「VISAカード」に成りすましたのですが、あまりにも日本語がおバカちゃん過ぎて すぐにバレてしまうフィッシング詐欺メールが届きました。(笑)  本文の解説は後にして、まずは、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] VISAカード不正使用からの保護」 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「Visa <iyvumnp@visa.co.jp>」 ”visa.co.jp”は確かに「VISA」のドメインですが、件名の”[spam]”を見せられた後では 全く信じられませんね。 その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。 差出人は「カゴヤ・ジャパン」さんのユーザー では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「iyvumnp@visa.co.jp」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「E1945803F76B4E0C6967E7D7167AEDF9@visa.co.jp」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from visa.co.jp (v133-18-224-173.vir.kagoya.net [133.18.224.173])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | 差出人は、あくまで我こそは「visa.co.jp」と言い張るようですね。 まずは、”visa.co.jp”について情報を取得してみます。 このドメインを割当てているIPアドレスが”Received”に記載されているものと同じなら 差出人のメールアドレスだと認めますが、そうでない場合、特定電子メール法違反となり 処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金 さて、どう出るのでしょうか?  ”162.159.152.2”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 ”Received”に書かれているのが”133.18.224.173”ですから全く異なるので、この方はやはり アドレス偽装。 しっかり罪を償っていただきましょう! ”Received”のIPアドレス”133.18.224.173”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  かなりアバウトな位置情報であることをご了承いただいた上でご覧いただくとして。 ピンが立てられたのは、「東京都千代田区」付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 利用されたプロバイダーは「KAGOYA JAPAN Inc.」とあるので、この差出人は、カゴヤジャパンの ユーザーのようです。 それにこのIPアドレスは、既に気用意レベルが「高」と評価されています。 その詳細は「メールによるサイバーアタック」とされています。 なんともチープな本文 ではお楽しみにしている本文をば。 日頃よりVISAカードのクレジットカードをご愛顧賜り誠にありがとうございます。 これまで、クレジットカードの不正利用は非常に多かった。 そのため、すべてのVISAカードに保護サービスを追加しました。 自分のクレジットカードを安全に使いたいなら。 VISAクレジットカードの保護に加入してください。 ■カードの保護サービスへの加入 アクセスできない場合は、このメールをゴミ箱から出してください。 | 「これまで、クレジットカードの不正利用は非常に多かった。」って、なぜに感想を聞かされなきゃ いかんのでしょうか? そんなメール見たことが無いです…(笑) 「アクセスできない場合は、このメールをゴミ箱から出してください。」って ゴミ箱から出せばアクセスできるようになるの? そんなの聞いたことありません…(;^_^A このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「カードの保護サービスへの加入」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLがこちらです。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  このように既に危険サイトと認識されており、カテゴリは「詐欺サイト」と書かれています。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”visa.co.jp.qrtrc.com” このURLのドメイン部分は”visa.co.jp”ではなく”qrtrc.com”ですからお間違いないように。 このドメインにまつわる情報を取得してみます。  申請者の詳しい情報は取得できませんが、ロンドンにあるレジストラかな? このドメインを割当てているIPアドレスは”155.94.144.10” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカであるロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 表示されたのは、「VISA」の偽サイトです。  サイトを丸ごとダウンロードしそれを使って複製されているので本物と全く見分けが付きません。 間違っても絶対にログインしないでください! まとめ いくらメールアドレスが偽装されているからと言って、この本文じゃ騙されたくても 騙されることはできませんね。(笑) でも、詐欺メールはこのような幼稚なものばかりではありません。 本文からリンクを促すようなメールには、十分気を付けて取り扱うように心掛けてください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |