カゴヤさんっぽいけどカゴヤさんじゃない いつもご覧くださりありがとうございます! いよいよパリ五輪も始まりましたが、ヨーロッパも暑いんでしょうか? 一説によると気温は、日本(東京かな?)より5度くらい低く割と乾燥しているとかで 日本の大都市よりは過ごしやすそうですね。 その過ごしやすさが手伝って日本の選手団も良い成績が出せるよう頑張ってほしいと思います。 そんな話はさておき、今回も当然詐欺メールのお話です。 最近多くみられるのが、ホスティングサービスの『カゴヤ・ジャパン』(以降カゴヤ)さんを語るもの。 目的は、メールアカウントの乗っ取りのものがほとんどとなっています。 今回届いたのがこのメールです。 では、いつオンのように寸劇からどうぞ~ ん…? 『重大度の高いアラートがトリガーされましたって』 危なそうな雰囲気の言葉だけどなんのこっちゃだよ。 それにアカウントのアクティビティを確認して 潜在的な問題を解決してくださいってカタカナ難しすぎ…💦 ほんと横文字に弱いわね(笑) これはお父さんのアカウントで緊急の警告が 発せられたってことで、リンクに行って その警告を確認して問題を解決するように促すメールよ。 確かお父さんの使ってるレンタルサーバーは『カゴヤ』さん だったわよね? ちゃんとカゴヤさんのメールアドレスから来てるから 間違いないわ! ええ!やっぱり私のメールアカウントで何か起きているんだ! じゃリンクに行って処置しないといけないね💦 ちょっと待った! このメールなんだかおかしいですよ。 確かに差出人のアドレスはカゴヤさんのドメインだけど 返信先のアドレスが”postmaster@aq.xyz”だから これカゴヤさんのものとは全く異なりますよね。 それにリンク先のURLのドメインも”doubleclick.net”で これまたカゴヤさんのドメインとはかけ離れていますよ。 件名も『テナントは電子メールの送信を制限されています』 なんて意味が分からないし… ああ、本当だ! 慌ててリンクに行かなくてよかったよ。 Heartさんありがとうございます!! それにしてもホスティングサービスを騙るなんて 許せませんね! これは徹底的に調べてカゴヤさんに報告しますか! 寸劇、書くのに時間かかりますが楽しいですね(笑) では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『必要なアクション: 侵害される可能性があり、テナントは電子メールの送信を制限されています。』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 迷惑メールの類だといつもなら見出しに[spam]と付加されているのですが今回はどう言う訳か 付けられていません。 どうやってフィルターをすり抜けてきたのでしょうか? 差出人は『KAGOYA <member.0598@kagoya.jp>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 確かに”kagoya.jp”はカゴヤさんのドメインですが、だまされてはいけませんよ! 米国のシアトル付近から発信されたメール では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 ここに”127.0.0.1”と書かれているってことはローカル環境かは発信しているので この差出人はレンタルサーバーではなく自身が運営するメールサーバーを利用していますね。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”kagoya.jp”が差出人本人のものなのかどうかを 『Grupo』さんで調べてみます。 これがドメイン”kagoya.jp”の登録情報です。 間違いなくカゴヤさんが登録しているものです。 これによると”133.18.75.203”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”191.96.37.204”と同じ数字の羅列になるはずですが それが全く異なるのでこのメールのドメインは”kagoya.jp”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に危険性や送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで 確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) このIPアドレスを元に割り出した危険度は『脅威レベル:高』 その詳細は『サイバーアタックの攻撃元』表示とされています。 代表地点として地図に立てられたピンの位置は、米国のシアトル付近。 あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。 そして送信に利用されたプロバイダーも米国ワシントンに拠点を置く『Cogent Communications』 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー を介して届けられたようです。 レイキャビックの方が登録したドメイン では引き続き本文。 ※リンクのURLは直リンク防止のため一部の文字を変更してあります。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは本文に直書きされています。 これもカゴヤさんのドメインとは異なるものですね。 そのリンク先をコンピュータセキュリティブランドの『Norton』の『Nortonセーフウェブレポート』で 検索してみるとこのように判定されていました。 既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。 このURLで使われているドメインは”tsgeducationadminpanel.site” このドメインにまつわる情報を『Grupo』さんで取得してみます。 このドメインはアイスランドの首都レイキャビックの方が登録していますね。 割当てているIPアドレスは”67.223.118.243” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を 再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 代表地点として地図に立てられたピンの位置は、ニューヨークのマンハッタン付近。 こちらもあくまで大雑把な代表地点でございます。 利用されているホスティングサービスは、米国アリゾナ州フェニックスに拠点を置く『Namecheap, Inc.』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。 いつものパターンですね。 開いたのは『Active!Mail』と書かれたログインページ。 このActive!Mailはインターネットの環境があればどこからでも利用できるウェブメーラー。 カゴヤさんのサーバーにも用意されているものですが当然このページは偽物。 ここにIDとパスワードを入力させてそれらを盗み取ってメールアカウントを乗っ取り その乗っ取ったアカウントを利用して詐欺メールなどの悪意のあるメールを送信するために 悪用されます。 まとめ 今回はカゴヤさんユーザーが対象でしたが、それ以外にもたくさんのホスティングサービスを 騙るものもあるのでカゴヤさんユーザーでなくとも要注意です。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |