「Amazon」なのに「えきねっと」とは。。。 またしてもAmazonを騙る新種のフィッシング詐欺メールが届きました。 そのメールがこちらです。  では、このメールもプロパティーから見ていきましょう。 件名は 「[spam] Amazon.co.jpをご利用いただきありがとうございます」 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 「”info_amazon.co.jp” <eki-net@amazon.co.jp>」 ええ?冗談でしょ? ”amazon.co.jp”を名乗っておきながら”eki-net“??…「えきねっと」って??? 真剣に書いているのかそれとも釣りなのか…(汗) ”amazon.co.jp”は確かに「Amazon」のドメインですが、これじゃねぇ… その辺りを含め、次の項で見ていくことにしましょう。 当然の偽装 では、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 Return-Path: 「eki-net@amazon.co.jp」 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される メールアドレスです。 一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 偽装可能なフィールドなのであてにできません。 | Message-ID:「11CE00637EAE5CF3C23FFFEE82B0BDFC@amazon.co.jp」 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 このIDは世の中に1つしかありません。 ”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 | Received:「from amazon.co.jp (unknown [175.146.97.5])」 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 自局のホスト情報です。 ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 | まずは、”amazon.co.jp”について情報を取得してみます。 まあそんなことは無いと思いますが、このドメインを割当てているIPアドレスが ”Received”に記載されているものと同じなら差出人のメールアドレスだと認めますが そうでない場合、特定電子メール法違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰するほか、法人に対して3000万円以下の罰金 さて、どう出るのでしょうか?  ”52.119.168.48”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 ”Received”に書かれているのが”175.146.97.5”ですから全く異なるので、この方はやはり アドレス偽装。 しっかり罪を償っていただきましょう! ”Received”のIPアドレス”175.146.97.5”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられたのは、中国遼寧省本渓付近です。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 リンクに繋ぐと”localhost”にリダイレクトされた では引き続き本文。 Amazon.co.jpをご利用いただきありがとうございます。 アカウントで異常なアクティビティが検出されたため、注文とAmazonアカウントを停止しました。 ログイン日時: 2022年5月17日 注文番号: 249-3685362-6684632 IPアドレス: 81.106.66.23 アカウントへのアクセスを再開するには、サインイして画面の指示に従ってください。 必要な情報をご提供いただいたら、当サ仆トで調査の上、24時間以内に返信いたします。 何卒、よろしくお願い申し上げます。 本件についてご迷惑をおかしましたことをお詫び申し上げます。 承認または否認してください。 アカウントスペシャリスト | これは第三者不正利用を疑い注文とアカウントを停止したので、解除するために リンク先に従うように書かれています。 それにご丁寧に、ログイン日時、注文番号、IPアドレスが記載されています。 もちろん全部でたらめですけどね! 因みにIPアドレスの割り当て地なんてイギリスだし…(笑)  このメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは「承認または否認してください。」って書かれたところに張られていて、リンク先の URLがこちらです。  このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。  このように既に危険サイトと認識されており、カテゴリは「フィッシング」と書かれています。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”amazon.co-jp.info” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  登録者は、アメリカアリゾナ州フェニックスにある「See PrivacyGuardian.org」ってレジストラ。 詐欺師は恐らくこのレジストラに委託して取得したドメインなのでしょう。 このドメインを割当てているIPアドレスは”208.115.245.86” このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。  ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカであるロサンゼルス近郊にあるリトルトーキョーに程近い場所。 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。  アクセスができませんでした。 「localhost で接続が拒否されました」と書かれていますね。 どうやらリンク先のURLから”localhost”にリダイレクトされたようです。 ”localhost”とは、自局の事で、簡単に言うと私が今ネットを見ているこのPCの事。 当然このPCにはウェブサーバーなんて無いし、ましてやウェブサイトも構築していません。 だから「アクセスができませんでした」となるわけです。 詐欺サイトは、捜査の手が及ぶのを恐れ、えてして時々姿をくらまします。 こうすることで少しでも捜査の手から逃れようとしているのです。 先程ご覧いただいた通り、IPアドレスとドメインは紐づけされたままなのでサイトは簡単に 復活することが可能な状態です。 まとめ しかしAmazonを名乗っておきながらの「えきねっと」には参りました。。。 知っててやってるなら愉快犯か釣り。気付かずにただ単に間違いならば相当のおバカさんですね。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |