『日本郵便局』ってどこにあるの?
いつもご覧いただきありがとうございます!
『日本郵便局』なる差出人で1通のメールが届きました。
『日本郵政』なら分からなくはありませんが『日本郵便局』ってそんな郵便局ありません。
もうこの時点でアウトですね。
それに『拝啓』とか『親愛なる』から始まるメールはほとんどが詐欺メールです。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきます。
件名は『お荷物のお届けが完了しました』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
おかしくない?
本文には『あなたの荷物は配達を待っています』とあるのに『お届けが完了しました』と…
意味が分かりません。
差出人は
『"日本郵便局" <noreply@iozkfge.cn>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
もしこのメールが日本郵政からだとしたら使われるドメインは”japanpost.jp”のはず。
でもこのメールアドレスのドメインは”iozkfge.cn”と中国の国別ドメイン。
百歩譲ってこのメールが日本郵政からだとしても中国のドメインは使わないですよね!(笑)
モスクワからのメール
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from noreply0.iozkfge.cn (unknown [194.147.86.221])』 |
ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので
このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは
送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”iozkfge.cn”が差出人本人のものなのかどうかを調べてみます。
これがドメイン”iozkfge.cn”の登録情報です。
これによると”194.147.86.221”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
もちろんこのメールは日本郵政からではありませんが”Received”のIPアドレスと全く同じ数字なので
このメールアドレスはご本人さんのもので間違いなさそうです。
”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
地図に立てられたピンの位置は、ロシアのモスクワ付近。
そして送信に利用されたプロバイダーは『LLC Baxet』
このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー
を介して私に届けられたようです。
詐欺サイトは無防備に放置されている
では引き続き本文。
あなたの荷物は配達を待っています
親愛なるお客さま、お世話になっております。お知らせがございます。お手数ですが、以下のリンクから身元の確認をお願いいたします。【リンクをクリックして身元を確認する】
配達完了の手続きを行うには、オンライン検証を3日以内に完了してください。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ご利用ありがとうございます。
日本郵便局
このメッセージは、システムから自動送信されています。個人情報の保護については常に十分な注意を払っており、お客様のプライバシーを尊重しています。万が一、不審な点や疑問がございましたら、お手数ですが直ちに弊社カスタマーサービスまでご連絡ください。 |
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは『【リンクをクリックして身元を確認する】』って書かれたところに付けられていて
そのリンク先は、コンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの
『サイトセーフティーセンター』での危険度はこのように評価されていました。
まだ新しいサイトなのでしょうか『未評価』とされていますね。
早急に評価を変更していただけるように私から変更の申請を行っておきます。
このURLで使われているドメインは”japanposit.xyiens.top”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
このドメインは中国安徽省(あんきしょう)の人物が取得しているみたいです。
割当てているIPアドレスは”43.153.134.4”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
地図に立てられたピンの位置は、杉並区立和泉二丁目公園付近。
利用されているホスティングサービスは、中国の『Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
トレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価からすると、リンク先の
詐欺サイトは、どこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われます。
そんなサイトに、調査を目的で安全な方法を利用して訪れてみることにします。
難なくあっさりと開いてしまったのは郵便局と書かれた本物そっくりのサイトです。
ミスったのか2つ目の赤枠が切れちゃっていますね。
その下の『クーリエが向かっている』ってちょっとよく意味が分かりませんね。
この『クーリエ』とは国際宅配便のことなので海外からの荷物だとでも言いたいのでしょうか?
また『続きます』ってボタンも笑えますよね!(笑)
面倒なので先に進みませんが、恐らく個人情報を入力させられた上で、再配達料の徴収を装いクレジット
カードの情報を盗み出そうとするでしょうね。
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |