ロゴ名称が中国語?!
最近流行りの「auのお客様」から始まるこのメール。
ちょっとだけ件名を変えて同じ内容を何度も何度も送ってきます。
下図は送られてきたままの状態。
これだとauのロゴがセキュリティーによってマスクされているものだからそのロゴの名称が
そのまま露出。(笑)
とても日本人の私には読めません…
では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【重要】auサポートのお知らせ、情報を更新してください。メール番号:M2140」
末尾のメール番号なる数字は、このメールに信憑性を持たせるためのもの。
でも件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールであることは明白。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"auto" <bhrisb@service.n2rdv.cn>」
「auto」は、きっと「auから」英語にしたつもりなんでしょうね。(笑)
でも残念ながら「au」さんには、れっきとした”au.com”ってドメインをお持ちです。
それなのにこのような”n2rdv.cn”なんて中国のトップレベルドメインを使った
メールアドレスで大切なユーザーにメールを送るなんて絶対にあり得ません!
まあ、このメールアドレスだって本当に差出人のものかどうか眉唾ものです。
やっぱりアドレス偽装
では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「<bhrisb@service.n2rdv.cn>」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「<20220421220039228836@service.n2rdv.cn>」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from service.n2rdv.cn (unknown [198.23.137.104])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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まずは、”service.n2rdv.cn”について情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら
差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり
処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金
さて、どう出るのでしょうか?
ほらね!
”192.210.147.121”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
”Received”に書かれているのが”198.23.137.104”ですから全く異なるので、この方はやはり
アドレス偽装。
しっかり罪を償っていただきましょう!
”198.23.137.104”について少し調べると、このIPアドレスには全然別の”colocrossing.com”なんて
ドメインが割当てられているようです。
”Received”のIPアドレス”198.23.137.104”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられたのは、カナダにある「ハミルトン」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
なんとも長ったらしいURL
では引き続き本文。
auのお客様
いつもauをご利用いただき誠にありがとうございます。
お客様の月間のデータ通信量がご利用中のプランの上限を超過したため、
通信速度を低速に制限しております。
通信速度制限中にそのまま使い続けた場合、超過料金は発生しますので、
早めに解除手続きの程よろしくお願い致します。予めご了承ください。 |
「月間のデータ通信量がご利用中のプランの上限を超過した」ってのは、auを騙ったメールの
典型的な内容です。
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「au IDログイン」って書かれたところに張られていて、リンク先の
URLがこちらです。
クソ長いURLですね。
auに成りすますフィッシング詐欺サイトのドメインは”.dev”が圧倒的に多い気がします。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されており、カテゴリは「フィッシング」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”sweet-shadow-6b5d.mildredjwitherspoonf47.workers.dev”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
殆どが「REDACTED FOR PRIVACY」と書かれていてプライバシー保護でマスクされていました。
唯一分かったのは、このドメインは「101domain, Inc.」ってアメリカのIT企業で管理されている
ことくらい。
このドメインを割当てているIPアドレスは”104.21.35.80”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、カナダの「旧トロント市庁舎」付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
「Error 1101」ってエラーが返されてサイトは表示されませんでした。
詐欺サイトは、捜査の手が及ぶのを恐れ、えてして時々姿をくらまします。
こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。
先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に
復活することが可能な状態です。
まとめ
今回は、中国とカナダにゆかりのある詐欺グループだったようですね。
統計的に見るとフィッシング詐欺犯は、圧倒的に中国系が多く、そのサイトの土壌は
何故かアメリカ西海岸に集中しています。
きっと同じグループが大量の詐欺メールや詐欺サイトを作っている結果なんだと思います。
相変わらず猛威を振るっているのは、コロナウイルスとフィッシング詐欺メール。
容器が良くなり開放的なシーズンとなりますが、今一度気を引き締めてまいりましょう!
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |