通信番号なんか付けちゃって 「えきねっと」を騙る新たな刺客です。 とはいっても何が言いたいのかさっぱり良く分からない「おバカさん」系の フィッシング詐欺メールです。  では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] 【えきねっと】ご登録お客様情報の定期的な確認のお願いにつきまして 通信番号:71-988-8550」 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 通信番号ときましたか。 ま、なんでもいいけどこんなのはこのメールに信憑性を持たせようと付けられたでたらめな数字。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”えきねっと” <no-reply@eki-net.com>」 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 上手く化けているつもりでしょうけど… ”eki-net.com”は確かに「えきねっと」さんのドメインですが、件名に”[spam]”とあるので このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。 その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。 本当のドメインは”eki-net.com”じゃなく”avqeme.shop” では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「no-reply@eki-net.com」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「202207040825427757232@eki-net.com」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from avqeme.shop (avqeme.shop [110.238.81.25])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 あれ?”eki-net.com”じゃなかったの? ”avqeme.shop”なんて「えきねっと」には全く関係の無いドメインが記載されていますね。 | まずは、”eki-net.com”について情報を取得してみます。 このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら 差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり 処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金 さて、どう出るのでしょうか?  そして”23.43.249.16”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”110.238.81.25”ですから全く異なります。 これでアドレス偽装は確定。 この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! この中で一番重要なのは”Received” これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 ”Received”のIPアドレス”110.238.81.25”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 因みにこのIPアドレスから割当てているドメインを逆引きしてみました。  このIPアドレスには”eki-net.com”ではなく”Received”に記載のあった”avqeme.shop”ってドメインが 割当てられていることが分かりました。 申請代行したのは、中国のIT企業「Alibaba Cloud Computing」です。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 ピンが立てられたのは、「メキシコシティー」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 なに言ってるのかさっぱり… では引き続き本文。 【えきねっと】利用いただき、ありがとうございます。 システムメンテナンスのため、ご利用のえきねっとアカウントで異常な活動が検出されたため、 アカウントを一時保留にし。 アカウントへのアクセスを再開するには、サインインして画面の指示に従ってください。 必要な情報をご提供いただいたら、当サイトで調査の上、24時間以内にアカウントを復元します。 ===================== ⇒ログインはこちら ===================== システムメンテナンスのため、以下のとおり該当サービスがご利用いただけません。 【JRきっぷ】 きっぷのお申込み、変更・払戻、お受取りができません。 2022年6月18日(土)23時50分~6月19日(日)5時00分 2022年6月23日(木)23時50分~6月24日(金)5時00分 2022年6月27日(月)23時50分~6月28日(火)5時00分 2022年6月29日(水)23時50分~6月30日(木)5時00分 2022年7月4日(月)23時50分~7月5日(火)5時00分 2022年7月6日(水)23時50分~7月7日(木)5時00分 2022年7月12日(火)23時50分~7月13日(水)5時00分 上記以外の日程についても定例メンテナンスがございます。 | 「システムメンテナンスのため、ご利用のえきねっとアカウントで異常な活動が検出されたため、 アカウントを一時保留にし。」 って、「システムメンテナンス」の為なのか「異常な活動が検出されたため」なのか どっちなのでしょうか?(笑) それに文章が「アカウントを一時保留にし。」で終わりっておかしくありませんか?(笑) でもって信憑性を持たせようと「システムメンテナンス」なんか記載しちゃって…(笑) このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「⇒ログインはこちら」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLがこちらです。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  おっと、まだ「未評価」のようです。 このようなフィッシング詐欺サイトがこの評価ではあまりにも危険すぎます。 評価を変更していただけるよう早速申請しておきます。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”www.eki-net-info.online” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  申請は、これらの調査でよく見かけるアメリカアリゾナ州フェニックスにある「See PrivacyGuardian」 と言うレジストラ。 このドメインを割当てているIPアドレスは”104.223.15.23” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。 フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています! この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。  表示されたのは本物そっくりの「えきねっと」へのログインページ。 もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください! まとめ このメールは、メールアドレスは偽装されていたものの、本文が支離滅裂で意味不明なので 騙される方は少ないのではないかと想像しますがどうでしょうか? もう「えきねっと」からのメールは偽物と思っておいても良いのではないかと私は思いますが いかがでしょうか? それじゃ「えきねっと」さんがかわいそうですけど…(;^_^A 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |