有りもしない口座振替を提示して 相変わらず週明けのフィッシング詐欺メールの量は膨大…(-_-;)  最初の作業は、既出のものとそうでないものの仕分けから始まります。  さて、そんな週明け1本目のエントリーはこちらの「三井住友カード」の成りすましです。     有りもしない架空の口座振替の通知で、ユーザーを騙しリンクから詐欺をたくらむものです。  では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。  件名は  「[spam] お支払い日が近づいております 2022/04/18 3:46:41」  末尾のタイムスタンプは、このメールに信憑性を持たせるためのものと思われます。  この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。  このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている  ものは全て迷惑メールと判断されたもの。  うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと  否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。  差出人は  「”三井住友カード” <xdqnwp@asaya.co.jp>」  「三井住友」さんには、れっきとした”smbc.co.jp”ってドメインをお持ちです。  ”asaya.co.jp”ってどこのドメインだろうと思いし調べてみると、 宮城県気仙沼市にある漁具を  作っている「アサヤ株式会社」って企業さんのもの。  なぜそのような会社のメールアドレスが使われているでしょうか?  その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。    このアドレスは偽装です では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。  ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。     | Return-Path: 「<xdqnwp@asaya.co.jp>」  ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される  メールアドレスです。  一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に  偽装可能なフィールドなのであてにできません。   |     | Message-ID:「<8F774049132AB1964C0B98E582FA5BCE@asaya.co.jp>」  ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。  このIDは世の中に1つしかありません。  ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。  ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。   |     | Received:「from asaya.co.jp (unknown [153.125.225.216])」  ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む  自局のホスト情報です。  ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。  すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。  記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。   |       まずは、”asaya.co.jp”について情報を取得してみます。  このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら  差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり  処罰の対象とされます。  ※特定電子メール法違反  ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金  ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金  さて、どう出るのでしょうか?     ”183.90.242.49”がこのドメインを割当てているIPアドレス。  ”Received”に書かれているのが”153.125.225.216”ですから全く異なるので、この方はやはり  アドレス偽装を行っています。  この差出人、「アサヤ」さんに恨みでもあるのでしょうか?  ”Received”のIPアドレス”153.125.225.216”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。  このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。     ああ、コイツいつもの「さくらインターネット」ユーザーですよ。  今回は長野県上田市にあるサーバーを利用したようですね。  このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。    詐欺サイトは無防備に放置されたまま では引き続き本文。     平素は三井住友カードをご利用いただき、誠にありがとうございます。  お支払い日が近づいてまいりましたので、ご案内いたします。 次回の口座振替金額につきまして、  先日お知らせしたご請求金額が変更となりましたので、下記の通りご案内いたします     変更前口座振替金額:361,500 円  変更後口座振替金額:401,000円  口座振替日:2022年04月19日  |       本当に三井住友銀行カードのユーザーさんにこのようなメールが届いたらびっくりしますよね。  ちょうどありそうな金額だし。(;^_^A  このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。  そのリンクは「ご利用明細のご確認はこちら」って書かれた黄色いボタンに張られていて、  リンク先のURLがこちらです。     間違えないでくださいよ!  三井住友銀行のドメインは”smbc.co.jp”ですが、このURLのドメイン部分は”smbc.bgrd.jp”ですから  全く異なります。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。     おっと、まだ「安全」ってウソでしょ?  ということは、現在も詐欺サイトはノーマークのまま無防備に放置されているって事?!  このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。  評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。  このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”smbc.bgrd.jp”  このドメインにまつわる情報を取得してみます。     持ち主は、「お名前.com」さん。  ということは、詐欺サイトを運営しているのは、「お名前.com」のユーザー。  このドメインを割当てているIPアドレスは”202.61.137.20”  このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。     利用されているプロバイダーは、中国系の「CTG Server」  ピンが立てられのは「東京都千代田区九段南」付近と、時々見かける地図です。  この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。  安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。  やはりウイルスバスターに遮断されることなく平然と無防備に放置されておりとても危険な状態です。     何とか一刻も早くご対処願いたいものです。(汗)    まとめ ここにたどり着いたら最後!  偽サイトは、サイトを丸ごとダウンロードし、それを元にして作られているため本家サイトと  全く見分けが付きません。  現在もしれっと運営されているのでここにたどり着くまでに何とか、フィッシング詐欺メールで  あることに気が付いてください!  いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;  |