英国の銀行員「Alfred Mathew」を名乗る1,800万ドル相続話は詐欺——送信元はサイバーアタック実績のある高脅威IP、米欧2拠点にまたがる同一組織の悪用インフラ

HL-META: date=2026-08-05 | brand=なし(架空の銀行員を騙る先払い詐欺) | sender_geo=ブルガリア(ソフィア) | site_geo=unknown | spf=pass | dkim=valid | cloaking=unknown

これまで解析してきた詐欺メールの多くは、実在の企業やサービスを騙り、偽サイトへ誘導してID・パスワードやカード情報を盗み取るタイプでした。今回はそれとはまったく違う、古典的で息の長い手口——いわゆる「ナイジェリアの手紙」系の先払い詐欺をご紹介します。

Heartland-Lab(ハートランド・ラボ)専門調査レポート

英国の銀行員「Alfred Mathew」を名乗る1,800万ドル相続話は詐欺——送信元はサイバーアタック実績のある高脅威IP

緊急性レベル ★★☆☆☆ (2/5)
偽装工作精度 ★★☆☆☆ (2/5)

英国ロンドンの銀行員を名乗る人物から、「相続人のいない顧客の1,800万ドルの資金を分配したい」と持ちかける英文メールです。偽サイトへの誘導はなく、返信を起点にやり取りを重ねさせる、昔から続く「先払い詐欺(advance-fee fraud)」の典型例でした。

※重要:このようなメールに返信しないでください。

※メールヘッダー詳細は個人情報保護のため非掲載です。

ご覧の通り、このメールは真っ赤な作り話です。実在する銀行員でも、本当の遺産相続の話でもありません。被害を未然に防ぐため、この解析結果をご家族のLINEグループに転送して注意喚起してください。

それでは、実際に届いたメールの内容から見ていきましょう。

※以下は届いた詐欺メールの原文(英語)と、当ラボによる日本語訳です。

Good day,

I am Alfred Mathew a banker working with one of the commercial banks here in London United Kingdom, being of sound mind and under no duress or undue influence, do hereby contact you to present you as an inheritor of my deceased client 18 million USD fund who died in 2019 during covid.

In his file no one was attached to the clients fund as next of kin. In my capacity as his personal banker, I will do all the necessary paper work that will cover release of the funds in your name without any hitch. Else the funds will go to state treasury as unclaimed funds.

For more information please get back to me for detailed procedure. We will share 60/40.

Regards,
Alfred Mathew

【日本語訳】

拝啓

私はアルフレッド・マシューと申します。英国ロンドンの、とある商業銀行に勤める銀行員です。正常な判断能力のもと、いかなる強制も不当な影響も受けていないことを申し添えたうえで、ご連絡いたします。私の顧客で、2019年にコロナ禍で亡くなられた方が遺した1,800万米ドルの資金について、あなたを相続人としてご紹介したく存じます。

その方のファイルには、資金の法定相続人(近親者)として登録されている人物がおりませんでした。担当銀行員としての立場上、資金があなたの名義で滞りなく引き渡されるよう、必要な書類手続きはすべて私が行います。もしこのまま手続きが行われなければ、この資金は「請求者なき資金」として国庫に帰属することになります。

詳しい手続きについてご興味があれば、ご返信ください。分配は60対40とさせていただきます。

敬具
アルフレッド・マシュー

実際に受信した詐欺メールの画面

💡 ここで! 用語をやさしく解説

先払い詐欺(advance-fee fraud)/「ナイジェリアの手紙」:「あなたに多額の資産・遺産・宝くじの当選金などを渡したい」という話を持ちかけ、その受け取り手続きの名目で「手数料」「税金」「弁護士費用」などと称した金銭を先に振り込ませる詐欺の総称です。1980年代からナイジェリア発の英文メールで多発したことからこう呼ばれますが、発信元は世界各地に広がっています。今回のメールもこの型に当てはまり、この時点ではまだ金銭を要求されていませんが、返信すればやり取りが進むにつれて「書類作成費用」等の名目で送金を求められる可能性が高いパターンです。

■ 送信ルート解析

表示上の送信者:“Alfred Mathew” <admin@uptimore.store>
返信先(Reply-To):alfredmathewaw@gmail.com

送信ドメインとは別に、実際の連絡先としてGmailアドレスが指定されています。送信専用の使い捨てドメインと、実際のやり取り用アドレスを分けるのは、この手の詐欺でよく見られる典型的な構成です。「銀行員」を名乗りながら連絡先が個人のフリーメールというだけでも、十分に不自然な点といえます。

実際の送信元(Received-SPF client-ip):85.121.49.69
HELO:uptimore.store
回線情報(ip-sc.net確認):M247 Europe SRL/AS9009(M247)/組織名:Urban Network Solutions SRL/所在地:ブルガリア・ソフィア
脅威レベル:高(ip-sc.net判定:サイバーアタックの攻撃元、攻撃対象:メール)

さらに内側の認証済み投稿記録:85.121.240.117
「Authenticated sender: admin@uptimore.store」としてSMTP認証済みの記録あり
回線情報(ip-sc.net確認):1Gservers, LLC/AS14315(1GSERVERS)/組織名:同じくUrban Network Solutions SRL/所在地:米国アリゾナ州マリコパ郡

ブルガリアと米国、プロバイダも国もまったく異なる2つのIPアドレスが、どちらも「Urban Network Solutions SRL」という同一の組織名に紐づいている点が注目されます。複数国のホスティング事業者を渡り歩きながら運用されている、悪用の常習性が疑われるインフラとみられます。SPF・DKIMはいずれも攻撃者自身が用意した「uptimore.store」ドメインに対して合格判定が出ていますが、これは実在の銀行や金融機関とは一切関係がありません。

■ 注意点と対処法

  1. 返信しない:返信すると、そのメールアドレスが「実際に読まれている」ことを攻撃者に知らせてしまい、その後さらに執拗な連絡が続く可能性があります。
  2. 「高額な資金」「相続」「分配」といった話は疑ってかかる:面識のない相手から、身に覚えのない多額の資金の話が来ること自体が不自然です。
  3. 手続き費用・手数料の類は絶対に支払わない:今回のメール単体では金銭要求はまだありませんが、この手の詐欺はやり取りが進むにつれて「書類作成費」「弁護士費用」「税金」等の名目で送金を求めてくるのが典型的な流れです。
  4. 個人情報・身分証明書の画像を送らない:手続きを名目に身分証明書の提出を求められても応じないでください。
  5. 迷ったら家族や周囲に相談:特にご高齢の方は、一人で判断せずに家族や身近な人に確認してから行動することをおすすめします。

本レポートの結論

実在しない「銀行員」を名乗り、身寄りのない顧客の遺産という架空の話で興味を引く、古典的な先払い詐欺でした。送信元IPはip-sc.netで「脅威レベル:高」と判定されており、ブルガリアと米国という異なる国のインフラが同一の組織名で運用されている点からも、使い捨てにされる詐欺インフラの実態がうかがえます。身近な方が「うまい話」に興味を持ってしまう前に、この記事のURLをコピーして、ご家族のLINEグループで「これ気をつけて!」と共有してあげてください。

Data Provided by Heartland-Lab Security Research Unit

根拠データ参照元:ip-sc.net

使用配色テーマ:Burgundy

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