なぜか差出人のメールアドレスが中国ドメイン いつもご覧くださりありがとうございます! クレジットカードって実にたくさんの種類がありますよね。 私は4枚程度しか持っていませんが皆さんは何枚持っていらっしゃるでしょうか? このクレジットカードってカード番号とセキュリティーコードさえ知っていればカードを持っていなくても ネットショッピングできてしまうので便利な反面とても危険なものと言えます。 そんなクレジットカードの情報を聞き出そうとする詐欺メール、皆さんの所にもきっとたくさん送られて きていることと思います。 今回もそんな詐欺メールの情報をご紹介しようと思います。 そのメールがこちら。 TS CUBIC CARDから来月の支払い明細の案内が届いたわ 最近のカード会社は便利ですね! 引き落としがいくらあるか見ておかないと不足があると大変大変! お姉さんちょっと待った! これはトヨタファイナンス株式会社は発行する『TS CUBIC CARD』の 情報を盗み出すことが目的の所謂フィッシング詐欺メールですよ。 差出人のメールアドレスに違和感ありませんんか? そう、彼が言うように差出人のものとして表示されているアドレスは”ts3card.com1@rxkyetk.cn” この”.cn”は中国に与えられた国別ドメイン。 国内の企業であるトヨタファイナンス株式会社がわざわざ中国のドメインを使ったメールで 利用者に案内を送るなんておかしいですよね! では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] お支払い予定金額のご案内 TS CUBIC CARD』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”MY TS CUBIC” <ts3card.com1@rxkyetk.cn>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 このメールアドレスも偽装?! では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”rxkyetk.cn”が差出人本人のものなのかどうかを 『WebAnalysis』さんで調べてみます。 これがドメイン”rxkyetk.cn”を割当てているIPアドレスの情報です。 これによると”107.175.15.146”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”23.95.17.22”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”rxkyetk.cn”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ええ?この人ここに書いてある『TS CUBIC CARD』じゃないでたらめな メールアドレスまで偽装しているなんて… 信じられないわ! ”Received”に記載されているIPアドレス”23.95.17.22”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に危険性や送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで 確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) このIPアドレスを元に割り出した危険度は『脅威レベル:高』 その詳細は『サイバーアタックの攻撃元』表示とされています。 このIPアドレスって既に危険なものとして『IP調査兵団』さんでは 周知されているようです! そして代表地点として地図に立てられたピンの位置は、アメリカのシアトル付近。 あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。 そして送信に利用されたプロバイダーはカナダに本拠を置く『HostPapa』 これらの調査結果からこのメールは、シアトル付近に設置された デバイスから発信され、HostPapaのメールサーバーを介して 私に届けられたようです。 詐欺サイトは削除済み では引き続き本文。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは3箇所付けられていて、どれも同じURLにリンクしています。 そのリンク先をGoogleの『透明性レポート』で検索するとサイトステータスはこのように レポートされていました。 既に危険なサイトとしてしっかりブラックリストに登録済みですね。 このURLで使われているドメインは”qait.cn” もうここまでくると『TS CUBIC CARD』もへったくれもありませんね。(;^_^A このドメインにまつわる情報を『Grupo』さんで取得してみます。 中国の国別ドメインが示すようにこのドメインの持ち主は中国の方のようです。 割当てているIPアドレスは”104.21.64.104” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を 再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 代表地点として地図に立てられたピンの位置は、詐欺サイトあるあるのトロント市庁舎付近。 こちらもあくまで大雑把な代表地点でございます。 利用されているホスティングサービスは『Cloudflare』 リンク先の詐欺サイトはカナダのトロント市庁舎付近に設置された 『Cloudflare』のウェブサーバー内に構築されているようですよ。 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。 が、開いたのは『404 Not Found』と記載された真っ白なエラーページ。 このエラーは、サーバー自体は存在するもののページが削除されたか 正常に読み込むことができなかったことを示すものです。 恐らく犯人は危険を恐れページを削除したか、それともサーバー側が 危険を察知してページを削除したのでしょう。 まとめ このリンク先が削除されたからと言っても安心はできません。 また別のサーバーに詐欺サイトを移設して新たなメールを仕掛けてくる可能性は大! とにかく世知が無い世の中、メールやSMSには細心の注意を払ってください。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |