『2,5000.00円』っていくら?
いつもご覧くださりありがとうございます。
今回は『MasterCard』にまつわる詐欺メールのご紹介です。
私のところに『緊急通知』と仰々しく見出しが付けられた件名のメールがクレジットカードブランドの
『MasterCard』から届きました。
『尊敬なる…』から始まるこのメール、こんな言葉を冒頭に持ってくるなんて初っ端から
目茶苦茶怪しいですね…(;’∀’)
これだけで私の中ではフィッシング詐欺メール確定です!
書いてある内容は、昨日3月3日に異常な取引が検知されたと、その内容は高級宝飾店にて2,500,000円の
支払いだとのこと。
でも取引金額に記載されている文字は『2,5000.00円』
ここにある”.”って小数点でしょうか?
いや、そうだとすると桁区切りの”,”(カンマ)の位置がおかしいですよね?
これはいくらと判断すれば良いのでしょうか…
そして取引ステータスは『確認待ち』ってことなので確認後に処理される状態なのですね。
まあ、どうでもよいですが…(笑)
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきますよ。
件名は『【緊急通知】MasterCardの異常な利用に関する確認』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
目につきやすいように見出しを【 】でくくっていますね。
差出人は
『"Mastercard" <info@mastercard.com>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
”mastercard.com”は確かにMasterCardさんの物ですが、当然これは偽装されています。
その辺りを次の項でじっくりと見ていくことにします。
差出人は、ここのホスティングサービスのユーザー
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from mail2.thetoneloft.com (hwsrv-1158639.hostwindsdns.com [104.168.172.204])』 |
ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーの情報。
すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。
メールアドレスにあったドメイン”mastercard.com”とは全く異なるドメインが記載されています。
いったいこれはどういうことなのでしょうね?…
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”mastercard.com”が差出人本人のものなのかどうかを
調べてみます。
これがドメイン”mastercard.com”を割当てているIPアドレスの情報です。
これによると”216.119.218.99”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来このIPは”Received”のIP”104.168.172.204”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので
このメールのドメインは”mastercard.com”ではありません。
これでアドレスの偽装は確定です!
”Received”に記載されているIPアドレス”104.168.172.204”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
まずは、このIPアドレスに何かドメインが割当てられていないかを確認してみます。
これによると”hwsrv-1158639.hostwindsdns.com”と言うドメインに割当てられているようです。
よく見りゃ”Received”に記載されていたのと全く同じじゃん!
このドメインはアメリカのワシントンの方が取得申請を行っていることが分かりますね。
因みにこの”hostwindsdns.com”は、アメリカのシアトルに拠点を置く『Hostwinds LLC』と言う
ホスティングサービスのもの。
恐らくですが、この差出人はこのホスティングサービスのユーザーで””hwsrv-1158639”と言う
サブドメインを与えられているものかと考えられます。
では次に、このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。
地図に立てられたピンの位置は、アメリカのシアトル付近。
送信に利用されたのは、やはり『Hostwinds LLC.』
このメールは、この付近に設置された『Hostwinds LLC.』のメールサーバーを介して
私の所に届けられたようです。
商号が『高級宝飾店』って
では引き続き本文。
尊敬なるMastercard会員様:
お知らせがございます。MasterCardのアカウントにおいて異常な利用が検知されました。お客様のアカウントの安全を確保するため、この利用についてご確認をお願いいたします。以下が該当する取引の詳細です。
日付: 2024年03月03日
異常取引の詳細:
商号: 高級宝飾店
取引金額: 2,5000.00円
日付: 2024年03月03日
取引ステータス: 確認待ち
もし、これらの取引が正しいことを確認されたい場合は、以下の確認リンクをクリックしてください:[確認リンク]
もし、これらの取引に疑問や不審がある場合、またはあなたがこれらの取引を行っていないと考える場合は、直ちにお問い合わせください:00531-11-3886。
アカウントの安全を確保するため、これらの取引を速やかに確認し、必要に応じてアカウントのパスワードを変更することをお勧めします。また、確認が完了するまで、アカウントを一時的に凍結する場合がございますので、ご了承ください。
お客様にご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんが、ご理解とご協力に感謝いたします。お客様のアカウントの安全を確保するため、最善を尽くします。
何かご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。良いご縁をお祈り申し上げます。
敬具、 |
メールをそのままコピペしているので誤字等はご了承ください。。
商号が『高級宝飾店』って…
一般的に商号って社名のことだと思いますが。。。
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは『確認リンク』って書かれたところに付けられていて、
そのリンク先のURLを無料でウェブサイトのセキュリティ診断を行っている『gred』さんでの
危険度評価がこちらです。
既にしっかりブラックリストに登録済みですね。
このURLで使われているドメインは”bronzagemagique.com”と、もうMasterCardとはかけ離れたもの
が使われています。
では、このドメインにまつわる情報を取得してみます。
中国の新疆ウイグル自治区の方が申請されたとされるこのドメインを割当てている
IPアドレスは”192.3.105.203”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。
地図に立てられたピンの位置は、アメリカの『ダラス』周辺。
利用されているホスティングサービスは、カナダに拠点を置く『HostPapa』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A
それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。
どこからもブロックされることなく無防備に放置されていたのはMasterCardのログインページを
模したもの。
ど初っ端からクレジットカード情報を求めてきましたが、『続け』ってボタンが何とも…です。(;^_^A
まとめ
メールアドレスが偽装されていたのがミソですね!
騙されて偽サイトは出誘導されたとしても『続け』で気付きますよね?(笑)
でも恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |