脅しから一転、売り込み 「えきねっと」を騙る詐欺メールは相変わらず毎日大量に届くのですが、今回お伝えするのは その新種です! それも一気に3通も(;’∀’)  今度はJR東日本が運営する「えきねっと」限定のチケット格安サービス「えきねっとトクだ値」を 騙ったものです。 そのメールがこちら。  少々アシンメトリーなこの本文。 全体をキャプチャーすると見難いのでクリックで拡大するようにしてあります。(笑) いつもの脅し文句が書かれている詐欺メールとはちょっと違って、今回のは単なる売り込みを 騙ったものですね。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 新幹線eチケットサービス(えきねっとトクだ値)ご利用で5~30%OFF」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 本家サイトの謳い文句は「5~40%OFF」ですから割引率に若干の差がありますね。(笑) この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”えきねっとサポートセンター” <support@service.qmyuouy.cn>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 おっと!”.cnなんて中国のドメインですか… 元国営企業が中国のドメインとはいただけませんね(笑) もうこの時点で詐欺確定じゃないですか! 中国ドメインながら偽装は無し では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「support@service.qmyuouy.cn」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「20230319052940046147@service.qmyuouy.cn」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from service.qmyuouy.cn (unknown [157.52.230.115])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | では、メールアドレスにあったドメイン”service.qmyuouy.cn”について調べてみます。  持ち主は、私には読むことのできない文字を含む漢字2文字の氏名の方。 そして”157.52.230.115”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 中国ドメインながら”Received”のIPアドレスと同じですからメールアドレスに偽りはなかったようです。 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”157.52.230.115”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその危険度と割り当て地を確認してみます。  このIPアドレスの持つ脅威レベルは「高」で、脅威の詳細は「サイバーアタックの攻撃元」 攻撃対象は「メール」とされていますから、悪意のある物として周知されているようです。 次に位置情報。 IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 代表地点としてピンが立てられたのは、ロサンゼルスの中心街付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 結局引きずり込むのは「えきねっと」の偽サイト では引き続き本文。 「乗車券・特急券」がセットの えきねっと限定商品 指定席が一律200円OFF! きっぷを受取ることなく、新幹線eチケットに紐づけた交通系ICカード・モバイルSuicaなどを自動改札機にタッチするだけで、そのまま東北・北海道、上越、北陸、山形、秋田の各新幹線にご乗車いただけるサービスです。 「えきねっとトクだ値」やJRE POINT商品など「新幹線eチケット」限定で新幹線をおトクにご利用いただけます。 交通系ICカードで乗車できる「新幹線eチケット」はこちら おすすめポイント 新幹線eチケットサービス (えきねっとトクだ値)ご利用で5~30%OFF 新幹線の「えきねっとトクだ値」は新幹線eチケットサービス限定商品です。 列車・区間・席数に制限がございます。 | このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「交通系ICカードで乗車できる「新幹線eチケット」はこちら」って書かれた ところに張られていて、リンク先のURLとトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」 での危険度評価がこちらです。  おや?まだ「未評価」のようです。 このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”eki-nat.axonsunshinepark.com” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  申請登録は、アリゾナ州の「Domains By Proxy」 詐欺サイトの運営者はここにドメインドメイン申請を委託しているようです。 このドメインを割当てているIPアドレスは”35.221.118.52” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で ご覧ください。 代表地点としてピンが立てられのは、国内詐欺サイトのメッカ、東京都杉並区和泉付近。 フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています! トレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価からすると、おそらくリンク先の 詐欺サイトはどこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われますが 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。  結局そういうことですか。 表示されたのは見慣れた「えきねっと」へのログイン画面。 もちろん偽サイトですからログインしてはいけません! まとめ 結局「えきねっと」へのログイン画面で落ちがついたわけですね。 またこれ流行しそうですね…(;^_^A 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |