暑いのに余計に蒸し暑くなるSPAMメール
異例な早期梅雨明けの後、厳しい暑さが続いておりますがいかがお過ごしでしょうか?
当地の最高気温予想は38℃…
うだるような暑さの中、今朝は「新生銀行」が発行する「アプラスカード」に成りすます
フィッシング詐欺メールが届いておりますのでご紹介しておこうと思います。
書かれているのは、詐欺メールではありがちな、システムアップグレードに伴う情報確認を謳い
リンクに誘い込もうとする内容です。
では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] 【新生銀行カード】NETstation*APLUS重要なお知らせ」
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
「NETstation*APLUS」は新生銀行が発行するアプラスカード会員専用のウェブサイトの事です。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「APLUS Co., Ltd. <wcignqofz@rlni.net>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
「アプラスカード」さんには、”aplus.co.jp”って正規ドメインをお持ちです。
国内の信販企業が、正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを
使ったメールアドレスでユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。
空きドメインでメールを送る?!
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「wcignqofz@rlni.net」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
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Message-ID:「20220630004244447682@rlni.net」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
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Received:「from rlni.net (unknown [59.58.105.9])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
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まずは、”rlni.net”について情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら
差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり
処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金
さて、どう出るのでしょうか?
あっ…それ以前の問題でした(;^_^A
「対応するIPアドレスがありません」とあるのでこのドメインは現在使われていないもののようです。
確認のため、取得可能かどうかバリュードメインさんで確認してみると。
やはり空きドメインで今すぐ1円で所得可能なことが分かりました。
ということは、アドレス偽装確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”59.58.105.9”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスに関する情報を所得してみます。
このIPアドレスには"dynamic.163data.com.cn“というドメインが割当てられているようです。
このドメインについてGoogle検索してみると、スパムだの不正アクセスだのとたくさんの良くない情報が
出てきます。(;’∀’)
このIPアドレスの割り当て地を調べてみました。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、「中国福建省ホ田市」付近です。
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。
”.vip”怪しげなトップレベルドメインを使ったサイト
では引き続き本文。
この度、当社はセキュリティシステムの大幅なアップグレードを実施しているため、
ご登録された個人情報を再確認する必要がございます。
つきましては、以下へアクセスの上、ご登録された個人情報の確認にご協力をお願い致します。
ご回答をいただけない場合、カードのご利用制限が継続されることもございますので、予めご了承下さい。
確認
ご確認をいただけない場合、ご利用の口座に制限がかけされる恐れがございますので、予めご了承下さい。
お客様にはご迷惑、ご心配をお掛けし、誠に申し訳ございません。 |
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは「確認」って書かれた黄色いボタンに付けられていて、リンク先の
URLがこちらです。
”.vip”なんてとても怪しげなトップレベルドメインです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。
そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”aipluoeu2sil.vip”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
ぼかしを入れるところが無いほど見事にプライバシー保護でマスクされています。
唯一分かるのは、申請はアメリカアリゾナ州の「Domains By Proxy」が代行している事。
そしてこのドメインを割当てているIPアドレスは”149.57.140.169”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、アメリカロサンゼルスにある「ロサンゼルス市庁舎」付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
開いたのはアプラスカード会員用専用サイト「NETstation*APLUS」のログインページ。
もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください。
それにしても本家サイトと全く見分けが付きません(;^_^A
それもそのはず、これらの偽サイトは、本家のサイトを丸ごとダウンロードして作られているので
クーロンできてしまうのです!
まとめ
システムアップグレードで情報確認を促すのは、まず間違いなくフィッシング詐欺メールです。
これ以外にも金融機関からのメールでリンクから情報確認を促すものには十分注意して扱うように
してください。
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |