イオンからジャックスのドメインで?!
昨夜終業時から今朝始業時までに届いたマイナポイント事務局を騙る詐欺メール。
その数実に8通…
このマイナポイント第2弾は、ご承知の通り2023年9月末で終了したキャンペーン。
それを10月末まで延長された、11月末まで延長された、12月末まで延長された、と先延ばしにして
毎日送られてきています。
この場に及んでそんなの一個人に送って本当日騙せるとでも思っているのでしょうか?
こんなの受信箱が汚されるだけでただただ鬱陶しい限りです!
こんなくだらないメールは放っておいて、今回はこちらのメールをご紹介しようと思います。
これはイオンカードを騙ったフィッシング詐欺メールの類です。
なにやら私のカード利用に異常があった旨の連絡のようで、解決するためにリンクへ行けと
書いてあります。
んな訳ないです、だって私、イオンカードなんて持っていませんから(笑)
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は『[spam] 【緊急】イオンカードからの重要なお知らせ』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
『"イオン株式会社" <jaccs2@jaccs.co.jp>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
笑っちゃうでしょ?
だって”jaccs.co.jp”はイオンカードのドメインでなく『ジャックスカード』さんのドメインですよ!
まさかジャックスカードがイオンの傘下になったなんてことありませんよね?(笑)
香港設置のサーバーを利用
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『 from mail0.dgzyd.com (unknown [156.234.211.167])』 |
ほらほら、今度はイオンカードでもジャックスカードでもない”dgzyd.com”なんておかしなドメインが
記載されていますね。
ということは、この差出人の本当のメールアドレスのドメインは”dgzyd.com”と言うことになりますが…
ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので
すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”jaccs.co.jp”が差出人本人のものなのかどうかを
調べてみます。
これがドメイン”jaccs.co.jp”の登録情報。
正真正銘の『(株)ジャックス』さんの持ち物です。
これによると”23.204.139.83”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来このIPは”Received”のIP”156.234.211.167”と同じ数字の羅列になるはずですが
それが全く異なるのでこのメールのドメインは”jaccs.co.jp”ではありません。
これでアドレスの偽装は確定です!
”Received”に記載されているIPアドレス”156.234.211.167”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。
地図に立てられたピンの位置は香港の『中西区(Central and Western)』で
送信に利用されたのも香港の『ICIDC Limited』と言うプロバイダーです。
このメールは、この付近に設置されたこのプロバイダーのメールサーバーを介して私に届けられたようです。
『支出提醒』なんて使わないでしょ?
では引き続き本文。
【イオンカード】のご利用、誠にありがとうございます。
最近、システムによって、イオンカードの一部取引に関して異常が検出されました。具体的には、多数の小額支出、異常な端末での支払い試行、およびIDとパスワードの複数回の入力エラーがあります。私たちはこの問題を解決し、お客様の資金を保護するためにメールでお知らせいたします。
イオンカードの正常なご利用を続けるために、以下の手順をご案内申し上げます:
1. 以下のリンクをクリックして、アカウントの確認情報を提供してください:
http:**homemediakit.com/
(ページの指示に従って)。
2. 確認情報を提供すると、イオンカードのご利用が即座に再開され、支出提醒が自動的に有効になります。
3. 支出提醒の有効化後、日本国内でクレジットカードの不正利用や盗難が発生した場合、72時間以内にご連絡いただければ、最高300万円の補償が適用されます。
私たちはお客様の安全とプライバシーを最優先に考えており、この手続きを通じて、イオンカードの安全なご利用をサポートいたします。
もし何か質問があれば、お気軽にお問い合わせください。安心してご利用いただけるよう、サポートさせていただきます。
どうぞご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
———————-
カード発行元:株式会社イオン銀行
業務受託会社:イオンフィナンシャルサービス株式会社 |
(直リンク防止のためURLの一部を変更してあります)
『もし何か質問があれば、お気軽にお問い合わせください』と書いてある割に連絡先が記載されていない
とても不親切でビジネスマナーに反したメールです。
それに『支出提醒』なんて日本ではあまり見慣れず中国でよく使われる言葉が書かれていますね。
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、本文内に直書きされていますが、よく見るとプロトコルが”https”ではなく
暗号化されていない”http”で危険通信。
このリンク先のURLとトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価がこちらです。
既にしっかりブラックリストに登録済みですね。
リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。
このURLで使われているドメインは”homemediakit.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
東京の方が管理されているとされるこのドメインを割当てているIPアドレスは”103.157.142.69”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。
今度地図に立てられたピンの位置は、東京の『JR神田駅』付近。
そして利用されているホスティングサービスは香港に拠点を置く『Anchnet Asia Limited』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
イオンカードを騙る詐欺メールのリンク先は、往々にして本当のイオンカードのオフィシャルサイトで
あることが多いもの。
このリンク先もご多分に漏れず、リダイレクト(自動転送)された上でオフィシャルサイトに接続されました。
これはフィッシング詐欺メールではなくて愉快犯による単なる迷惑メールの類でしたね。
ほんとめんどくさい野郎です!
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |