なぜ「ヤマト運輸」が私のアドレスを? 私が言った通り、やはり「ヤマト運輸」が詐欺メールの最近のトレンドのようで、毎日のように ヤマト運輸に成りすます様々なパターンのメールが届いております。 今朝はこのようなメールが、深夜のうちに届いていました。  さてここで問題です! 住所も電話番号も間違っていてわからないのに、なぜ私のメールアドレスを知っていたのでしょうか?(笑) ほんと、ばかばかしいですよね。。。 たとえ私がクロネコメンバーズだったとしても住所と電話番号がわからなければ私だと特定できません。 あはは、「配送情報をご補充」って… 言わない言わない…(笑) それに「ヤマト運輸」さんは再配達料なんて取りませんよ! なぜ再配達料金をあえて書いたのか、それは、再配達料徴取を理由にクレジットカード情報を 詐取するためです! そうしないと、詐欺が成立しませんからね。(笑) では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] <<重要・再送>>【ヤマト運輸】郵便物が配達できないため、配送情報をご補充ください#POSTID:226447」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 末尾のPOSTIDってのは、ランダム関数で導き出した当然適当な数字。 そしてこの件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”ヤマト運輸” <kuronekoyemato@shuonjklma.shop>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 ”shuonjklma.shop”ってどちらのドメインですか? ちょっと考えればわかると思いますが「ヤマト運輸」さんは、”kuronekoyamato.co.jp”って 正規ドメインをお持ちです。 それなのに、このようにヤマトさんに全く関係のないドメインのメールアドレスを使うと思いますか? まったくばかばかしいです! 詐欺メール一大生産地の「天安門広場東側」付近から発信 では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「kuronekoyemato@shuonjklma.shop」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「202302072317392030076@shuonjklma.shop」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from shuonjklma.shop (shuonjklma.shop [113.31.103.67])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | では、メールアドレスにあったドメイン”shuonjklma.shop”について調べてみます。  このドメインは、アメリカで登録されたものです。 そして”113.31.103.67”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 ”Received”のIPアドレスも”113.31.103.67”ですからアドレスの偽装はありません。 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”113.31.103.67”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、フィッシング詐欺メールの一大生産地の北京にある「天安門広場東側」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 やはり一連のメールは同一犯 では引き続き本文。 【ヤマト運輸】サービスをご利用頂き、誠にありがとうございました。 住所と電話番号が間違っていたため、荷物の1つを配達できませんでした。 下記通り、配送情報をご補充ください、1~2営業日以内に改めて配送を手配いたします。 クリックしてから配送情報をご補充ください *また、100円の再配送料がかかります。 ご迷惑をおかけして申し訳ございません。 ご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。 *注意:48時間以内にご返信のない場合、差出人に返送されることになります。 | このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「クリックしてから配送情報をご補充ください」って書かれたところに張られていて リンク先のURLとトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」での危険度評価が こちらです。  このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。 そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www.kuronekoyamato.fseriesads.com” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  このドメインは、島根県から申請登録されています。 そしてこのドメインを割当てているIPアドレスは”45.156.24.98” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  こちらもIPアドレスを元にしているので、アバウトな位置であることをご承知いただいた上で ご覧ください。 ピンが立てられのは、モスクワロシア国立歴史博物館付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。  これってこの前にご紹介した「ヤマト運輸」を騙る詐欺メールにあったリンク先と全く同じページ。 『詐欺メール』「【ヤマト運輸】お届け時ご不在のご連絡」と、来た件 やはり一連の「ヤマト運輸」の詐欺メールは同一犯の仕業のようですね。 まとめ このメールは、再配達を装い再配達料徴取を理由にクレジットカード情報を盗み取ろうとする詐欺です。 このようなメールに騙されてはいけません。 まず、あなたのメールアドレスを「ヤマト運輸」が知っているかどうかよく考えてみてください。 そして、差出人のメールアドレスを良く見て、本物かどうかしっかりと判断してください! 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |