9通もの詐欺メールが 週明け月曜のメールチェックにはたくさんの詐欺メールが届いています。 どうやら今週は『ETC利用照会サービス』さんを標的にしたものが多くなりそうですね。  では、この中から今回はこのメールを解体し詳しく見ていきましょう!  確か以前にも同じような内容のメールをご紹介しています。 『詐欺メール』「ETCサービス通知【重要:必ずお読みください】」と、来た件 もう半年以上前のブログエントリーなので襟を正す意味で再び取上げてみることにします。 まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は「[spam] 【ETC】重要なお知らせ<安心·安全への取り組み>」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 なんだかそれらしい件名ですが、本文との内容がかけ離れちゃってますよね(笑) だいたい「ETC利用照会サービス」さんが私のメールアドレスなんて知っていること自体おかしいのです。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”ETC利用照会サービス” <admin@ml.etc-meisai.jp>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 どうしてアルファベットを全角で書くのでしょうね? これ、詐欺メールの一つの特徴です。 使われているドメイン”etc-meisai.jp”は、確かに『ETC利用照会サービス』さんのものですが このメールは間違いなく詐欺メールですからアドレス偽装されています。 送信にはチリのサーバーを利用 では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 Received:「from hpyx (unknown [152.74.137.9])」 | 先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”ml.etc-meisai.jp”が差出人本人のものなのかどうかを 調べてみます。  これがドメイン”ml.etc-meisai.jp”の登録情報です。 登録者名は「中日本高速道路株式会社」と記載されていますね。 これによると”202.211.207.9”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来なら同じでなければならない”Received”のIPアドレスが”152.74.137.9”ですから全く異なります。 これでアドレス偽装は確定! ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”152.74.137.9”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元に危険性や送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。  送信に利用されたのは、「Red Universitaria Nacional」と言うチリにあるプロバイダーです。 位置情報は、IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることを ご承知いただいた上でご覧ください。 代表地点としてピンが立てられたのは、こちらもチリにある「コンセプシオン」と言う街付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 北海道から神奈川へワープ?! では引き続き本文。 ETCサービスをご利用のお客様へ: アカウントに異常な消費記録があります: 利用年月日 道路名 料金所名 2023/6/4 04:29 道央自動車道 苫小牧東本線 2023/6/4 06:08 第三京浜道路 玉川本線 アカウントの安全のために、 アカウントを停止いたしました。通常のご利用に影響を与えないよう、お早めにアカウントを有効にしてください。 ———————————————————————– アカウントのアクティブ化の手順 ———————————————————————– あなたがETCの所有者である場合、ETCの異常な消費行動を取り除くために、私たちはあなたの個人情報の有効性を検証する必要があります。 アカウントをアクティブ化するには、以下のリンクをクリックするだけです。 確認用アカウント ご利用ありがとうございます,どうぞよろしくお願いいたします。 ご不明な点がございましたら、以下までお問い合わせください。 *自分で使用している場合は、このメールを無視してください。自分で使用していない場合は、リンクをクリックしてキャンセルしてください* * ETC公式サイトにアクセスして更新します | 利用記録じゃなくて「消費記録」だって…(笑) きっと翻訳機でも使ったのでしょうね。 それにその消費記録なるリストを見てみると、1つ目は北海道の苫小牧で消費記録で 1時間半の間が空いて次は神奈川県にある玉川本線。 飛行機を使ったって1時間半は無理な気がしますが…(;^_^A このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「確認用アカウント」って書かれたところに付けられていて、 そのリンク先のURLとトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での 危険度評価がこちらです。  しっかりブラックリストに登録済みですね。 リンクへ移動してもサイトはブロックされるでしょう。 詐欺サイトの「Copyright」が枠からはみ出してるし このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www2.etc-meissai.jp.j5608.cn” このURLに”etc-meissai.jp”と言うあからさまな中国のドメインです。 このドメインにまつわる情報を取得してみます。  登録者は、詐欺メールの調査では頻繁に出てくる中国の有限会社です。 そしてこのドメインを割当てているIPアドレスは”155.94.151.102” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。  利用されているウェブサーバーは、アメリカが拠点の『QuadraNet Enterprises LLC』なんて ホスティングサービスのようです。 こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で ご覧ください。 表示されている地図は、カリフォルニア州ロサンゼルス。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。  あらら、本物そっくりですが「Copyright」が枠からはみ出しちゃっていますね。(笑) 本物の「ETC利用照会サービス」さんのサイトは、ちゃんと枠に収まっていますのに… ここにIDとパスワードを入力してログインボタンを押してしまうと、その情報が詐欺師に流れてしまいます。 そして次に開いたページで個人情報を更新させると称しそれらの情報や、更にはカードの情報まで 詐取されることでしょう。 まとめ 「ETC利用照会サービス」を騙る詐欺メールはご承知の通り日常茶飯事で、Amazonと並んでうざったいですね。 でも恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |