためのヘッダー項目が自動的に付与されます。詐欺グループがこうしたESPのアカウントを取得・悪用したり、その体裁だけを模倣したりすることで、迷惑メールフィルターに「正規の配信メールらしい」と誤認させようとする手口が確認されています。

さらに、メール内で使われているAmazonロゴ画像は、Amazon公式のサーバーではなく「deepzone.jp」という無関係な実在サイトから直接読み込む「ホットリンク」の手法が使われていました。これは、以前当ラボで解析した別のAmazonなりすましメールと共通する特徴で、同一の詐欺キットが使い回されている可能性が高いと考えられます。

■ フィッシングサイト詳細解析:二段階リダイレクトの先

■ 誘導リンクの解析

本文中の誘導先URL(伏せ字):hxxps://bgabrasivi.com/dag/wogd

最終着地先URL(伏せ字):hxxps://r382wl.com/Am2az-0ncO-jp-jp/

着地先IPアドレス:47.236.136.61(Alibaba Cloud LLC/AS45102 ALIBABA-CN-NET、シンガポール)

メール内のボタンをクリックすると、まず別ドメインへ転送され、最終的に「r382wl.com」というドメインへ着地します。このドメインに対しては、ウイルスバスタークラウドとGoogle Chromeの両方が独立して危険性を検知し、警告を表示しました。

ウイルスバスタークラウドによる警告。URLに「Am2az」というAmazonを連想させる文字列が使われている

Google Chromeのセーフブラウジング機能による独立した警告。二重に危険性が確認された形

警告を越えて先へ進むと、本物のAmazonログイン画面に酷似した偽ページが表示されます。

最終着地点の偽ログイン画面。デザインは本物に酷似しているが、URLはAmazonと無関係

■ 注意点と対処法

■ こんなメールに要注意

  1. 不自然な日本語のメールは疑う:機械的な言い回しは詐欺メールの明確なサインです。
  2. 「確認用のコード」を求めるメールに注意:正体不明な「番号列」「記号列」の入力を求める手口は目的が曖昧な分、かえって危険です。
  3. セキュリティソフトやブラウザの警告は絶対に無視しない:2重の警告が出た時点でアクセスを中止してください。
  4. メール内のリンクは絶対にクリックしない:必ずご自身でAmazon公式サイトへアクセスしてください。

Amazon公式の「Amazonを装ったフィッシング詐欺メールによる被害を防ぐ3つのポイント」も、あわせてご確認ください。

本レポートの結論

不自然な日本語の件名を大量にローテーションさせ、正規のメール配信サービスの体裁まで模倣する——手口の巧妙化がうかがえる一件でした。以前解析した別のAmazon詐欺と酷似した構造もあり、同一グループによる使い回しの可能性があります。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。

Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net

使用配色テーマ:Charcoal

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