『親愛なるお客さま』 いつもご覧いただきありがとうございます! ようやく満開を迎えた桜、4年ぶりに満開が4月にずれ込んだ名古屋は4月に入り暖かい日が続いております。 さてそんな和やかな日々の静寂をぶち壊すようなメールが『日本郵便局』とやらから届きました。 これは私の私用メールアドレスに届いたものです。 この差出人、日本郵便(株)と郵便局をごっちゃにして『日本郵便局』なんて新しい会社を 作ってしまいましたね。(笑) 出ました『親愛なるお客さま』 いくら旧お役所って言っても今時こんなあいさつ文書きませんよね。 もうこの『あいさつ文=詐欺メール』と考えても良さそうじゃないですか?(笑) なんでも住所情報が不十分で荷物がとどまっているらしいですね。 でもこれ、私が発送したのかそれとも私に届く荷物なのか分かりませんが、どうせ再配達料金が必要だとの 理由でクレジットカードの情報を盗み出すのが目的なのでしょうけど。 では、このメールを解体し誰がどこから送ったものなのか、どのような手段で詐欺を行うのか 詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『急いでおりますが、お荷物の到着を心待ちにしております』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 私用メールアドレスのサーバーにはスパムフィルターが無いのでいつものような[spam]スタンプは 付けられていませんが、何処からどう見ても悪意のあるフィッシング詐欺メールです。 差出人は 『日本郵便局 <info@delivery.post.japanpost.jp>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 日本郵便のオフィシャルサイトでURLを確認すれば簡単に分かりますが”post.japanpost.jp”は 日本郵便の公式なドメインです。 でもこのメールは明らかに詐欺メールなので偽装されています。 その辺り、次の項で詳しく見ていくことにしましょうか。 発信元は香港 では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”post.japanpost.jp”が差出人本人のものなのかどうかを 調べてみます。 これがドメイン”post.japanpost.jp”の登録情報です。 これによると”43.253.150.72”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”198.176.59.217”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”post.japanpost.jp”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレス”198.176.59.217”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。 ※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、香港の九龍地域 そして送信に利用されたプロバイダーは香港の『Hong Kong Communications International Co., Limited』 日本郵便からとされるこのメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーの メールサーバーを介して私に届けられたようです。 そんなこと考えられませんよね! 中国人が申請したドメインを使う詐欺サイト では引き続き本文。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『パッケージに従ってください』って書かれたところに付けられていて、 そのリンク先は、コンピュータセキュリティブランドのトレンドマイクロの 『サイトセーフティーセンター』での危険度はこのように評価されていました。 既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。 リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。 このURLで使われているドメインは”japanpoist.40q.top”と今度は日本郵便のドメインとは全く異なります。 まあここは偽装できませんからね! このドメインにまつわる情報を取得してみます。 これはWhoisにてドメインの取得情報を検索した結果です。 このドメインは中国の江蘇省から取得の申請が行われています。 では、このドメインを割当てているIPアドレスを検索してみます。 このドメインを割当てているIPアドレスは”198.12.81.148” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 地図に立てられたピンの位置は、アメリカのバッファロー付近。 利用されているホスティングサービスもバッファローにある『ColoCrossing』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 フランスでも詐欺を?! 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。 『結果を配達します』と、意味不明なことが書かれた郵便局らしきページが開きました。 なんか最上段のメニューの文字、これ理後じゃなくてフランス語ですね。 ん?右端の封筒アイコンの右側に『Laposte.net』とありますね。 これ調べてみると、どうやらフランス郵政公社が運営するフリーのメールアドレスを貸し出している 『La Poste(ラ・ポスト)』のドメインですね。 この差出人ってもしかしてフランス人宛でも詐欺メールを企てているのでしょうか? 『続きます』なんてこれまたおかしなことが書かれたボタンを押してみますね。 宛先情報を入力する画面が開きました。 『お客様の荷物を安全に確実に配達し、不測の被害や詐欺の発生を防ぐために、』と中途半端に言葉が 切れていますが、その先はどこに行ってしまったのでしょうか?(笑) それになぜだか住所欄だけ勝手に大阪の住所が仮表示されています。(^^;) 適当に入力して先に進んでみます。 すると今度はクレジットカード情報を入力させられます。 予想通り再配達料と称してカード情報を詐取しようとしています。 これが宅配業者を騙った詐欺メールでの奴らの手口です。 相変わらずメニュはフランス語ですね。(;^_^A まとめ 『日本郵便』と書くところが『日本郵便局』になっていたり、『親愛なるお客さま』という古典的な 挨拶が使われていたりと明らかにおかしいので騙される方はいらっしゃらないのではと思いますが 一応取り上げておきました。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |