どっかで見たこの件名
JR-EASTを名乗る「緊急の連絡 [メールコード [RAND_NUMBER_10_10]]」って件名のメールが
届きました。
書かれているのは、JR東日本が運営する「えきねっと」アカウントに関するもので、アカウントに
「リマインダーリスク」なるものが検出されたからリンクから詳細を確認しろと促すものです。
フィッシング詐欺メールの”あるある”ですが、一般人に向けて「リマインダーリスク」などと
通常使わないような難しい横文字を並べて危機感を醸し出してきます。
これ、どこかで見たことある件名だなと過去のブログエントリーを調べてみると…
あったった、つい先日AEONカードに成りすましたメールをご紹介した時の件名と同じ。
『詐欺メール』「緊急の連絡 [メールコード [RAND_NUMBER_10_10]]」と、来た件
この時もご紹介しましたが、件名にある「RAND_NUMBER_10_10」は乱数発生関数が何らかの原因で
上手く動作せず関数がそのまま見えてしまったものです。
ここに適当に乱数を発生させて、それをメールコードと称して表示させようとしたのでしょう。
注意事項を読んでみると、日本語の使い方に難があるので恐らくメールの作者は海外の方のようです。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 緊急の連絡 [メールコード [RAND_NUMBER_10_10]]」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「JR-EAST <member@eki-net.com>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
上手く化けたつもりしょうか?…
”eki-net.com”は確かに「えきねっと」さんのドメインですが、件名に”[spam]”とあるので
このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
JR東日本が中国浙江省からメールを送るって?!
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「member@eki-net.com」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「20220915031514666844@eki-net.com」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from eki-net.com (unknown [60.184.104.78])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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この差出人は、あくまで自分のドメインは”eki-net.com”と言い張るようですね。
ならばその鼻っ柱をへし折ってやりましょうか!
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”eki-net.com”について調べてみます。
当然ちゃんと「JR East Japan Information Systems Company(JR東日本情報システム)」さんの持ち物です。
そして”23.1.96.25”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”60.184.104.78”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”60.184.104.78”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、中国浙江省麗水市付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
リンク先は、偽の「えきねっと」のログインページ
では引き続き本文。
この度はえきねっとサービスをご利用いただきまして誠にありがとうございます。
近いうちに弊社はシステムをアップグレードの予定です。えきねっとアカウントに
アカウントリマインダーリスクが検出されました。えきねっと決済方法を再確認ください。
このサービスを継続希望の場合は、下記のリンクをクリックして詳細をご確認ください。
ログインを続行します すぐにアップグレード
■ 注意事項
*残念ながら、24時間以内に確認できなければ、 お客様のアカウントをロックしてえきねっと
サービ スを一時的に無効に変更することをお知らせ します。
*このメールは重要なお知らせとして、メー ルを受信希望しないお客様にもお送りいたし ます。
ご理解いただき、ありがとうございま す。
*このメールがご不明点がありましたら、えきねっと サイトにご連絡ください。 |
どことなくぎこちない日本語のこのメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへの
リンクが付けられています。
そのリンクは「ログインを続行します」と「すぐにアップグレード」って書かれたボタンに
張られていて、リンク先のURLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
おっと、まだ「未評価」のようです。
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、”www.ffyrfqwe.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請者は、「お名前.com」さん。
恐らく、リンク先詐欺サイト運営者は、こちらに依頼してこのドメインを取得されたのでしょう。
このドメインを割当てているIPアドレスは”155.94.144.111”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。
フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています!
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
想像はしていましたが、開いたのは「えきねっと」へのログイン画面です。
もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください!
まとめ
相変わらず「えきねっと」に関するフィッシング詐欺メールは、「自動退会処理」をはじめ
毎日複数届いています。
何度送られたって騙されませんけどね(笑)
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |