実在しない企業名が2つ
イオンカードから不思議なメールが届きました。
そのメールがこちらです。
このメールはお察しの通り悪意を持って送られてきて詐欺メール。
で、何が不思議かって、まずこのメールに書かれている企業名を数えてみてください。
まず件名に『イオンクレジットサービス株式会社』そして本文の冒頭に『イオンカード株式会社』
そして最後に『株式会社イオン銀行』と、1通のメールになんと3つもの企業名が記載されていますよね。
これじゃどの企業から送られてきたかさっぱり分かりません…(;^_^A
更にこの3つの企業、実は実在するのは1社のみで、それ以外の2社は実在しないんです。
1つ目の『イオンクレジットサービス株式会社』
この会社を『wiki』で確認するとこのように書かれています。
かつて存在した日本のクレジットカード会社。イオングループにおけるクレジットカード会社で
イオンフィナンシャルサービスの連結子会社である。
2023年6月1日に完全親会社のイオンフィナンシャルサービスに吸収合併され、解散した。 |
ってことなので、この企業は2023年9月現在もう存在いたしません!
そして2つ目の『イオンカード株式会社』
これもググってみると分かりますが、この企業名では1つもヒットしません。
よってそんな企業も存在いたしません!
最後に『株式会社 イオン銀行』
こちらは、イオングループが運営する実愛する金融機関です。
実在しない企業名を大きな顔をして列挙するメールなんて誰が信じるのでしょうか?(笑)
更に差出人のメールアドレスを良く見てください。
『Tax@id.apple.com』
一瞬でわかりますよね?
そう”apple.com”と言うドメインは、あのIT企業Apple社のもの。
Appleって、iPhone販売に飽き足らずイオン銀行のメール配信まで代行するようになったのでしょうか?
それにアカウント名の『Tax』
これも税金のことですよね?
請求のお知らせメールのアカウント名に『税金』ってどうよ…(^^;)
ま、障りはこの辺りにして、まずはメールのプロパティーから見ていきましょう。
件名は『10月ご請求額のお知らせ。』
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
請求に関するメールであることは分かりますが、これだけじゃどこの誰から送られてきたものか
さっぱり分かりません。
差出人は
『"イオンクレジットサービス株式会社" <Tax@id.apple.com>』
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
利用されたサーバーは偶然にもAppleだった
では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。
Received:『from mail1.davidallery.com (hwsrv-1098306.hostwindsdns.com [142.11.217.223])』 |
あららドメインは”id.apple.com”じゃなかったんでしょうか?
ここには全く異なる”davidallery.com”なんて全然別のドメインが記載されていますね。
この”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーに割当てられたもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”id.apple.com”が差出人本人のものなのかどうかを
調べてみます。
これがドメイン”id.apple.com”を割当てているIPアドレスの情報です。
これによると”17.188.23.24”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来このIPは”Received”のIPと同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので
このメールのドメインは”id.apple.com”ではありません。
今更ですがこれでアドレスの偽装は確定です!
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。
送信に利用されたのは、『Apple Inc.』と偶然ながらAppleが運営するプロバイダーとなっています。(笑)
位置情報は、IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることを
ご承知いただいた上でご覧ください。
代表地点としてピンが立てられたのもAppleの本社がある、アメリカの『クパチーノ』付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
リンク先は公式サイトだった
では引き続き本文。
平素はイオンカード株式会社をご利用いただき、誠にありがとうございます。
アカウントのセキュリティを確保し、より良いサービス体験を提供するために、アカウント情報の更新にご協力が必要です。
━━━━━━━━
最近、システムのアップグレードとセキュリティのレビューを実施した結果、アカウント情報を最新かつ正確に保つために更新する必要があることが判明しました。 このメールを受け取ったらできるだけ早く次の手順を完了して、アカウント情報を更新してください。━━━━━━━━
▼アカウントにログインする: 公式 Web サイト/アプリにアクセスし、ログイン認証情報を使用してアカウントにログインします。
h**ps://www.dianne.cn
個人情報の更新: アカウント設定ページで、プロンプトに従って、名前、連絡先アドレス、連絡先番号、電子メール アドレスなどを含む (ただしこれらに限定されない) 個人情報を更新します。
情報更新の送信:更新された情報が正確であることを確認した後、「送信」または同様のボタンをクリックしてアカウント情報の更新を完了してください。
上記の手順を完了すると、当社のサービスを使用する際のセキュリティと利便性を確保するために、当社が最新かつ正確なアカウント情報を取得することになります。
アカウント情報の更新中に問題が発生した場合、またはさらにサポートが必要な場合は、お気軽にカスタマー サポート チームにご連絡ください。喜んでサポートし、ご質問にお答えいたします。
今後も高品質なサービスを提供し、より良い体験をお届けできるよう努力してまいりますので、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。 |
(リンクのURLは直リンク防止のためURLの一部の文字を変更してあります)
確か件名は『10月ご請求額のお知らせ』でしたよね?
アホらしい…文全然違うじゃん!(-_-;)
このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、本文内に直書きされていますが、使われているドメインは”dianne.cn”で
イオン銀行の公式ドメイン”aeonbank.co.jp”やイオンカードの公式ドメイン”aeon.co.jp”とは全く異なる
ものなのでリンク先は当然イオン銀行ではありませんよね。
試しにそのURLをクリックしてみると、リダイレクト(自動転送)されて別のURLに飛ばされました。
そして転送されて開いたのはURLに”aeon.co.jp”が使われているイオンカードの公式ページ。
全然別のURLを記載しわざわざリダイレクト掛けるなんて絶対おかしいですよね?
最初から意図的にイオンカードサイトにリダイレクトで接続するように仕組まれていたのか
それとも、目的を達成したのでわざとリンク先をリダイレクトさせて公式サイトに切り替えたのか。
今となってはそれを知る由もありませんね。
まとめ
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |