本文がメチャメチャで…
Appleを名乗ってこのようなメールが届きました。
どうやらアプリのダウンロードで不正が行われたようです。
いっぱい落書きしちゃいました…(笑)
「親愛なる」から書き始められたこのメールは、一目してフィッシング詐欺メールだと分かります。
アメリカの企業なので冒頭の「親愛なる」は分からんでもないが、その後ろに書かれているのは
こちらのメールアドレスの@より前にあるアカウント部分。
少なくともここは、AppleIDが書かれているはずです!
そして1つ目のくだりは「第3者が不法悪意ログインあなたのApple ID –webサービス、違法な犯罪活動を行う」
はカタコト過ぎる日本語…(;^_^A
そしてその次の段落では「カードのご利用を一部制限」なんて、さもクレジットカード会社のような言い方。
これはきっと、クレジットカード会社に成りすましたフィッシング詐欺メールから引用したのでしょう。
でもって最後に「よろしく」って…お前何者?!
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【重要】異常ログイン通知」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
実によく見掛ける件名。
この件名ならどんな詐欺メールにも使えそうですね!
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"Apple" <cgvpeoi@Apple.org>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
確か「Apple」さんのドメインは、”apple.com”で”apple.org”ではありません。
それにドメインに大文字小文字の判別は何ので一般的には全部小文字で表現しますよ!
ドメイン申請は「ケイマン諸島」からされていた
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「cgvpeoi@Apple.org」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「202209220847138085213@Apple.org」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from Apple.org (unknown [118.107.40.191])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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この差出人は、あくまで自分のドメインは”Apple.org”と言い張るようですね。
ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか!
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”Apple.org”について調べてみます。
まずはIPアドレスから。
続いて、WHOIS情報
なんとこのドメインは、イギリスの海外領土「ケイマン諸島」から取得申請されていました。
アメリカIT企業のAppleがこのようなところからドメイン申請するでしょうか?
そして”65.49.82.3”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”118.107.40.191”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”118.107.40.191”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、香港のCentral and Western付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
Appleの欠片も無いサイトURL
では引き続き本文。
親愛なる *****
お客様のアカウントで異常な行為が検出されたため、第3者が不法悪意ログイン
あなたのApple ID -webサービス、違法な犯罪活動を行う
ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたいお取引がありましたので、
誠に勝手ながら、カードのご利用を一部制限させていただきご連絡させていただきました。
お客様の注文と Apple ID アカウントを停止させていただいております。
アカウントにログインして画面の指示に従うことで、アカウントの停止状態を解除していただけます。
■ご利用確認はこちら
Apple ID:セキュリティと AppleID
を参照 してさらにサポート を 受ける ことをお勧めします 。
よろしく、
アップル |
最初の2行で読む気が無くなります。(笑)
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「Apple ID:セキュリティと AppleID」って書かれたところに張られていて、
リンク先のURLがこちらです。
よく見てください。
Appleとは全く関係の無いURLが綴られています。
本物のAppleIDのさいとのURLはこちらですのでお間違いなく
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
ヤバい!やばい!「未評価」とされています!!
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”jinmao.xfppsk.shop”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請は、中国黒竜江省から行われており、申請管理は中国のIT企業アリババの子会社であるAliyun(阿里雲)
が担っているようです。
このドメインを割当てているIPアドレスは”45.64.113.83”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
メールアドレスのドメイン”Apple.org”の割り当て地と判を押したように全く同じ地図です。
この辺りにアジトでもあるのでしょうか?
この付近に設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
トレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」の様子だと、ノーマークで無防備に放置
されているであろう危険なサイトへ、安全な方法で訪れてみました。
開いたのは、Appleユーザーサイトへのログイン画面。
もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください!
まとめ
久々にAppleを騙る詐欺メールでしたね。
知らない方だと、メールアドレスにあった”Apple.org”を本物だと思い込んでしまいそうです。
被害に遭う方が少しでも少なくなるように、一時でも早くこのブログが拡散されることを祈ります。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |