「変更をご WEBサービス」と「変更をご 方法」って…
JCBカードを騙る長ったらしい件名のメールが届きました。
なんかメルマガのようなメールなのに、書かれているのは詐欺メールにありがちな第三者不正利用の疑い。
読んでみると、所々日本語の使い方がおバカさん。
特に「変更をご WEBサービス」と「変更をご 方法」って…そんなのに「お」付けますか?(笑)
では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。
件名は
「[spam] あなたのjcbカードにはリスク取引がありますので、3日以内にパスワードを変更し、リスクを解除してください」
件名にここかで書きますかって感じ。
そんな詳しいことは本文に書けばいいのでは?と思ってしまいます。
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。
差出人は
「"JCB Webmaster" <mail@qa.jcb.co.jp>」
皆さんはご存じでしょうか?
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。
ですから、ここは信用できない部分です。
上手く化けているつもりでしょうけど…
”jcb.co.jp”は確かに「JCBカード」さんのドメインですが、件名に”[spam]”とあるので
このメールは詐欺メール故に偽装の疑いがあります。
その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。
既にブラックリスト入りしていたIPアドレス
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか!
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。
Return-Path: 「mail@qa.jcb.co.jp」
”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される
メールアドレスです。
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に
偽装可能なフィールドなのであてにできません。
|
Message-ID:「20220621002008556024@qa.jcb.co.jp」
”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。
このIDは世の中に1つしかありません。
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。
|
Received:「from qa.jcb.co.jp (unknown [45.43.62.173])」
”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む
自局のホスト情報です。
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。
|
全ての項目に”jcb.co.jp”と書かれているので、この差出人はあくまで自分は”jcb.co.jp”だと言い張ります。
では、その鼻っ柱をへし折るために、まずは”jcb.co.jp”について情報を取得してみます。
このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら
差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり
処罰の対象とされます。
※特定電子メール法違反
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金
さて、どう出るのでしょうか?
当然ちゃんと「株式会社ジェーシービー」さんの持ち物です。
そして”104.18.166.43”がこのドメインを割当てているIPアドレス。
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”45.43.62.173”ですから全く異なります。
これでアドレス偽装は確定。
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね!
この中で一番重要なのは”Received”
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。
”Received”のIPアドレス”45.43.62.173”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。
ピンが立てられたのは、ドイツのフランクフルト・アム・マイン付近です。
よく見ると、このIPアドレスの持つ脅威レベルは「高」で、脅威の詳細は「サイバーアタックの攻撃元」
攻撃対象は「メール」とされていますから、悪意のある物として既にブラックリスト入りしています。
読めば読むほどお粗末な日本語
では引き続き本文。
あなたのクレジットカード口座が第三者によって使用されていることを検知したので、
あなたの口座が資金の安全のために凍結されたのですが、すぐにWEBサービスIDとパスワードを
再登録して、制限を解除しなければなりません
変更をご WEBサービスよりお申込みください。
■ 変更をご 方法
▼MyJCBログインはこちら
h**ps://my-jcb-co-jp.icooya.com(直リンク防止のため一部文字を変更しています) |
何度読み返してもお粗末な日本語ですね。(笑)
このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。
そのリンクは、本文末尾に直書きされていて、リンク先のURLがこちらです。
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。
そのカテゴリは「詐欺サイト」と書かれています。
このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”my-jcb-co-jp.icooya.com”
このドメインにまつわる情報を取得してみます。
申請は、中国浙江省から行われています。
このドメインを割当てているIPアドレスは”104.21.10.222”
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。
ピンが立てられのは、カナダの「トロント旧市役所」付近。
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。
ほらいたのは「MyJCBにようこそ」と書かれた、JCBカードユーザー専用のインターネットサイト
「MyJCB」へのログインページ。
もちろんそっくりに作られた偽サイトですから絶対にログインしないでください。
まとめ
メールアドレスは偽装されている上に、メルマガのような本文でつい騙されそうですが
本文を読んでみると…(;^_^A
これで騙されるなら騙されるあなたが悪いと言われても仕方ないですよね?
でも恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |