マイナポータルがどうしてメールアドレスを知ってるの? 事務所のinfoアカウント宛にマイナポータルから給付金の案内が届きました。 『電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金』とありますが、住民税均等割非課税世帯や令和4年1月から 12月までに家計. 急変のあった世帯を支援するために実際に行われている給付金です。 支給額は1世帯あたり5万円ってことなのでいただけるものなら申請したいと思うのですが… でもちょっと待ってくださいよ! 冒頭に『住民税課税世帯等の皆さまへ』と書かれている通り対象者は住民税納税者のはずですが それがどうして事務所のinfoアカウント宛に送られてきたのでしょうね?(笑) 私の個人アドレスに届くのならまだしも… それにどうしてマイナポータルがうちの事務所のinfoアカウントのメールアドレスをご存じなのでしょうか? ってなわけで、もう皆さんお察しの通りこのメールは給付金に便乗した悪質な詐欺メールです! では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は『[spam] 電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金(5万円/1世帯)のご案内』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『マイナポータル <succ@vzpxapk.cn>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 ”.cn”は中華人民共和国に割り当てられた国別コードトップレベルドメインです。 そんなメールアドレスをマイナンバーカードを管理する総務省が利用しますかね?(笑) もし本当に総務省から送られてきたメールなら政府機関しか利用することの許されていない ドメイン”.go.jp”が使われているはずです。 やはり中国人が所持するドメイン では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”vzpxapk.cn”が差出人本人のものなのかどうかを 調べてみます。 これがドメイン”vzpxapk.cn”の登録情報です。 どうやら中国の方が登録申請された模様です。 これによると”38.11.231.216”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 もちろんマイナポータルからのメールではないものの”Received”のIPアドレスと全く同じ数字なので このメールアドレスは差出人ご本人さんのもので間違いなさそうです。 ”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。 地図に立てられたピンの位置は、アメリカのロサンゼルス近郊。 そして送信に利用されたのもアメリカに拠点を置く『Cogent Communications』と言うプロバイダーです。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 詐欺サイトは香港で運営されていた では引き続き本文。 ※直リンク防止のためURLの文字の一部を変更しています。 何と書かれようが詐欺メールなので全部ウソです。 詐欺メールですから当然詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクはメール本文内にURLが直書きされていて、政府機関が利用を許されたドメイン”.go.jp”が 使われているようにも見えますが、このURL内のドメイン部分はそれではなく”dtvlrgb.cn”ですから お間違えないように! そのリンク先のURLとトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価がこちらです。 既にフィッシングサイトとしてしっかりブラックリストに登録済みですね。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”sry.myna.go.jp.dtvlrgb.cn” このドメインにまつわる情報を取得してみます。 このドメインも中国の方が申請取得されていますね。 割当てているIPアドレスは”156.251.144.133” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。 今度は香港の地図が表示されましたね。 利用されているホスティングサービスは『Globaldata Investments Inc』です。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 リンク先を訪れてみましたが、残念ながらエラーページが開き正常に見ることはできませんでした。 まとめ マイナポータルが中国のドメインを使ったメールアドレスを使うはずありませんし だいたい事務所のinfoアカウントのメールアドレスにこのようなメールが届くこと自体 おかしな話ですもんね! 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |