件名に♪がある東京電力からのメール いつもご覧くださりありがとうございます! 各地で梅雨末期の大雨があったりとジメジメした日が続きますが皆さんはいかがお過ごしでしょうか? ようやく当地では今週にも梅雨明けがありそうだとか、でも明けたら明けたで今度は猛暑。 また殺人の夏がやってくると思うとうんざりです。 さて今朝の話題はこちらの東京電力(以降東電)からのフィッシング詐欺メールです。 これまでにも何度か東電の別のメールをご紹介してきましたが、これまでのは全部未払い料金の督促。 でも今回は督促ではなく先月の利用料金をウェブ上で支払ってくださいと言う少しやんわりとしたもの。 あら、東電からのメールね。 今回からウェブから支払うシステムに変わったのかしら? 今までは自動引き落としだったのに急に変更になるなんておかしいわね? なんか件名の末尾に”♪”なんて付いてるってどうだろ? これってもしかして偽者かな? でもメールアドレスもリンク先のURLもちゃんと”tepco.co.jp”って 東電の公式ドメイン使ってるし、やっぱ本物じゃないか? いやいや、お兄さん。 簡単に信じてはだめですよ! こんな部分は誰でも簡単に偽装できますから。 じゃ偽装されているかどうかをこのメールを解体し 詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] 送電停止に関する重要なお知らせです料金のご確認はくらしTEPCO webでチェック♪』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”【東京電力エナジーパートナー】くらしTEPCO web” <mail@kurashi3.tepco.co.jp>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 果たして偽装されているのか否か、次項で詳しく見ていくことにします。 案の定、偽装 では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”kurashi3.tepco.co.jp”が差出人本人のものなのかどうかを 『Grupo』さんで調べてみます。 これがドメイン”kurashi3.tepco.co.jp”の登録情報です。 当然持ち主は東電とされています。 これによると”192.243.228.1”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”158.51.108.88”と同じ数字の羅列になるはずですが それが全く異なるのでこのメールのドメインは”kurashi3.tepco.co.jp”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで 確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 代表地点として地図に立てられたピンの位置は、東京都千代田区大手町付近。 あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。 そして送信に利用されたプロバイダーは、大阪に拠点を置く『DDPS Networks, LLC』 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このDDPSの メールサーバーを介して届けられたようです。 現在詐欺サイトは接続不能 では引き続き本文。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは、東電の公式ドメインを使い書かれていますが、当然これも偽装。 そのリンク先をコンピュータセキュリティブランドの『Norton』の『Nortonセーフウェブレポート』で 検索してみるとこのように判定されていました。 既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。 このURLで使われているドメインは”kurashi3tepcocojp.qpmhhzn.cn” このドメインにまつわる情報を『Grupo』さんで取得してみます。 このドメインの持ち主は、詐欺サイトのドメイン調査で時々見掛る お名前の方ながら『対応するIPアドレスがありません』ってことなので 現在は利用できないドメインです。 接続してみても当然このようにエラーが返されます。 恐らく危険を察してIPアドレスの割り当てを中止しURLに接続できな状態に変更したのでしょう。 まとめ 現在はこのURLを使った活動はできなくなっているので安心ですが、でもいつまたIPアドレスと 紐付けして復活させるか分からないので注意は必要ですね! 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |