ドメイン間違ってますよ~ ビューカードから「VIEWサービスは無効になりました」と書かれたメールが届きました。 私、ビューカード持っていませんが…(笑)  ビューカードは、JR東日本の子会社である株式会社ビューカードが発行するクレジットカードブランドです。 例によって、無効になった理由は何なのか全く記載が無く詳細を確認するためにリンクへ接続するように 促しています。 では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] VIEWサービスは無効になりました!番号:0032589658」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 末尾の数字は、乱数関数ではじき出させた適当な数字です。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「VIEWビューカード <account-update@jreast.co.jp>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 このメールアドレスに使われているドメイン”jreast.co.jp”は「ビューカード」さんのものではなく 「JR東日本」さんのもの。 ビューカードさんは”viewcard.co.jp”って正規ドメインをお持ちです。 確かにビューカードさんはJR東日本の子会社ですが、だと言って親会社のドメインのメールは 使用しませんよね。 送信サーバーは中国の観光スポット付近にあり! では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「<account-update@jreast.co.jp>」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「<20221020043054834156@jreast.co.jp>」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from jreast.co.jp (unknown [117.95.65.35])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | この差出人は、あくまで自分のドメインは”jreast.co.jp”と言い張るようですね。 ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか! 先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”jreast.co.jp”について調べてみます。  当然ちゃんと「東日本旅客鉄道 株式会社」さんの持ち物です。 そして”23.43.249.66”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”117.95.65.35”ですから全く異なります。 これでアドレス偽装は確定。 この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”117.95.65.35”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、中国 江蘇省にある観光スポット「大縦湖」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 ビューカードさんの”ビュ”の字も入ってないURL では引き続き本文。 VIEWサービスをご利用いただきありがとうございます VIEWサービスは無効になりました。 引き続きサービスをご利用いただきたい場合は、下記リンクより詳細をご確認ください。 ご変更はこちらから ご不便とご心配をおかけしまして誠に申し訳ございませんが、 何とぞご理解賜りたくお願い申しあげます。 | 「下記リンクより詳細をご確認ください」と書かれたリンクが「ご変更はこちらから」って のもおかしな感じですよね? 何か変更しなきゃならないのでしょうか? リンク先のURLがこちらです。  でも騙されちゃいけませんよ。 これリダイレクト(自動転送)設定されていて、接続すると別のこちらのURLに飛ばされる仕組みに なっています。  どっちにしてもビューカードさんの”ビュ”の字も入っていませんね。(笑) このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  おっと、まだ「未評価」のようです。 このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、”gtn-china.com” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  ことごとくプライバシー保護でマスクされています。 このドメインの持ち主は、アメリカカリフォルニア州にある「ダイナドット」にドメイン取得代行を 依頼したようです。 そしてこのドメインを割当てているIPアドレスは”155.94.177.8” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。 フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています! ここでは、既に危険なIPアドレスとしてブラックリストに登録されて、脅威レベルは「高」で その詳細はWebによるサイバーアタックとされています。 サイトはこの辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 無防備に放置されているであろうと思ったらしっかりChromeが接続をブロックしてきました。  構わず先に進んでみると、開いたのはビューカードユーザー専用サイト「VIEW’s NET」へのログイン画面。 もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください!  もし間違ってログインしてしまった場合は、大至急「お客様サポート」に連絡してください。 まとめ 「えきねっと」に「ビューカード」とJR東日本さんは狙われっぱなしでお気の毒です。 きっと通常業務にも支障をきたしていらっしゃることと思います。 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |