「りそなクラブポイント有効期限」は偽メール――偽造されたYahoo!経由履歴とGoogle Cloud東京発の巧妙な二重工作

8月最後の週末、皆さまいかがお過ごしでしょうか。今日はりそな銀行の「りそなクラブポイント」失効を騙るメールをご紹介しますが、ヘッダーの中身を覗いてみたところ、なかなか手の込んだ小細工が見つかりました。
結論:これは「りそなクラブポイント」の失効を装う真っ赤な偽物です。りそな銀行の正規サイト「マイゲート」とは一切無関係です。
■ 届いたメールの中身
メールには「りそなホールディングス」のロゴとともに、「3,574ポイント」という具体的な数字と「有効期限:2026年8月31日(月)まで」という短い期限が示され、焦りを誘う典型的な作りでした。
実際に届いたメール。りそなホールディングスのロゴを模し、具体的なポイント数を提示している
今回もテキスト表示に切り替えると、冒頭部分がHTML版とは異なっていました。文頭が同じ文章のまま2回繰り返された上に、目に見えない制御文字(ゼロ幅接合子など)が紛れ込んでおり、テンプレートの結合処理がうまくいっていない様子がうかがえます。
■ 送信ルート及び偽装判定――偽造されたYahoo!経由履歴
今回のメールで最も注目すべき点は、ヘッダーの中身です。
実在しない配送経路のでっち上げ
通常、メールヘッダーの「Received」欄には、メールが実際に通過してきたサーバーの記録が、新しい順に積み重なって記録されます。ところが今回のメールには、Yahoo!メールの内部サーバーを模した「Received」行が複数挿入されていました。まるで本当にYahoo!メールを経由してきたかのように見せかける、手の込んだ偽装です。送信ツールの記載も「YahooMailWebService」となっており、徹底してYahoo!メールから送られたことにしたい様子がうかがえます。
実際の送信元はGoogle Cloud(東京)
しかし、ヘッダーの「Received-SPF」欄に記録された実際の接続元IPアドレスを確認すると、真の送信元はGoogle Cloudの東京リージョンにある、攻撃者自身が用意したサーバーであることがわかりました。SPF・DKIMがPassしているのも、この攻撃者自身のドメイン(jxweisanyun.com)に対する認証が通っているだけで、りそな銀行とは無関係です。Yahoo!経由に見せかけた偽の記録は、あくまで見た目を整えるための演出に過ぎません。
■ 用語解説
Receivedヘッダー:メールが実際に通過してきたサーバーの記録です。通常は偽装できないとされていますが、攻撃者が自分の管理下にあるサーバー上でメールを作成する際、この記録自体を手作業で書き足すことは技術的に可能です。
SPF・DKIM:メールの送信元が偽装されていないかを確認する仕組みです。ただし、これらが「Pass」でも、送信元自体が攻撃者の管理下にあるドメインであれば意味を持ちません。
■ フィッシングサイト詳細解析
メール内の「今すぐログインして確認・交換する」というボタンを追跡すると、以下のような状況でした。
誘導リンク
URL:hxxps://baojianzj[.]com/?label=360eaa8fa443f0df732c321e3db31ba1
Cloudflare経由のため、サイトサーバーの実際の所在地は特定できません。
アクセスすると表示されたのは、りそな銀行の会員サービス「マイゲート」を精巧に模したログイン画面でした。ご指摘の通り、これは以前から使われている定番のキットデザインで、当サイトでも過去に類似の作りを確認しています。
最終的に表示された偽のマイゲートログイン画面。ログインID・パスワードの入力欄が並ぶ
この画面にログインIDやパスワードを入力してしまうと、マイゲートのアカウントを乗っ取られ、口座情報や個人情報を盗まれる危険があります。
■ 注意点と対処法
- URLをクリックしない:メール内のリンクは絶対にクリックしないでください。
- ヘッダーの「経由履歴」だけで安心しない:一見もっともらしい配送経路が記載されていても、それだけで正規メールとは判断できません。
- ポイント残高は公式アプリ・マイゲートで確認:必ずりそなグループアプリまたはブックマークした公式サイトから、ご自身でログインして確認してください。
- 既にログイン情報を入力してしまった場合:直ちにマイゲートサポートセンターまたは最寄りの支店に連絡してください。
- 公式の注意喚起も参照:フィッシング詐欺などの金融犯罪にご注意ください(りそなグループ公式)
本レポートの結論
「りそなクラブポイント有効期限」というメールの正体は、実際には経由していないYahoo!メールの配送履歴をでっち上げ、Google Cloud東京から送られた偽メールでした。「経由履歴が書いてあるから安心」とは限らない、という点を身近な方にもぜひ伝えてあげてください。この記事のURLをコピーして、家族のLINEグループで共有してあげてください。
Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit
根拠データ参照元:ip-sc.net














