似て異なるドメイン いつもご覧くださりありがとうございます! 最近、クレジットカードの不正利用をネタにしたフィッシング詐欺メールが大量に配信されていて 来る日も来る日も様々なカード会社の名を騙って送られてきています。 今日もこのように『三井住友カード』になりすますフィッシング詐欺メールが届きましたので ご紹介していこうと思います。 あら、私そんなところでiPhoneなんて買っていないわ。 これってカードの世に言う不正利用かしら? 差出人のメールアドレスも三井住友カードから送られてくる メールと同じドメイン(@より後ろ)だから本物だし。 20時間以内に返答しないとお金落されちゃいそうなので 急いでリンクから連絡しないといけないわね。 お母さん、簡単に信じちゃダメダメ! 差出人のメールアドレスよく見てください。 ドメインは”vpss.ne.jp”ですよね? でも三井住友カードの公式ドメインは”vpass.ne.jp”ですよ! それにこのメール、文章がおかしいし『消費行動』なんて普段使わないような 言葉を使っているし、更には署名欄のメールアドレスが全角アルファベット。 これ詐欺メールの『あるある』ですよ! 絶対にリンクを押してはいけません! そうなんです。 このメール本文の始まりが『それでも問題が解決しない場合は』なんておかしすぎます。 この不正利用されたとされる『スマホスピタル 住道オペラパーク店』のサイトを覘いてみると 大々的に『なりすましメール』の注意喚起が記載されています。 ではこの怪しいメール、いつものように解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] 【 三 井 住 友 】 ご注文のお取引状態が異常です。ご購入されたお店にご連絡ください。』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”自動メール通知” <user@vpss.ne.jp>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 ”vpss.ne.jp”は以下の通り現在空きドメインでいつでも取得可能です。 空きドメインを使ってメールの送信なんてできるはずないので やはりこのメールアドレスはウソですね! ヘッダーの”Received”を解析してみると では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 ほらほら、ここに”mail.sbqtgde.cn”なんて怪しい中国のドメインが 記載されていますよ! 本来ならここもメールアドレスのドメイン”vpss.ne.jp”が記載されるはず! 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 ”Received”に記載されているIPアドレス”110.41.125.205”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで 確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 代表地点として地図に立てられたピンの位置は、中国の広州市付近。 あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。 そして送信に利用されたプロバイダーも中国に拠点を置く『Hwcsnet』 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され この『Hwcsnet』のメールサーバーを介して私に届けられたようです。 ”Received”にあった”sbqtgde.cn”なんて怪しい中国のドメインも ついでに調べておきましょうか。 ああ、これ最近よく見掛ける中国の方のお名前が記載されていますね。 割当てているIPアドレスが”Received”のものと一致するので この差出人の本当のメールドメインは”sbqtgde.cn”で間違いありません! リンク先は無防備に放置中! では引き続き本文。 何度読み返しても違和感しかありません。 だいたい署名欄にわざわざ全角アルファベットで自分のメールアドレスなんて書きますかね?(笑) このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『払い戻しを完了する』って書かれたところに付けられていて、 そのリンク先をコンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』で 検索するとその危険度はこのように評価されていました。 ええ! 未評価なんて危険すぎますよ!! 早急に評価を変更していただけるように私から変更の申請を行っておきます。。 このURLで使われているドメインは”sports-tycoon.com” って、もう三井住友カードの欠片も無いスポーツ用品店のようなドメインが使われたもの。 このドメインにまつわる情報を『Grupo』さんで取得してみます。 このドメインは『お名前.com』さんを介して取得されていますね。 割当てているIPアドレスは”172.67.155.164”と出ました。 このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を 再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) もう何度この地図を見たことか… カナダのトロント市庁舎付近にはいったいどれだけの詐欺サイトが 集まっているんでしょうか? こちらもあくまで大雑把な代表地点でございますことをお断りしておきます。 利用されているホスティングサービスは『Cloudflare』 この辺りに設置された『Cloudflare』のウェブサーバーに リンク先の詐欺サイトは構築されているようですね。 トレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価からすると、リンク先の 詐欺サイトは、どこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われます。 そんなサイトに、調査を目的で安全な方法を利用して訪れてみることにします。 やはり案の定あっさりと開いてしまったのはこのような偽サイト。 とても危険な状態です!(・・;) 本物そっくりのログインページですがあくまで偽サイト。 ここにIDとパスワードを入力してログインボタンを押してしまうと その情報が詐欺師に流れてしまいます。 そして次に開いたページで個人情報を更新させると称しそれらの情報や 更にはカードの情報まで 詐取されてしまい不正利用されて詐欺に遭うことになります。 まとめ 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |