「太和田誠」ってどちらさん?「Amazon.co.jp」と記載のある同じ件名で奇々怪々なメールがメールボックスに4通。  開けてみると。  本文の宛名に「太和田誠様」と。。。ダレそれ??(汗) では、今回このおかしなメールを解体していくことにします。 まずプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] Amazon.co.jpの注文番号249-0545162-1436634」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 Amazonから来る配送予告のメールと同じのようですが… でも、この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「えきねっと <ake@kozeeno.org>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 Amazonだったはずがいつのも間にか「えきねっと」に?? お馬鹿差出人が日本語が読めなくて本気でやっているのか、それとも愉快犯がちゃかしているのか… それに「Amazon」さんには、”amazon.co.jp”って正規ドメインをお持ちです。 正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを使ったメールアドレスで ユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。
空きドメインからのメール?!では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「ake@kozeeno.org」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「20220718055125786465@kozeeno.org」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from kozeeno.org (unknown [110.86.177.236])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 |
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”kozeeno.org”について調べてみます。  ん? 「対応するIPアドレスがありません」って?! もしや… このドメイン、取得できるかどうか「お名前.com」さんで検索してみます。  あはは、どうやらこの「kozeeno」を使った”.org”ドメインはまだ誰も使っていない空きドメインようです(笑) 空いているドメインではメールを受送信できませんから明らかに偽装アドレス。 この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! 「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”110.86.177.236”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを逆引きし、ドメインが割当てられていないか確認してみると…  このIPアドレスには”163data.com.cn”なんてドメインが割当てられているようです。 このドメインについて検索してみると。  良くない情報ばかりがわんさかと出てきますね。 フィッシング詐欺メールに限らず結構昔から悪事をはたらいているようです。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、中国福建省ホ田付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
ドメインは「お名前.com」で取得では引き続き本文。 太和田誠様 商品を1つ本日お届け予定です。 直接のお渡し、もしくはポスト投函いたします。 お届け日時指定便の場合、ご指定時間よりも早くポスト投函できる場合があります。 配送業者: 日本郵便 お問い合わせ伝票番号: 225194189253 配送状況 |
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「配送状況」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLがこちらです。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。 そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。 このURLで使われているドメインは、”fly0camera.com” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  申請者は、なんと「お名前.com」 詐欺犯は、ここにドメイン取得の代行を依頼したようです。 そしてこのドメインを割当てているIPアドレスは”204.44.95.167” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。 フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています! この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 まさか「えきねっと」につながるのでは? と思ったらちゃんとアマゾンのログインページが開かれました。(笑)  もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでくださいね!
まとめ「Amazon」かと思えば「えきねっと」 「えきねっと」かと思えばやっぱり「Amazon」 まさかこんなメールで詐欺が実現するとでも本気で思っているのでしょうか?(笑) でも恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |