前書き 今回は、『iCloud』に成り済ます不審なメールのご紹介となります。 このところ頻繁に送られてくる Apple や iCloud を騙る不審なメール。 今日はこのようなメールが様々なメールアドレスを使って複数通送られてきています。 その中からこのメールを取り上げて調査することにいたしましょう。 件名:[spam] iCloudストレージがまもなく上限に達します – アップグレードのご案内 KB-97852745937。 送信者:”iCloud” <Tkgc.applestore.updateservice.mailTkgc@bushiroad-store.com> | iCloudチームよりお知らせ iCloudストレージの使用容量がまもなく上限に達します。現在の残りストレージは15.8MB(合計50GB)です。 月額¥450で200GBのiCloud+にアップグレード iCloudストレージは、写真やデータを安全に保管し、どこからでもアクセスできるようにするためのものです。デバイスを紛失してもデータは失われません。また、iCloud DriveやKeynote、Pages、NumbersなどのアプリもiCloudストレージを使用し、常に最新の状態でファイルを管理できます。 ストレージを引き続き利用するには、iCloud+にアップグレードするか、ストレージの使用量を減らす必要があります。 引き続きよろしくお願いいたします。 iCloudチーム 重要: ストレージ容量が上限を超えると、新しい写真やビデオのアップロードが停止し、デバイスのバックアップもできなくなります。また、iCloud DriveやiCloud対応アプリのデータ更新も停止します。 | このメールは、iCloudストレージの容量が上限に達するのでサブスクの有料サービスにアップグレードを促すもの。 でも残念ながら私は、既にアップグレード済みなのでこのような通知が来るはずがないのです。(笑) 件名の見出しを確認 この件名の見出しには”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 メールアドレスのドメインを確認 送信者として記載されているメールアドレスのドメイン(@より後ろ)は『bushiroad-store.com』 ここは送信者がいくらでもウソを書くことができる部分で絶対鵜呑みにしてはいけません。 もしこのメールが本当にApple からだとするドメインは『apple.com』となるはずですが、このメールはそれとは全く異なるドメインが使われています。 故にこのドメイン以外のメールアドレスで届いた同社からのメールは全て偽物と言うことになります。 因みに『bushiroad-store.com』は、カードゲーム、トレーディングカード、ゲームソフトの開発、製作、販売を行う『ブシロード』さんが運営する『ブシロードオンラインストア』さんのもので、当然偽装のために利用されています。 では、送信者の素性が分かるメールヘッダーの『Receivedフィールド』から情報を探ってみます。 こちらがこのメールのReceivedフィールドがこちらです。 Received: from C20250213225915.local (unknown [103.254.111.111]) | このReceivedフィールドの末尾にあるIPアドレスからメールの発信地を導き出してみると、香港付近であることが分かりました。 宛名を確認 通常 Apple からのメールの場合、冒頭に宛名として Apple のアカウント名(メールアドレス)が記載されているはず。 でもこのメールにはそれがありません。 このような大切なメールに宛名が無いのはとても不自然ですよね。 リンク先のドメインを確認 さて、本文の『月額¥450で200GBのiCloud+にアップグレード』と書かれた部分に付けられた詐欺サイトへのリンクですがURLは以下の通りです。 【h**ps://logaccount.com/%F0%9D%…..】あまりに長いので割愛しました… (直リンク防止のため一部の文字を変更してあります) これまた Apple のドメインとは異なるものが利用されていますね。 このドメインに関する詳しい情報を『Grupo』さんで取得してみます。  『Registrant Organization(ドメインの所有者の情報)』欄に『Super Privacy Service LTD c/o Dynadot』とありますが、これはドメインレジストラであるDynadotが提供するプライバシー保護サービスで、このサービスを利用することで、ドメイン登録者の個人情報が公開WHOISデータベースに表示されるのを防ぎ、スパムや不正アクセスから保護しますが、逆にこのように犯罪者の情報までマスクされてしまうので近年は問題視されています。 このIPアドレスからそのロケーション地域を調べると、東京都杉並区付近であることが分かりました。  リンクを辿ってみましたが『404 Error: Page not found』と書かれた真っ白なページが開きました。 これはページが存在しないことを示すエラー表示で、偽サイトは既に削除された模様です。 ページタブにファビコンだけ付いているので、恐らく以前は偽サイトが存在していたもののこのサイトを設置しているレンタルサーバーが悪意に気付き、強制的にサイトを削除したものと思われます。 |