丑三つ時に東京都水道局からメールが4通 愛知在住の私に、昨夜丑三つ時に東京都水道局からメールが立て続けに4通。 それぞれ 『未納通知書:水道料金のお支払いが未了です』 『お知らせ:水道料金の滞納が発生しています』 『水道料金の未納通知です』 『水道料金の未納についての通知』 と、どれも料金未納の督促のようです。 でも、どうして愛知県に住む私に東京都の水道料金を請求するのでしょうか? もちろん、東京と愛知の二重生活なんてしていませんし… それ以前に東京都水道局がどうして私のメールアドレスを知っているのでしょうか?…(;^_^A はい、もう賢明なあなたならお分かりですよね? そう、このメールは東京都水道局に成り済まし、未納の水道料金の督促を騙った詐欺メールです。 ではこの中から、一番新しいものをチョイスしてご紹介することにいたします。 そのメールがこちらです。 我慢できずに落書きしてしまいました。(笑) いつもならセキュリティー上ブロックされている画像を表示した状態のものをお見せするのですが 今回は届いたそのままの画像を掲載しています。 その理由は、付けられた画像名をそのまま表示させるためです。 よく見るとその画像名は 文字化けするので画像で貼り付けましたが、書いてあるのは『東京都自来水局』 先頭の『東』って漢字はどうやら中国のフォントらしき文字が使われていますね。 それにしても『自来水局』って聞きなれない言葉は何を意味するのでしょうか? もしかして中国の言葉?? ならば翻訳してみるしかありませんね! って訳でGoogle先生にお願いして日本語に翻訳してもらうと。 そう、『自来水局』は、中国では『水道局』の意味で。 ということはこのフィッシング詐欺メールは、中国人の仕業?! まあ、そんなことは今に始まったことではありませんがフィッシング詐欺メールは中国人が 関わるものが大半です…(;^_^A このメール、他にもおかしなところがいくつかあって、正式には『東京都水道局』と言う団体名のはずが 本文には『東京水道局』って『都』が抜けていたり。 『オンラインでの支払いは以下のリンクよりお進みいただけます』と書いてあるのに以下にはリンクは無く 更には『添付の支払いガイドには他の支払い方法も記載されております』と書かれているのに、メールには オンラインでの支払いしか記載されておらず添付ファイルは存在しません。 ま、詐欺メールに難癖付けてても仕方ないので早速このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は『[spam] 未納通知書:水道料金のお支払いが未了です』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”東京都水道局” <email@tokyo-waterworks.jp>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 それらしい”tokyo-waterworks.jp”なんてドメインが使われていますよね? でもこれは東京都水道局のものではありません。 東京都水道局の正式なドメインは”waterworks.metro.tokyo.lg.jp”です。 故に子音メールは東京都水道局からのものではありません! ”Received”にはロシアのドメインが では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ほらほら、ボロが出ましたね。 ここには先程あったドメインとは全く異なる”hair-47.vm.sshvps.ru”なんてドメインが記載されています。 因みに”.ru”はロシアに割当てられた国別ドメインです。 ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーのもので すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 違反となり処罰の対象とされます。 ※特定電子メール法違反 ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・法人の場合、行為者を罰する では、メールアドレスにあったドメイン”tokyo-waterworks.jp”が差出人本人のものなのかどうかを 調べてみます。 これがドメイン”tokyo-waterworks.jp”を割当てているIPアドレスの情報です。 これによると”54.238.66.60”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 本来このIPは”Received”のIP”45.141.85.252”と同じ数字の羅列になるはずですが、それが全く異なるので このメールのドメインは”tokyo-waterworks.jp”ではありません。 これでアドレスの偽装は確定です! ”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。 表示された地図にピンが立てられたのは、ロシア第二の都市の『サンクトペテルブルク』 ここ最近、この地のサーバーから送られてくるフィッシング詐欺メールが大変多くなっています。 送信に利用されたのも、ロシアに拠点を置く『Media Land LLC』と言うプロバイダーです。 ここは詐欺リスクの 高いISPとの評価が多く見られます。 『拝啓 お客様』って…それ使う? では引き続き本文。 『拝啓 お客様』から始まるメール。 笑っちゃいますよね、この時代律儀に『拝啓』なんて使いませんよね?(笑) このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『・オンラインでの支払い』って書かれたところに付けられていて、 そのリンク先のURLとトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価がこちらです。 おやおや、まだ新しいドメインなのでしょうか? 『未評価』と書かれていますね。 早急に評価を変更していただけるように私から変更の申請を行っておきます。 因みに他3通のメールに付けられたリンク先の同じURLでした。 このURLで使われているドメインは、サブドメインを含め”tokyo-waters.com” このドメインにまつわる情報を取得してみます。 カリフォルニア州サンマテオで管理されているこのドメインを割当てているIPアドレスは”155.94.170.151” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。 今度はアメリカロサンゼルスですね。 利用されているホスティングサービスもアメリカに拠点を置く『QuadraNet Enterprises LLC』 ここが運営するこの辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 トレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価からすると、リンク先の 詐欺サイトは、どこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われます。 そんなサイトに、調査を目的で安全な方法を利用して訪れてみることにします。 案の定あっさりと開いたのは『東京水』と書かれてこのサイトです。 適当の情報入力し先に進んでみると最終的に開いたのはこちらのページです。 結局、カード情報の入力画面。 奴らはこのページを表示させるためにあれこれ思考を凝らせたメールを送り付けてくるのです! 間違ってもカード情報を入力してはいけません!! まとめ 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |