失われた企業名称
いつもご覧くださりありがとうございます!
10日からお休みの方が多いと思われますが、今年は異常に暑いので早くゆっくりしたいとお考えの方も多いことと思います。
お盆休みまでもうひと踏ん張り、頑張りましょう!
さて今回ご紹介するのはこちらのメール。
よくあるイオンカードを騙るフィッシング詐欺メールです。
このメールも最近よくある『ギルト・シティ』さんのドメイン(@より後ろ)を使った偽装メールアドレスが使われています。
冒頭の宛名は『イオンカード会員様』
これは詐欺メールならではで、差出人はどこからか入手した漏洩メールアドレスリスト宛にこのメールを送っているので、当然私の氏名なんてする由もありません。
故に当たり障りの無いこのような宛名を使っているのです。
そしてこれもイオンカードを騙る詐欺メールで時折見られるのですが、末尾の署名欄にある企業名の『イオンクレジットサービス株式会社』は、2023年6月1日に親会社のイオンフィナンシャルサービスに吸収合併され、もう解散してしまった企業です。
消滅した企業からメールが来るなんてあり得ませんよね!
ちゃんと調べないからこういうことが起きるのですよ!
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきます。
件名は『[spam] イオンカード:お客様の安全のための緊急連絡。』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は『"イオンフィナンシャルサービス株式会社" <informationAEONobk72hs@giltcity.jp>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
先にも書きましたがこのメールアドレスのドメインは、ファッションショッピングサイトの『ギルト・シティ』さんのもの。
そんな企業が詐欺メールに加担するなんて考えられないのでこのメールアドレスは偽装です。
1つ前に見たプロバイダー名と同じ
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from C20240802176242.local (unknown [45.207.207.135])』 |
ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので
このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くしたものがドメインと呼ばれるものです。
”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレは送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。
ここに記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報でこれを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
代表地点として地図に立てられたピンの位置は、ロサンゼルス付近。
あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。
そして送信に利用されたプロバイダーは『Fd-298-8796』
このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー
を介して届けられたようです。
あれ?このパターンって1つ前に書いた東京電力を騙った料金未払いをネタにする詐欺メールと同じじゃない?
『詐欺メール』『【案内】電気料金支払いの再確認。番号:AB-36660272586』と、来た件
詐欺サイトはシンガポールの山中で稼働中
では引き続き本文。
このたび、お客様のアカウントにおいて、通常とは異なる利用パターンが検出されました。お客様の資産を保護するため、一時的にカードの利用を制限させていただいております。
重要: セキュリティ確認手続きが完了するまで、カードのご利用が制限されます。お客様の安全を第一に考えての措置ですので、ご理解とご協力をお願いいたします。
以下の手順に従って、アカウントの確認を行ってください:
- 下記の「セキュリティ確認」ボタンをクリックし、専用ページにアクセスしてください。
- ログイン情報を入力し、本人確認を行います。
- 最近の取引履歴を確認し、不審な取引がないかご確認ください。
- セキュリティ質問に回答し、本人確認を完了させてください。
セキュリティ確認
なお、本メールに心当たりがない場合や、ご不明な点がございましたら、直ちにイオンカードコールセンター(0570-064-750)までご連絡ください。 |
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは『セキュリティ確認』って書かれたところに付けられていて、そのリンク先をコンピュータセキュリティブランドの『Norton』の『Nortonセーフウェブレポート』で検索してみるとこのように判定されていました。
既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。
このURLで使われているドメインは”iwneffs.top”
このドメインにまつわる情報を『Whois』さんと『aWebAnalysis』さんで取得してみます。
まずは『Whois』さんでドメイン情報を。
『si chuan』とあるのでこのドメインは中国の四川省の方が利用されているようです。
次に『aWebAnalysis』さんで割当てているIPアドレスの情報を取得します。
このドメインを割当てているIPアドレスは”47.237.74.60”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を
再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
代表地点として地図に立てられたピンの位置は、シンガポールの山中。
こちらもあくまで大雑把な代表地点でございます。
利用されているホスティングサービスは『Alibaba (US) Technology Co., Ltd.』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A
それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。
すると真っ先にChromeが真っ赤な画面でブロックしてきました。
どうやらGoogleでも危険なサイトとしてリストアップ済みのようです。
慎重に先に進んでみると、開いたのはこのサイトです。
本物そっくりのログインページ。
ここにIDとパスワードを入力してログインボタンを押してしまうと、その情報が詐欺師に流れてしまいます。
そして次に開いたページで個人情報を更新させると称しそれらの情報や、更にはカードの情報まで詐取されることでしょう。
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;
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