日本語と英語が入り混じったメール 「重要なセキュリティ通知」と記載のある不思議なメールが到着。  日本語と英語が入り混じったこのメールも解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきす。 件名は 「の通知 *****@*****.***」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 「*****@*****.**」には私のメールアドレスが記載されています。 差出人は 「”システム管理者 *****” <philip.bowes@bishoptonvets.co.uk>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 「*****」には、私のドメインが記載されています。 調べてみるとメールアドレスの”bishoptonvets.co.uk”と言うドメインは、イギリスにある 獣医師がお持ちのものです。 まあこれも眉唾、本当かどうか分かりません。 オランダから発信 では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「Philip.Bowes@bishoptonvets.co.uk」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「b8799ade-6c54-253f-6b3f-b0eb36cb9d7c@bishoptonvets.co.uk」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from vps.server.com (unknown [185.243.112.59])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | この差出人は、あくまで自分のドメインは”bishoptonvets.co.uk”と言い張るようですね。 ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか! 先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”bishoptonvets.co.uk”について調べてみます。  そして”51.104.28.65”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”185.243.112.59”ですから全く異なります。 これでアドレス偽装は確定。 この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! このIPアドレスにもしかしてドメインが割当てられていないかと逆引きしてみました。  これによるとこのIPアドレスには”srv5.poloneixs.site”なんてドメインが割当てられているようです。 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”185.243.112.59”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、オランダフレボランド州ドロンテン付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 サーバー乗っ取りが目的 では引き続き本文。 重要なセキュリティ通知 こんにちは *****. あなたのアカウントは保留中です ⦿ *****@*****.*** あなたがこのアカウントの所有者であることを確認する必要があります . Confirm your password Nоtе: Note that the link will expire in 24 hours, so be sure to use it right away. | 獣医師からアカウントが保留中って通知です。(笑) このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「Confirm your password」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLがこちらです。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  おっと、まだ「未評価」のようです。 このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”blessedsacrament.org.in” このドメインを割当てているIPアドレスを取得してみます。  このドメインを割当てているIPアドレスは”198.15.92.226” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられのは、アメリカアリゾナ州テンピ付近。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 トレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」では「未確認」とされているので きっと無防備に放置されているであろうと思ったら、真っ赤な画面でChromeが接続をブロックしてきました。  構わず先に進んでみます。 と、開いたのは「ActiveMail」と書かれた画面が表示されました。  「ActiveMail」と言うのは、メールサーバーのコントロールパネルです。 ということは、どうやらこのメールは、サーバーを乗っ取るために作らられた詐欺メールでした。 ここでサーバー管理用のアカウントを入力してしまうと、その情報で自身が使っているメールサーバー やウェブサーバーが乗っ取られてしまいます。 まとめ サーバー乗っ取りが成立するのは受信者がサーバー管理者だった場合です。 もちろんそれ以外の一般の方はサーバー管理用のアカウントなど知るはずが無いので。 それにしても獣医師からこのようなメールが来るとは…(;^_^A 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |