「りそなカードお」って絶対におかしいでしょ?
チェックしないんでしょうかね?(笑)
それに件名に「!」が付くものはロクなメールじゃありません。
なんだか、本文はAmazonのフィッシング詐欺メールで何度か見たことのある物ですよ。
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!
まずはプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【りそなカードお 】緊急のご連絡!」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「りそな銀行デビットカード <mail@nx12.cn>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
「りそな銀行」さんには、”resona-gr.co.jp”って正規ドメインをお持ちです。
正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめな中国のドメインを使った
メールアドレスでユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。
それに、このように短く価値の高いドメインを詐欺メールに使うなんて考えにくいので
このメールアドレスも眉唾ものですよ。
アドレス偽装も立派な犯罪
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「mail@nx12.cn」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「20220821122028236516@nx12.cn>
From: =?utf-8?B?44KK44Gd44Gq6YqA6KGM44OH4」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from LFQ.cvzbmers (unknown [43.249.207.169])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法
違反となり処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰する
では、メールアドレスにあったドメイン”nx12.cn”について調べてみます。
”203.138.98.113”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”43.249.207.169”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”43.249.207.169”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、香港の「中環」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
詐欺サイトは無防備に放置
では引き続き本文。
りそなカードお客様
残念ながら、あなたのアカウント
りそなカード を更新できませんでした。
これは、カードが期限切れになったか。請求先住所が変更されたなど、さまざまな理由で発生する可能性があります。
アカウント情報の一部が誤っている故に、お客様のアカウントを維持するため
りそなカード 情報を確認する必要・ェあります。今アカウントを確認できます。
りそなカード ログイン
なお、24時間以内にご確認がない場合、誠に遺憾ながら、アカウントをロックさせていただくことを警告いたします。
パスワードを変更した覚えがない場合は、至急(0120-01-7820)までお電話ください。 |
Amazonのフィッシング詐欺メールでよく見掛ける本文を流用したようです。
「必要・ェ」って所いい加減に直せばいいのに…
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「りそなカード ログイン」って書かれたところに張られていて、リンク先の
URLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
おっと、まだ「未評価」のようです。
このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。
評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”resoonabank.jp.net-sap.net”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
登録者は、アメリカアリゾナ州にあるインターネット企業で依頼されたドメインをレジストラを通じて
登録を代行しています。
このドメインを割当てているIPアドレスは”34.168.179.42”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、アメリカオレゴン州「ザ・ダレス」付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
まったくブロックされることなく無防備に放置されていたのは、「埼玉りそな銀行マイゲート」
と書かれたりそなカード利用者専用サイトへのログインページ。
もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください!
本家サイトを丸ごとダウンロードして複製されているので、まったく見分けが付きません。
まとめ
もちろんりそな銀行のカードを所持している人対象のフィッシング詐欺メールでしたが
明日は我が身。
ショッピングサイトや金融機関からのメールには十分気を付けてください。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |