何故にApple社のメールアドレス?
『緊急!』と言う見出しがつけられたメールがイオンカードから届きました。
そのメールがこちらです。
我慢できずに色々書きこんでしまいましたが、特出するのが2箇所。
どうしてイオンカードのメールがApple社のメールアドレスなのでしょうか?
それに本文中にある見たことのない『提醒』という言葉。
どうやらこれ中国の言葉らしくて日本語だと『気付かせる』や『促す』という意味らしいです。
日本の企業であるイオンがどうしてそのような中国の言葉を使うのでしょうか?
めちゃめちゃ疑問ですよね!
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は『[spam] <緊急!イオンカード 重要なお知らせ>』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
『"イオンカード" <kgk-1193rsz@id.apple.com>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
”Received”まで偽装
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from mail0.kbsinfotech.com (unknown [188.119.102.95])』 |
あらま、Appleにもイオンにも似ても似つかぬ”mail0.kbsinfotech.com”なんてドメインが
記載されていますね。(^^;)
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので
すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。
末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で
同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。
でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした
ものがドメインと呼ばれるものです。
というわけで”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーに割当てられたものなので
このIPアドレスが差出人のメールアドレスにあるドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合は偽装となり特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
Apple社のドメインで書かれているこの差出人のメールアドレスは100%偽装なのでここでは
”Received”にあったドメイン”mail0.kbsinfotech.com”についてを調べてみます。
これがAmazonのクラウドサービス上で利用されているこのドメイン”mail0.kbsinfotech.com”の登録情報。
これによると”52.213.114.86”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
先程書いた通り本来このIPは”Received”のIP”188.119.102.95”と同じ数字の羅列になるはずですが
それが全く異なるのでこのメールのドメインは”mail0.kbsinfotech.com”ではありません。
これで”Received”のアドレスも偽装確定です!
一体どれだけ偽装すれば気が済むのでしょうか?!
”Received”に記載されている末尾の”188.119.102.95”は、そのサーバーのIPアドレスになり
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。
送信に利用されたのは、ルーマニアにある『M247 Europe SRL』と言うプロバイダーです。
位置情報は、IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることを
ご承知いただいた上でご覧ください。
代表地点としてピンが立てられたのは、イギリスの『ロンドン』付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
リンク先はイオンカードオフィシャルサイト
では引き続き本文。
【イオンカード】のご利用、誠にありがとうございます。
最近、システムによって、イオンカードの一部取引に関して異常が検出されました。具体的には、多数の小額支出、異常な端末での支払い試行、およびIDとパスワードの複数回の入力エラーがあります。私たちはこの問題を解決し、お客様の資金を保護するためにメールでお知らせいたします。
イオンカードの正常なご利用を続けるために、以下の手順をご案内申し上げます:
1. 以下のリンクをクリックして、アカウントの確認情報を提供してください:
[確認情報の提供](ページの指示に従って)。
2. 確認情報を提供すると、イオンカードのご利用が即座に再開され、支出提醒が自動的に有効になります。
3. 支出提醒の有効化後、日本国内でクレジットカードの不正利用や盗難が発生した場合、72時間以内にご連絡いただければ、最高300万円の補償が適用されます。
私たちはお客様の安全とプライバシーを最優先に考えており、この手続きを通じて、イオンカードの安全なご利用をサポートいたします。
もし何か質問があれば、お気軽にお問い合わせください。安心してご利用いただけるよう、サポートさせていただきます。
どうぞご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
———————-
カード発行元:株式会社イオン銀行
業務受託会社:イオンフィナンシャルサービス株式会社
https://www.aeon.co.jp/ |
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
ちなみに末尾のURLもリンクがつけられていますが、そのリンク先はこのURLとは全く異なる所です。
詐欺サイトへのリンクは『確認情報の提供』って書かれたところに付けられていて
リンク先の『Nortonセーフウェブレポート』での判定はこのようにレポートされていました。
う~ん、疑わしいとは微妙ですね…
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”020snsn.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスは”103.157.142.126”
このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。
利用されているホスティングサービスは中国の『Anchnet Asia Limited』
こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で
ご覧ください。
今度ピンが立てられたのは『JR神田駅』付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
リンクを辿ってみましたがリダイレクト(自動転送)された上で開いたのはイオンカードのオフィシャルサイト。
最初からそう仕組まれていたのかそれとも途中でリンク先を変更したのかは今となっては…
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |