どこでどうやって私のアドレスを?!
イオンカードから、宛名も連絡先も書かれていない怪しいメールが届きました。
『アカウントの確認情報を提供してください』なんておかしな表現が使われたり、『支出提醒』などと
普段日本人が使わない言葉が使われていますね。
因みに『提醒』とは中国の言葉で『気づかせる』ような意味合いの言葉だそうです。
このメールよくわかりませんが、リンクに行きアカウントの更新を促しているのでしょうか?
いくらアカウントを更新しろと言われても、私、イオンカードなんて持っていないし、ユーザー登録をした
記憶もありませんからどうすることもできません。(;^_^A
それ以前に私のメールアドレスをどうしてご存じなのでしょうか?
そこからの話ですよ…(-_-;)
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は『[spam] イオンカード 重要なお知らせ(必ずご確認ください)』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
『"イオン株式会社" <odr1j3@c677a.jp>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
イオンカードのオフィシャルサイトでURLを確認すればすぐに分かることですが、イオンカードさんの
公式ドメインは”aeon.co.jp”です。
でも、このメールで利用された差出人のドメインは”c677a.jp”と書かれています。
これじゃ全く信用できませんよね!
空きドメインじゃメール送れない
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from mail0.woxingchen.com (unknown [156.234.211.177])』 |
ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので
すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。
ここには差出人のメールアドレスのドメインとはこれまた異なる”mail0.woxingchen.com”なんて
ドメインが登場してきました。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”c677a.jp”が差出人本人のものなのかどうかを
調べてみます。
これがドメイン”c677a.jp”に関する情報です。
これによると、どうやらこのドメインは存在しないもののようです。
間違いの無いよう『お名前ドットコム』さんで空き状況を確認してみると…
やはりこのドメインは現在誰にも使われていない空きドメインでした。
これでアドレスの偽装は確定です!
”Received”に記載されているIPアドレス”156.234.211.177”は、差出人が利用したメールサーバーの情報で
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。
送信に利用されたのは、香港に拠点を置く『ICIDC Limited』と言うプロバイダーです。
位置情報は、IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることを
ご承知いただいた上でご覧ください。
代表地点としてピンが立てられたのも香港で『中西区(Central and Western)』付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
詐欺サイトも『香港』に
では引き続き本文。
【イオンカード】のご利用、誠にありがとうございます。
最近、システムによって、イオンカードの一部取引に関して異常が検出されました。具体的には、多数の大額支出、異常な端末での支払い試行、およびIDとパスワードの複数回の入力エラーがあります。私たちはこの問題を解決し、お客様の資金を保護するためにメールでお知らせいたします。
イオンカードの正常なご利用を続けるために、以下の手順をご案内申し上げます:
1. 以下のリンクをクリックして、アカウントの確認情報を提供してください:
h**ps://minuetyachts.com/verify3.php
(ページの指示に従って)。
2. 確認情報を提供すると、イオンカードのご利用が即座に再開され、支出提醒が自動的に有効になります。
3. 支出提醒の有効化後、日本国内でクレジットカードの不正利用や盗難が発生した場合、72時間以内にご連絡いただければ、最高300万円の補償が適用されます。
私たちはお客様の安全とプライバシーを最優先に考えており、この手続きを通じて、イオンカードの安全なご利用をサポートいたします。
もし何か質問があれば、お気軽にお問い合わせください。安心してご利用いただけるよう、サポートさせていただきます。
どうぞご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
———————-
カード発行元:株式会社イオン銀行
業務受託会社:イオンフィナンシャルサービス株式会社 |
(直リンク防止のためURLの一部文字を変更してあります)
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、本文内に直書きされていてます。
そのリンク先のURLとトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での
危険度評価がこちらです。
既にしっかりブラックリストに登録済みですね。
リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。
このURLで使われているドメインは”minuetyachts.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
アメリカニューヨークの方が管理しているのドメインを割当てているIPアドレスは”156.226.173.10”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスは異なるものの、先程の”Received”にあったIPアドレスの所在地と全く同じところに
ピンが立てられましたね。
利用されているホスティングサービスも同じで『ICIDC Limited』
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A
それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。
本物そっくりのログインページが開くと思いきや、開いたのはイオンカードのオフィシャルサイト。
このパターンはイオンカードの詐欺メールではよくあるパターン。
最初からそう仕組まれていたのは、それともある段階からリンク先を変更したのか。
今となっては知る由もありません…
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |