Amazonのメールを商売敵のセシールが送信?? いつもご覧くださりありがとうございます!  最近よくある詐欺メールで、差出人のアドレスで差出人とは異なる他の企業のものを使用して  送られてくるものが散見されます。  今回ご紹介するメールも、自身を『Amazon』と称しているのにそのメールアドレスの  ドメインがカタログ通販の大手企業『セシール』のものが使われています。     こんなのは、少し知識があれば小学生でも判断できる詐欺メールです。  当然詐欺師自身のメールアドレスなんて使えるはずもありませんが、本当は騙すつもりは無く  ただ単に愉快犯による迷惑メールではないかとも思えてしまいます。  では今回も寸劇からどうぞ~     あっ、Amazonからのメールだ。  なになに、プライムの支払い方法に問題が発生したって?  プライムが使えないと困るじゃん。  映画も音楽も読書もできないし大好きなボクシングだって  見られないよ…トホホ  急いで更新の手続きをしないと!  ここにあるリンクへ繋げば良いのかな?         え~えっ!  私も韓ドラ見れなくなるから困るわ!  それにショッピングだって送料掛かってくるし…  あなた、早く更新手続き終わらせて!!         ちょっと待った!  慌てないでください、これ、詐欺メールかもしれないですよ。  慌てさせるのは詐欺師の常套手段ですからね!  まずこのメール、Amazonからだという証拠ありますか?         う~ん…どうなんだろうか?  Amazonって書いてあるしなぁ…  でも言われてみれば確たる証拠ってのは無いわな。         そうでしょ?  よく見てくださいよ差出人のメールアドレス。  いつもお父さんの所にきているAmazonのメールアドレスと  違うでしょ?         ん~、確かにそうよね。  アッ!私このアドレス見たことあるような…  そうよ!いつも使ってる通販の『セシール』さんの  メールアドレスと同じだわ。  ねえねえHeartさん、このメールについて解説してくれない?         よく気が付きましたね!  そうなんです、この差出人Amazonを名乗っておきながら  使っているメールアドレスが通販大手の『セシール』さんの  ドメイン(@より後ろ)なんですよ。  まさかセシールさんが商売敵のAmazonのメール送信代行なんて  するはずも無いのでこのメールアドレスはウソで偽装です。  Amazonの詐欺メールの解説なんてもううんざりですけど  奥さんの願いとあっちゃ放っておけないのでやっちゃいますか!(笑)     では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう!  まずはプロパティーから見ていきます。         件名は『[spam] Amazonプライム会員様への重要なお知らせ』  ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。  この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。  このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている  ものは全て迷惑メールと判断されたもの。  うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと  否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。  差出人は『”Amazon.co.jp” <ndelacruz@mp.cecile.co.jp>』  皆さんはご存じでしょうか?  この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。  ですから、ここは信用できない部分です。  『Grupo』さんでこのドメインについて検索すると、やっぱり(株)セシールさんが  登録したドメインでした。       中国四川省から発信 では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか!  まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。  私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。     | Received:『 from mp.cecile.co.jp (unknown [112.194.90.104])』 |       ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので  このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。  ここでもセシールのドメインを使っていますね。  そんなのすぐに見破れるのに…  末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や  電話番号で同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。  因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て  分かり易くしたものがドメインと呼ばれるものです。  ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが  末尾のIPアドレスは  送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。  このIPアドレスが差出人のメールアドレスのドメインに割当てられているものと一致すれば  メールアドレスの偽装は無かったことが証明されますが、そうでない場合、特定電子メール法  違反となり処罰の対象とされます。  ※特定電子メール法違反  ・個人の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金  ・法人の場合、行為者を罰する  では、メールアドレスにあったドメイン”mp.cecile.co.jp”が差出人本人のものなのかどうかを  『WebAnalysis』さんで調べてみます。     これがドメイン”mp.cecile.co.jp”を割当てているIPアドレスの情報です。  これによると”8.23.247.244”がこのドメインを割当てているIPアドレス。  本来このIPは”Received”のIP”112.194.90.104”と同じ数字の羅列になるはずですが  それが全く異なるのでこのメールのドメインは”mp.cecile.co.jp”ではありません。  これでアドレスの偽装は確定です!  ”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で  これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。  このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を『IP調査兵団』さんで  確認してみます。     (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)  代表地点として地図に立てられたピンの位置は、中国四川省成都市  あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。  そして送信に利用されたプロバイダーも中国の『China Unicom CHINA169 Sichuan Province Network』  このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーのメールサーバー  を介して届けられたようです。    姑息にも無料のドメインを使って詐欺サイト運営 では引き続き本文。     | お客様のAmazonプライム会費のお支払い方法に関して、問題が確認されました。現在、お客様のプライム会員サービスは一時的に影響を受けております。  この問題を解決し、サービスをスムーズにご利用いただくために、お支払い情報の更新が必要です。以下の手順で更新をお願いいたします  Amazonにログインし、「アカウントサービス」にアクセスしてください。「支払い設定」を選択し、お支払い情報を確認・更新してください。  【お支払い情報の更新】  当社の公式ウェブサイトにアクセスしてください  Amazonログイン  画面に表示される指示に従い、必要な手続きを完了してください。  |       このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。  そのリンクは『Amazonログイン』って書かれたところに付けられていて  そのリンク先をコンピュータセキュリティブランドの『Norton』の  『Nortonセーフウェブレポート』で検索してみるとこのように判定されていました。     既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。  このURLで使われているドメインは”plashajp-amznot.vizvaz.com”  このドメインにまつわる情報を『Grupo』さんで取得してみます。     このドメインは、米国の『ChangeIP』が取得しているドメインです。  このChangeIPは、DDNSと言って誰でも簡単な手続きで無料のドメインを貸し出している  ホスティングサービスです。  この差出人は姑息にも無料のドメインを使って詐欺サイトを運営しているんですね。  割当てているIPアドレスは”91.92.245.98”  このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を  再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。     (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません)  代表地点として地図に立てられたピンの位置は、オランダのアムステルダム付近。  こちらもあくまで大雑把な代表地点でございます。  利用されているホスティングサービスは、カナダに拠点を置く『Limenet』  この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。  先は知れてるんであんまり行きたくはありませんが、しっかりとセキュリティーの整った  環境下で見に行ってみました。     これらの調査ではもう見飽きてしまった本物そっくりのログインページ。  ここにIDとパスワードを入力してログインボタンを押してしまうと、その情報が詐欺師に  流れてしまいます。  そして次に開いたページで個人情報を更新させると称しそれらの情報や、更にはカードの  情報まで詐取されることでしょう。    まとめ 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの  フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。  次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。  いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^;     |