マジでメールデリバリーサービスだったりして(笑) 『尊敬するお客様』から始まり『敬具』で締めるなんて大変マナーの良いビジネスメールですよね~ 一体だれが何の目的に送ってきたのでしょうか?  あはは、またしてもイオンカードじゃん。 マナーはよしとして、『尊敬する顧客様、』って、メールの目的からしてアカウントのセキュリティーに 関する内容なので、『顧客様』じゃなくてお客様の氏名を書かないと説得力なんてありませんよ! このメールは例によってイオンカードユーザーを対象にしたフィッシング詐欺メールの1つです。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は『[spam] 【重要】イオンカードからの重要なセキュリティ更新』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”イオンカード” <E-y-mikako@uber.com>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 最近このように『ウーバーイーツ』さんのドメインを利用したイオンカードの詐欺メールが横行。 ウーバーイーツさんはデリバリーを生業としているので、イオンのメールの代行も請け負ったのかと… でもまさかね~(笑) イオンカードがウーバーのドメインでシアトルのメールサーバーを利用 では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 Received:『from mail3.sixarrowstudio.com (hwsrv-1129537.hostwindsdns.com [104.168.165.203])』 | もし本当にウーバーイーツさんが代行しているならここにも”uber.com”が見えてくるはずですが それておは全く異なるドメインが出てきていますね。 これは何を意味するのでしょう。 ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”uber.com”が差出人本人のものなのかどうかを調べてみます。  これがドメイン”uber.com”を割当てているIPアドレスの情報です。 これによると”34.98.127.226”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”104.168.165.203”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”uber.com”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。  地図に立てられたピンの位置は、アメリカのシアトル近郊。 そして送信に利用されたのは、シアトルを拠点とする『Hostwinds LLC.』と言うプロバイダーです。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 イオンカードがウーバーイーツのドメインを使いシアトルのメールサーバーを介してユーザーに メールなんて送りますかいな! 詐欺サイトは現在休止中 では引き続き本文。 イオンカードからの重要なセキュリティ更新 尊敬する顧客様、セキュリティチェックの結果、お客様のアカウントでいくつかの異常な動きが検出されました。以下の点を確認してください: 最近、小額の取引が異常に多く確認されました。 口座残高の変動が大きくなっています。 通常使用していない地域からのログイン試行があったことが確認されました。 これらの活動は、お客様の金融安全にとって重要です。安全を確保するために、以下のリンクからアカウントを確認してください: イオンカードオンラインサービス パスワードの定期的な更新を忘れないでください。 ご不明点やご質問がございましたら、以下のカスタマーサポートまでお気軽にお問い合わせください: イオンカード株式会社 お問い合わせ先: mail@contact.aeon.co.jp ご協力とご理解、どうもありがとうございます。 敬具 イオンカード株式会社カスタマーサポート Copyright@ Aeon Card Co, Ltd. | このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『イオンカードオンラインサービス』って書かれたところに付けられていて、 そのリンク先のURLとトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での 危険度評価がこちらです。  『未評価』と記載されています。 まだ評価の対象にされていないのか、それとも対象にする必要が無いのかどちらかでしょうね。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”fxbtixu.com” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  このドメインは、中国の方が申請しているドメインのようですが、どうやらPIアドレスに割当てられておらず 現在利用することのできないものになっていますね。 ということはリンク先の詐欺サイトも正常に表示できないはず… やっぱりね!  それ故にトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価だったのですね! まとめ 詐欺サイトには接続できなくなっているのでひとまずは安心ですが、ドメインは破棄されていないので またいつIPアドレスを割当てて稼働させるか分からない状態なので、しばらくは注意した方が良いの かもしれませんよ。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |