件名に「できるだけ」なんて使う?
JR西日本になりすます本文が箇条書きのフィッシング詐欺メールが到着。 
 
「当社は4月15日にシステムを更新する予定です」とい書いてありますが、今日は8月16日。 
って、いつの話??(笑) 
それに、24時間以内にログインしろと書いてありながら「有効期間は3日間です」って 
もう滅茶苦茶です…(;^_^A 
では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! 
まずはプロパティーから見ていきましょう。 
件名は 
「[spam] 【JR西日本:Club J-WEST】できるだけ早くアカウント認証を完了する」 
ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 
「Club J-WEST」は、JR西日本が提供する3つの会員サービスの総称。 
この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 
このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている 
ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 
うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 
否応なしに「迷惑メール」フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 
差出人は 
「"JR西日本" <uixymhe@hke.net>」 
皆さんはご存じでしょうか? 
この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 
ですから、ここは信用できない部分です。 
「Club J-WEST」さんには、”jr-odekake.net”って正規ドメインをお持ちです。 
正規ドメインが有るのにそれ以外のこのようなでたらめなドメインを使ったメールアドレスで 
ユーザーさんにメールを送るなんて信用問題に関わる大きな問題です。 
それに”hke.net”なんて短く価値あるドメインのメールを犯罪に使うでしょうか? 
そのあたりも含め次の項で詳しくみていきましょう! 
 
やはりメアドは偽装
では、このメールがフィッシング詐欺メールであることを立証していきましょうか! 
まず、このメールのヘッダーソースを確認し調査してみます。 
私が愛用のThunderbirdの場合、「表示(V)」⇒「メッセージのソース(O)」と進むと見られますよ。 
ソースから抜き出した「フィールド御三家」がこちらです。 
| Return-Path: 「uixymhe@hke.net」
 ”Return-Path”は、このメールが何らかの障害で不達に終わった際に返信される 
メールアドレスです。 
一般的には、差出人と同じメールアドレスが記載されますが、ここは誰でも簡単に 
偽装可能なフィールドなのであてにできません。 
 | 
 
| Message-ID:「20220816062252567747@hke.net」
 ”Message-ID”は、そのメールに与えられた固有の識別因子。 
このIDは世の中に1つしかありません。 
”@”以降は、メールアドレスと同じドメインか若しくはデバイス名が入ります。 
ここも偽装可能で鵜呑みにはできません。 
 | 
 
| Received:「from hke.net (unknown [175.150.79.129])」
 ”Received”は、このメールが通過してきた各受送信サーバーが自身で刻む 
自局のホスト情報です。 
ここに掲げた”Received”はこのメールが最初に通過したサーバーのもの。 
すなわち、差出人が使った送信サーバーの自局情報。 
記載されている末尾の数字は、そのサーバーのIPアドレスになります。 
 | 
 
 
先に書いた通り”Received”に記載のIPアドレスは差出人が利用したメールサーバーのもの。 
このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば 
メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法 
違反となり処罰の対象とされます。 
※特定電子メール法違反 
・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 
・法人の場合、行為者を罰する 
では、メールアドレスにあったドメイン”hke.net”について調べてみます。 
 
”64.190.63.111”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 
本来同じでなけれならない”Received”のIPアドレスが”175.150.79.129”ですから全く異なります。 
これでアドレス偽装は確定。 
この方にはしっかり罪を償っていただかなければなりませんね! 
「フィールド御三家」の中で一番重要なのは”Received” 
これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 
”Received”のIPアドレス”175.150.79.129”は、差出人が利用しているメールサーバーのもの。 
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。 
 
IPアドレスを元にしているので、かなりアバウトな位置であることをご承知いただいた上でご覧ください。 
またしても中国が絡んできましたね、ピンが立てられたのは、「遼寧省本渓」付近です。 
このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 
 
詐欺サイトのサーバーは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルスにあり
では引き続き本文。 
| 日頃より「 JR西日本」をご利用いただきありがとうございます。
 ● 当社は4月15日にシステムを更新する予定です。 
●アカウントに長期間ログインしていないため、 
●24時間以内にアカウントにログインして関連情報を更新してください。 
●アカウント情報を更新しない場合は、アカウントを削除させていただきます。 
●ご協力ありがとうございます。 
⇒ログインはこちら 
※お早めに手続きを継続してくだい。 
(有効期間は3日間です)  | 
 
 
何故箇条書きにしたのかは不明ですが、詐欺メールではちょくちょく見られます。 
この支離滅裂のメールは、フィッシング詐欺メールなので詐欺サイトへのリンクが付けられています。 
そのリンクは「ログインはこちら」って書かれたところに張られていて、リンク先の 
URLがこちらです。 
 
このサイトの危険性をトレンドマイクロの「サイトセーフティーセンター」で確認してみます。 
 
このように既に危険サイトと認識されており、ブラックリストに登録済み。 
そのカテゴリは「フィッシング」と書かれています。 
このURLで使われているドメインは”www.amukgy1.shop” 
このドメインにまつわる情報を取得してみます。 
 
やはりここでもtっ有語句が絡んできますね、登録者住所は、中国北京。 
そしてドメインレジストラは、アメリカアリゾナ州フェニックスにある「NameSilo」 
このドメインを割当てているIPアドレスは”204.152.210.51” 
このIPアドレスを元にその割り当て地を確認してみます。 
 
それ以前に、このIPアドレスは相当危険なようで既にブラックリスト入りしています。 
脅威のレベルは「高」で、その詳細は「Webによるサイバーアタック」とされています。 
ピンが立てられのは、詐欺サイトのメッカ、ロサンゼルス近郊のリトルトーキョーに程近い場所。 
フィッシング詐欺サイトは、この付近に密集しています! 
この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 
危険と言われると見に行きたくなるのが人情と言うもの。 
安全な方法でリンク先の詐欺サイトに調査目的で訪れてみました。 
まず真っ先にChromeにブロックされてしまいました。 
 
危険を承知でその先にある詐欺サイトへ進んでみます。 
すると開いたのは、「JR Club J-WEST 会員サポート」と書かれたログインページ。 
もちろん偽サイトですから絶対にログインしないでください! 
 
 
まとめ
あまり言いたくはありませんが、フィッシング詐欺メールのその殆どが中国が絡むもの。 
複数のグループがあるのでしょうね…困ったものです。 
恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの 
フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 
次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 
いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;  |