「マイル有効期限延長サービスの改定内容」はANA詐欺——ゼロ幅文字がCSSまで破壊する杜撰な実装とOracle Cloud悪用の手口

HL-META: date=2026-08-13 | brand=ANA | sender_geo=unknown | site_geo=アメリカ | spf=pass | dkim=unknown | cloaking=unknown

夏休みシーズンも終盤、飛行機での帰省や旅行を終えた方も多い時期です。そんなタイミングにぴったり合わせるように、マイルにまつわる詐欺メールが届きましたのでご紹介します。

📋 調査レポート:概要

対象ブランド ANA(全日本空輸)を騙るなりすましメール
件名 [spam] マイル有効期限延長サービスの改定内容
受信日時 2026年8月13日 12時41分
危険度評価 ★★★★☆(見た目の完成度は高いが、セキュリティソフトが即座にブロックするレベルの危険サイトに誘導される)
送信元 Oracle Cloud(AS31898)経由、正規SaaS「Zendesk」を悪用
誘導先 米ニューヨーク州バッファロー(RackNerd LLC)

⚠️ このメールはANA(全日本空輸)とは一切関係のないなりすましメールです

本文中のリンクは絶対にクリックしないでください。

📧 実際に届いた詐欺メール

実際に届いたメールがこちらです。ANAのロゴやコーポレートカラーを模した、一見すると本物らしい体裁になっています。

▲ 「マイル有効期限延長サービスの改定内容」を騙る偽メール。現在無料の延長サービスが「500マイル必要」に変わるという体裁で不安を煽っている

※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載です。

🔍 ゼロ幅文字がCSSまで壊していた

今回のメール、送信者名からしてすでに偽装が仕込まれていました。表示上は「ANAからのお知らせ」となっていますが、データを詳しく見ると次のようになっています。

実際のデータ:A[見えない文字]NAか[見えない文字]らの[見えない文字]お知ら[見えない文字]せ
画面表示  :ANAからのお知らせ

これまでご紹介してきたゼロ幅文字(画面には表示されない特殊な文字)を使った偽装ですが、今回はその使い方がこれまで確認した中でも群を抜いて過剰でした。件名の一部を調べただけでも、たった十数文字の中に5箇所ものゼロ幅文字が確認できました。

さらに驚いたのは、このゼロ幅文字の挿入処理が本文の日本語だけでなく、メールを装飾するためのCSS(見た目を整める指示書のようなもの)にまで無差別に紛れ込んでいたことです。本来「html」「body」と書かれるべき指示の文字と文字の間にまで、見えない文字が挟み込まれていました。

💡 ここで! CSSに変な文字が混ざるとどうなるの?

CSSは、コンピューターが「ここは青色にする」「ここは大きな文字にする」といった見た目の指示を理解するための、厳密なルールに従って書かれた指示書です。そこに本来あってはいけない見えない文字が混ざると、コンピューターがその指示を正しく理解できなくなり、意図した通りの表示にならないことがあります。恐らく攻撃者は、メール本文全体に対して「機械的に見えない文字をばらまく」処理を一括でかけてしまい、本来は文章にだけ仕込みたかったはずのゼロ幅文字が、指示書の部分にまで誤って混入してしまったのでしょう。

迷惑メールフィルターの目をかいくぐるための小細工のはずが、自分たちの作った偽サイトの見た目まで壊しかねないという、なんとも本末転倒な話です。

🌐 誘導先サイトの状況

本文中の「延長手続きへ進む」ボタンをクリックすると、まずウイルスバスターが「安全ではない可能性があります」と警告を表示しました。

▲ 1つ目のリンク先(ana-mileage.lpsgpw.com)に対する警告。「脅威の種類:フィッシング」と明記されている

警告を確認して先に進むと、次のような見慣れない「安全チェック」という画面が表示されました。

▲ 「安全確認」「安全チェック」と称する謎の中間ページ。実際の安全確認とは無関係とみられる

この画面を経由すると、別のドメイン(mileage-club.bozhouxd.com)に転送され、そこでも再びウイルスバスターが「安全ではない可能性があります」と警告を表示しました。

▲ 2つ目のリンク先(mileage-club.bozhouxd.com)に対する警告。こちらもフィッシングと判定されている

当サイトで両方のドメインを調べたところ、ドメイン名は違うのに、実際に紐づいているサーバーのIPアドレスは完全に同一でした。見せかけのドメインを複数用意し、間に「安全チェック」という尤もらしい画面を挟むことで、警戒心を薄めてから最終的な偽サイトへ誘導する狙いとみられます。

2度の警告を乗り越えてたどり着く先は、次のような精巧な偽ログインページでした。

▲ 本物のANAマイレージクラブのログイン画面を模した偽ページ。お客様番号とWebパスワードの入力を求めてくる

⛔ 詐欺サイトURL(絶対にアクセスしないでください)

hxxps://ana-mileage.lpsgpw.com/vip
hxxps://mileage-club.bozhouxd.com/mamber

⚠️ 注意点と対処法

  • マイルの有効期限や延長サービスの内容は、メール内のリンクからではなく、ANA公式サイト(ana.co.jp)または公式アプリに、ご自身でブックマークや検索から直接アクセスしてご確認ください。
  • セキュリティソフトが「危険」と警告を出した場合、その警告を無視して先に進まないでください。今回のように、警告を突破した先にはさらに巧妙な偽サイトが待ち構えていることがあります。
  • 「お客様番号」や「Webパスワード」の入力を求めるページが、メール経由で開いたものである場合は特に警戒してください。
  • 万が一入力してしまった場合は、速やかにANA公式サイトからパスワードを変更し、身に覚えのないマイル利用がないか履歴をご確認ください。

📝 まとめ

今回のANAを騙る偽メールは、見た目の作り込みや2段階の誘導という手間のかかった構成である一方、ゼロ幅文字をCSSにまで機械的にばらまいてしまうという、技術的には粗い一面も持ち合わせていました。セキュリティソフトの警告は、こうした手の込んだ詐欺サイトに対する最後の砦です。警告が出たら、それ以上先へは進まないようにしてください。

⚠️ マイルの案内はANA公式サイト・公式アプリで直接確認を!

セキュリティソフトの警告が出たら、そこで引き返してください。

Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit / IPアドレスの詳細な位置情報はip-sc.netを参照しています。
※本記事は2026年8月14日時点の情報をもとに作成しています。詐欺の手口は日々変化しており、記載内容と実際の被害状況が異なる場合があります。

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