『親愛なる』を見かけたら、それは…
同じ件名で内容の違うメールをいくつも送ってくる詐欺メール。
この件名で今までに2度ネタ書いてるから今回正直出しにくいっての!(笑)
ってなわけでこの件名で三周目です…
以前のブログエントリーが気になる方はこちらのリンクをご利用ください。
で、三周目のメールがこちら。
『親愛なるお客様』って変でしょ?
こんな冒頭の書き出し、普通の日本人は通常使いません。
使うなら『お客様各位』とかでしょ。
詐欺メールでよくある「親愛なる」から始まり最後は「ありがとう」で終わる本文。
これ、英語の Dear と Thanksの直訳ですよね?
ってことはもしかして作者は日本の方ではないとか?…(;^_^A
そいえば本文もどことなくおかしな感じですね。
このメールは、心当たりのない請求をネタにリンクから詐欺サイトに誘導し、クレジットカード情報や
個人情報を盗み出しその情報を利用して詐欺を行おうとする悪質な行為です。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は『[spam] 【重要】イオンカードからの重要なセキュリティ更新』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
『"イオンカード" <Small-******@patterson-himself.jdy66.com>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
このアカウント名で”*****”としてある部分には、私のメールアドレスのアカウント名が書かれています。
最近この手のメール多く見られますよね。
この差出人、はっきり『イオンカード』と宣言をしている割にはメールアドレスのドメインが
イオンカードさんのものとは全く異なるチャランポランなものになっています。
因みにイオンカードさんの公式ドメインは”aeon.co.jp”っすね。
まぁでもこの”patterson-himself.jdy66.com”なんてドメインも眉唾物ですけどね。
その辺りは次項で詳しく…
やっぱり偽装じゃん
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from patterson-himself.jdy66.com (unknown [106.75.85.65])』 |
ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので
すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”patterson-himself.jdy66.com”が差出人本人のものなのか
どうかを調べてみます。
これがはこのドメインを割当てているIPアドレスの情報です。
これによると”52.71.57.184”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来このIPは”Received”のIP”106.75.85.65”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので
このメールのドメインは”patterson-himself.jdy66.com”ではありません。
”Received”に記載されているIPアドレス”106.75.85.65”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。
地図に立てられたピンの位置は、中国上海市にある『楊浦区(Yangpu)』近郊。
送信に利用されたのも中国の『Ucloud』と言うプロバイダーです。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようですが
最近イオンカードを騙る詐欺メールでこのパターン多くない??
リンクで使われていたのは空きドメイン
では引き続き本文。
【重要】イオンカード 本月の請求明細の確認
親愛なるお客様、
イオンカードをご利用いただき、誠にありがとうございます。お世話になっております。
この度は、お客様のアカウントに関する大切なお知らせがございます。お手数をおかけいたしますが、以下の内容をご確認いただき、請求明細の正確性をご確認くださいますようお願い申し上げます。
請求明細の概要
・請求金額:59800 円
・支払い期日:2024.02.25
請求内容の確認方法
請求内容をご確認いただくには、以下のリンクをクリックしてください:
請求明細の確認
もし何か不明点や誤りがございましたら、速やかに当社までご連絡ください。お客様の安全とセキュリティを最優先に考え、いつも信頼いただき誠にありがとうございます。
今後ともイオンカードをご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
よろしくお願いいたします。
イオンカード株式会社
カスタマーサービス部 |
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは『請求明細の確認』って書かれたところに付けられていて、
そのリンク先のURLとトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での
危険度評価がこちらです。
おやおや?
未評価ってどうしてでしょうね?
『新たに確認されたドメイン』とあるので、まだ新しくて評価の対象にされてないってことでしょうか?
後ほどそんなサイトなのか覗いてみましょうね!
で、このURLで使われているドメインは”hxblxbekrhagjcyusvm.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
まずは割当てているIPアドレスから。
おっと!IPアドレスを判別できなかったと返されました。(^^;)
これはもしかして…
ってことで、このドメインが存在するのかしないのかを『お名前.com』さんで確認してみます。
ほらやっぱり!
このドメイン空いてて今すぐにでも取得可能になっています。
空きドメインでサイト運営はできません。
それでトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価が『未評価』だったんですね。
リンク先はエラーで表示することはできないので被害に遭うことはないでしょう。
まとめ
この詐欺師、危険を感じたのかサイトを閉鎖して更にはドメインまで放棄して逃げ出したようですね。
でも恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |