【続報】セゾンカード「期限間近のポイント」詐欺——SPF・DKIM完全Passに加え、本文中の”偽の見分け方”にも要注意

| 緊急性レベル | ★★★★☆ (4/5) |
| 偽装工作精度 | ★★★★★ (5/5) |
■ メールヘッダー解析(送信者情報)
件名:[spam]【至急確認】期限間近のポイントについて
表示名:永久不滅ポイント通知
SPF:Pass DKIM:Pass(署名ドメイン:攻撃者が自己取得したドメイン)
受信日時:2026年7月23日
※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載です。
ご覧の通り、このメールは公式セゾンカードを装った真っ赤な偽物です。SPFもDKIMも合格していますが、正規メールである証拠にはなりません。被害を未然に防ぐため、この解析結果を家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。
それでは、実際に届いたメールの内容から見ていきましょう。
※以下の内容は届いた詐欺メールを技術検証のために忠実に再現したものです。宛先など個人情報に関わる部分は伏字にしています。
セゾンカード会員様へ 【重要なお知らせ】 いつもセゾンカードをご利用いただき、誠にありがとうございます。 会員様が保有する「永久不滅ポイント」のうち、まもなく有効期限を迎えるポイントがございます。期限を過ぎますとポイントは自動失効となり、失効後の復旧・再付与には対応いたしかねます。お早めにご確認ください。 失効予定の永久不滅ポイント 保有ポイント(期間限定・ボーナスポイントを含む) 8,950 pt 失効日:2026年7月31日(金) [Netアンサーで確認・交換する](アプリ・Webにて24時間受付) 会員専用WEBサービス「Netアンサー」ログインはこちら ※永久不滅ポイント対象外カードをお持ちの場合、本案内の対象外となる場合がございます。 ※各種商品への交換、キャッシュバック、他社ポイント・マイルへの移行手続きは、有効期限までに完了させてください。 【安全にご利用いただくためのお願い】 ▶ Netアンサー メール配信設定 ▶ ご登録情報の確認・変更 ▶ お客様サポート・よくあるご質問 ※本メールはポイント期限に関する重要通知のため、メール配信を「希望しない」に設定中のお客様にも送信しております。 ※フィッシング詐欺にご注意ください。リンク先URLが「season-card.com」または「netanswer.saisoncard.co.jp」であるかご確認ください。 発行者 株式会社クレディセゾン 東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60 配信管理番号:SAISON2026-PERMANENT-POINT Copyright © 2026, Credit Saison Co., Ltd. All Rights Reserved.

実際に受信した詐欺メールの画面。Netアンサーのデザインを精巧に模倣している
■ 攻撃者自身が仕込んだ「偽の見分け方」に要注意
このメール本文には、ご丁寧にも「フィッシング詐欺にご注意ください。リンク先URLが『season-card.com』または『netanswer.saisoncard.co.jp』であるかご確認ください」という一文があります。しかし正規のセゾンカード公式ドメインは「saisoncard.co.jp」であり、「season-card.com」は正規ドメインと1文字違いの偽物(タイポスクワッティング)です。攻撃者が本物らしさを演出するために、わざと本物と見分けがつきにくい”確認用ドメイン”を自作自演で本文に埋め込んでいる、非常に悪質な手口です。
💡ここで! SPF・DKIMが両方「Pass」なのに、なぜ詐欺だと分かるの?
SPFは「送信サーバーが正しいか」、DKIM(DomainKeys Identified Mail)は「メールの内容が送信後に改ざんされていないか」を電子署名で保証する仕組みです。どちらも、あくまで「送信者が名乗っているドメインの持ち主が、正しく設定していれば合格する」という技術的なチェックに過ぎません。今回の攻撃者は、Appleやセゾンカードの本物のドメインではなく、自分で取得した無関係なドメインに対してSPF・DKIMを正しく設定したうえで、表示名だけを「永久不滅ポイント通知」のように偽装していました。つまりSPF・DKIMのPassは「このドメインの持ち主が設定した」ことの証明であって、「名乗っているブランド本人からのメールである」ことの証明にはならないのです。
■ 送信ルート及び偽装判定
送信元IP(Received-SPFヘッダーより特定):
149.72.154.232(helo=s.wrqvwxzv.outbound-mail.sendgrid.net)
回線情報(ip-sc.net確認):
プロバイダ:SendGrid, Inc./AS11377(SENDGRID)/利用形式:hosting
所在地:アメリカ コロラド州 デンバー
【偽装判定】:
今回、正規のメール配信サービスSendGridの認証(SPF・DKIM)自体は合格していますが、これは「攻撃者が自分で取得したドメインの認証が通っているだけ」であり、セゾンカード公式からのメールであることの証明にはなりません。さらに、このip-sc.netの調査結果ページには、同一の送信元IP・送信ホスト名(s.wrqvwxzv.outbound-mail.sendgrid.net)が、過去に「Amazon×PayPayスペシャルキャンペーン」「NHKプラス支払い手続き」「アマゾンを装う迷惑メール」など、少なくとも4種類の全く異なるブランドのなりすましに使い回されていたとの利用者コメントが複数寄せられていました。SendGridのような大手配信サービスは多数の利用者でIPプールを共有するため、IPアドレス単体は攻撃者の特定にはつながりませんが、「様々なブランドを騙る攻撃者に日常的に悪用されている送信経路である」ことは間違いなさそうです。
■ フィッシングサイト詳細解析
誘導先ドメイン:jashotr.me(Cloudflareの「セキュリティチェック」画面を経由)
解決先IP:43.165.177.29
回線情報(ip-sc.net確認):
プロバイダ:Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited/AS132203(TENCENT-NET-AP-CN)/利用形式:hosting
ロケーション:日本 東京都 渋谷区(Tencent Cloudの東京リージョンとみられます)
【サイトの状態】:Cloudflareのセキュリティチェックを通過した先のAPIにアクセスしたところ、「no real url configured(実際の遷移先URLが設定されていません)」というエラーが返ってきました。誘導の”入口”は用意されているものの、肝心の偽ログインページ自体がまだ設定されていない、いわば準備不足の状態です。
正規サービスのSPF・DKIMまできちんと設定しておきながら、着地点の設定を忘れているとは、力の入れどころを間違えているのではないでしょうか。

リンク先で表示されたCloudflareの「セキュリティチェック」画面。この先のAPIは実際の遷移先が未設定の状態だった

誘導の”入口”は用意されているものの、肝心の偽ログインページ自体がまだ設定されていない状態だった
■ 注意点と対処法
- SPF・DKIMが合格していても油断しない:技術的な認証チェックの合格は、送信ドメインの持ち主が正しく設定したことを示すだけで、名乗っているブランド本人からのメールとは限りません。
- メール本文に書かれた「確認用URL」も鵜呑みにしない:本文中に記載された確認用ドメインそのものが偽物である場合があります。ドメインは検索エンジンや公式アプリから確認したものだけを信用してください。
- メール内のリンクをクリックしない:ポイント確認は必ずNetアンサーの公式アプリ、またはブックマークしてある正規URLから行ってください。
- 公式注意喚起の参照:クレディセゾン公式 不審なメール・フィッシングサイトにご注意ください
本レポートの結論
7月8日の3通連続波状攻撃に続き、同じ「セゾンカード」ブランドを騙る攻撃者が、今度は送信インフラをGoogle Cloud PlatformからSendGridへと切り替え、SPF・DKIMともに完全合格させる高い偽装精度を実現していました。一方で誘導先の設定自体は未完成という、詰めの甘さも同時に見えた案件です。身近な人が油断してからでは手遅れです。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで『これ気をつけて!』と共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net
配色テーマ:Teal
















