私アカウント持ってません…
いつもご覧いただきありがとうございます!
最近の詐欺メールトレンドと言ったら『MyEtherWallet』絡み。
これはイーサリアム系の仮想通貨を保管できるウォレットとして有名ですが、このウォレットを
騙った詐欺メールがここ10日程急増しており、言葉巧みにリンク先の詐欺サイトへ誘い込み
アカウント情報を詐取されたりクレジットカード情報を盗み出されたりしますので、絶対に
リンクに接続しないでください。
今回ご紹介するのはこちらのメールです。
どうやらキャンペーンでエアドロップ・ボーナスがもらえるようです。
こりゃ貰わなきゃってことで、早速リンクから『MyEtherWallet』にログインしてもらってきます~♪
って、私アカウント持ってませんわ…(;^_^A
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきます。
件名は『[spam] [Binance] 無料でトークンがもらえるイベント、ETHFIトークンを受け取ることができます。』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
『"Binance" <do-jp-reply@binance.com>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
ここで出てくる『Binance』は、暗号通貨の1日の取引量が世界最大である暗号通貨取引所。
こちらの公式ドメインは”binance.com”でこのメールアドレスにも使われていますね。
でもこのメールは明らかに詐欺メールなので偽装の可能性は大!
その辺りを次の項でしっかり確かめていくことにします。
台湾から発信
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from rrpab.net (unknown [219.85.231.226])』 |
あらま、ここには『Binance』の物とは全く異なる”rrpab.net”なんてドメインが記載されていますね。
ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので
このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは
送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”binance.com”が差出人本人のものなのかどうかを
調べてみます。
これがドメイン”binance.com”を割当てているIPアドレスの情報です。
これによると”52.68.179.178”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来このIPは”Received”のIP”219.85.231.226”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので
このメールのドメインは”binance.com”ではありません。
これでアドレスの偽装は確定です!
”Received”に記載されているIPアドレス”219.85.231.226”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
地図に立てられたピンの位置は、台湾の台北付近。
そして送信に利用されたプロバイダーは『Sonet』です。
このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー
を介して私に届けられたようです。
詐欺サイトはシンガポールの山中に!
では引き続き本文。
【Binance】ETHFIトークンを受け取ることができます。
BinanceとMyEtherWalletが手を組み、当社をご愛顧いただいているユーザーの皆様へ、特別な感謝のしるしとして1,000,000 ETHFIのエアドロップ・ボーナスを提供する運びとなりました。この機会にぜひエアドロップを受け取り、当社の感謝の気持ちを直接感じましょう。
忠実なユーザーへの報奨:エアドロップは、当社が長年にわたり支えてくださった忠実なユーザーの皆様への感謝であり、エコシステムへの参加を促進するインセンティブとしても機能します。
ログイン – MyEtherWallet アカウント:
https://www.myetherwallet.com/wallet/access/
セキュリティのヒント:
パスワードを誰にも教えないでください。
バイナンスカスタマーサポートを名乗る人物からの電話番号には、絶対に電話しないでください。
バイナンスチームメンバーを名乗る人物には、絶対に送金しないでください。
Googleの2段階認証を有効にしてください。
アンチフィッシングコードを設定することで、アカウントにさらなるセキュリティを追加することができます。
www.binance.comをブックマークし、Binance Verifyを使用して、アクセスしているバイナンスドメインが本物であるかどうかを確認してください。
詳細については、Binance Accountのセキュリティを強化するための15個のヒントを参照してください。
こちらのアクティビティに見覚えがありませんか? すぐにパスワードをリセットして、カスタマーサポートにお問い合わせください。
これは自動メッセージです。返信しないでください。 |
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは『MyEtherWallet』の公式ドメインを使ったものが直書きされていますが
当然これも大ウソ!
コンピュータセキュリティブランドの『Norton』の『Nortonセーフウェブレポート』では
このように判定されていました。
既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。
リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。
このURLで使われているドメインは”myetherswallet.org”と、よく似てはいますがよく見れば違っています。
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
このドメインの申請を代行したのは、匿名で代行を行うことで知られる『PrivacyGuardian.org llc』
ここは申請者の情報を開示しないので、サイバー犯罪の温床として利用されることが多く問題視されています。
このドメインを割当てているIPアドレスは”134.122.197.45”
これを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。
(※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)
地図に立てられたピンの位置は、シンガポールの山中。
利用されているホスティングサービスもシンガポールの『Rackip Consultancy Pte. LTD』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A
それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。
本物の『MyEtherWallet』のオフィシャルサイトと見比べてみましたが、そっくりですね。
ここに間違ってログインしてしまうと『MyEtherWallet』のアカウントが盗まれてしまいますので
要注意です!
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |