件名と本文が乖離 いつもご覧くださりありがとうございます! 東京電力や東京電力エナジーパートナーの名を騙り、未払いの電力料金があるとリンクに誘い込む フィッシング詐欺メールが大変増えています。 これらのメールはきっと皆さんの所にも多く届いていることと思いますが、今回ご紹介するのはこれではなく こちらの自称『水道局』を名乗る者からのメールです。 これ、水道局を名乗ってはいるもののどの地域の水道局なのかさっぱり分かりません。 でも著作権表示にある『Bureau of Waterworks Metropolitan Government』とあるので どうやら『東京都水道局』になりすましているようです。 それに3日以内に支払わない場合は、72時間後に『停電』が発生すると…(;^_^A それ停電じゃなくて『断水』じゃないかと。。。 そんなの小学生でもわかりません?? どうせ東京電力の詐欺メールの内容をコピペして直し忘れたとかなんでしょうけど。 更には件名に『ご請求料金確定のお知らせ』と書いてあるにも関わらず本文は未払い料金の督促と 件名と本文で内容が食い違います。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] 【水道局】ご請求料金確定のお知らせ』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”水道局” <admin@fjhtwv3j9.com>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 メールアドレスのドメイン(@より後ろ)は、その企業や団体を表すもの。 東京都水道局のオフィシャルサイトにてURLを確認してみると”waterworks.metro.tokyo.lg.jp”が 公式なドメイン。 でもここに書かれているのは”fjhtwv3j9.com”でそれとは全く異なります。 故にこのメールは東京都水道局からのもではないことがここではっきり分かります。 どうして水道局のメールがアメリカから? では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 では、メールアドレスにあったドメイン”fjhtwv3j9.com”が差出人本人のものなのかどうかを 『Grupo』さんで調べてみます。 これがドメイン”fjhtwv3j9.com”の登録情報です。 本当か嘘か分かりませんが、このドメインはメキシコの高地に位置する都市アグアスカリエンテスの方が 所持しているもの。 これによると”142.171.26.161”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 もちろんこのメールは東京都水道局からではありませんが”Received”のIPアドレスと全く同じ数字なので このメールアドレスは差出人ご本人さんのもので間違いなさそうです。 ”Received”に記載されているIPアドレス”142.171.26.161”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで 確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 代表地点として地図に立てられたピンの位置は、アメリカカリフォルニア州のサンタクラリタ付近。 あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。 そして送信に利用されたプロバイダーもロサンゼルスの『Multacom Corporation』 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー を介して私に届けられたようです。 『リンクエント』は詐欺メールの特徴 では引き続き本文。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『支払いの詳細リンクエント』って書かれたところに付けられています。 この『リンクエント』という意味不明の言葉、公共料金未払いを謳う詐欺メールではよく見掛ける言葉。 以前にも『BinAI』で一度調べたことがありましたがその意味合いは以下の通りでした。 やはりどう考えても『支払いの詳細』につながる言葉ではありません… さてそのリンク先をコンピュータセキュリティブランドの『Norton』の『Nortonセーフウェブレポート』で 確認するとこのように判定されていました。 スパムの疑いがあるので注意が必要との判断です。 このURLで使われているドメインは”91mcb.net” このドメインにまつわる情報を再び『Grupo』さんで取得してみます。 メールアドレスのドメインと同じメキシコのアグアスカリエンテスの方が所持しているものですね。 まあ普通に考えれば同じ人物でしょうね。 このドメインを割当てているIPアドレスは”118.194.236.155” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を 再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 最近この地図よく見掛けますね。 代表地点として地図に立てられたピンの位置は、日本大学鶴ヶ丘高等学校総合グラウンド研修館付近。 こちらもあくまで大雑把な代表地点でございます。 利用されているホスティングサービスは香港の『Ucloud Information Technology (Hk) Limited』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 『Nortonセーフウェブレポート』での危険度評価からすると、リンク先の詐欺サイトは、どこからも ブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われます。 そんなサイトに、調査を目的で安全な方法を利用して訪れてみることにします。 案の定、あっさりと開いてしまったのはこのような『水道局』と書かれた偽サイト。 なんか所々フォントが揃っていないおかしなページですね。 東京都水道局のサイトで確認しましたが、料金に関する支払い手続きや料金の照会などはウェブ上ではなく 専用のスマホアプリのみ利用可能なようなのでこのようなサイトは実在しません。 ここにメールアドレスとパスワードを入力しログインボタンを押すと次に氏名や住所、電話番号等を 入力させた上で、未払金を徴収するとしてクレジットカード情報を入力させられ詐欺に遭うことになります。 まとめ 光熱費は生活に欠かせない重要なインフラに対して支払うもの。 それをネタに詐欺を企むなんて非道極まりない行為ですので絶対に許してはいけません! 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |