ものすごく少数が対象 久しぶりに『えきねっと』絡みのフィッシング詐欺メールの話題を1つ。 今朝、このようなメールが届きました。  もちろんうちで扱っているので詐欺メールの類なのですが、よく読んでみるとこのメールの対象者は 『新幹線eチケットサービスの未使用かつ未受取のまま乗車日を過ぎたご予約の返金』が必要の方。 そんなほんの少数であろう対象者に宛てたフィッシング詐欺メールってことになります。 いつもの詐欺メールよりすごく効率が悪いのでは?って心配になってしまうのは私だけ?(笑) では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! まずはプロパティーから見ていきましょう。 件名は『[spam] 「新幹線eチケットサービス」えきねっとアカウントの自動退会処理について。メール番号:Ek2024-50397332』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”えきねっと” <admin@account148.wa8899.com>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 何と言うドメインを使っているのでしょうか? えきねっとさんオフィシャルサイトでURLを確認すれば簡単に分かりますが えきねっとさんの公式ドメインは”eki-net.com”でこのような数字が使われたドメインではありません。 送信サーバーは中国広州市の奥深い山中に では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 Received:『from mail.account148.wa8899.com (unknown [203.104.37.96])』 | ここに掲げた”Received”はこのメールが差出人から送信された後最初に通過したサーバーの情報。 すなわち差出人が使った送信サーバーの自局情報です。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 でもこの数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 では、メールアドレスにあったドメイン”account148.wa8899.com”が差出人本人のものなのか どうかを調べてみます。  これがドメイン”account148.wa8899.com”を割当てているIPアドレスの情報です。 これによると”203.104.37.96”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 もちろんこのメールはえきねっとからではないものの”Received”のIPアドレスと全く同じ数字なので このメールアドレスは送信者ご本人さんのもので間違いなさそうです。 ”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの情報で これを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を確認してみます。  地図に立てられたピンの位置は、中国広州市の奥深い山中にある『小楼鎮(Xiaolou)』 送信に利用されたのは、『Fuzhou』と言うプロバイダーです。 このメールは、この付近に設置されたメールサーバーを介して私に届けられたようです。 Chromeではしっかりとブロック済み では引き続き本文。 平素、「えきねっと」をご利用いただきまして誠にありがとうございます。 新幹線eチケットサービスの取扱区間の変更や未使用予約の自動払戻しに関する取扱い変更に伴い、「JR券申込サービスに関する規約」を一部改正いたします。 ・新幹線eチケットサービスの未使用かつ未受取のまま乗車日を過ぎたご予約の返金の取扱いにつきまして、2024年3月22日乗車分のご予約より返金の取扱いをいたしません。ご利用されないご予約は、お客さまご自身で払戻操作をしていただきますようお願い申し上げます。 ⇒ログインはこちら My JR-EAST I Dでログイン ※えきねっとトップページ右上のログインボタンよりログインしてください。 なお、アカウントが退会処理された場合も、新たにアカウント登録(無料登録)していた だくことですぐに「えきねっと」をご利用いただくことができますので、今後もご愛顧いた だけますようよろしくお願いいたします。 | このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『My JR-EAST I Dでログイン』って書かれたところに付けられていて、 そのリンク先のURLとトレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での 危険度評価がこちらです。  おや?『未評価』とされていますね。 新しすぎてまだ評価の対象にされていなうようです。 早急に評価を変更していただけるように私から申請しておきます。 このURLで使われているドメインは”account.tu6677.com” このドメインにまつわる情報を取得してみます。  このドメインを割当てているIPアドレスは”104.21.43.138” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を確認してみます。  地図に立てられたピンの位置は、アメリカ西海岸に位置する『サンフランシスコ』近郊。 地図写真にはMLBサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地球場の『オラクル・パーク』が見えています。 利用されているホスティングサービスは『Cloudflare』 この辺りに設置されたウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは構築されているようです。 トレンドマイクロの『サイトセーフティーセンター』での危険度評価からすると、リンク先の 詐欺サイトは、どこからもブロックされることなく無防備な状態で放置されていると思われます。 そんなサイトに、調査を目的で安全な方法を利用して訪れてみることにします。 なんだ、Googleでは既にお見通しのようで真っ赤な画面でサイトはブロックされました。  安全では無いとされるページに敢えて乗り込んでみます! 以前何度も見たことのある新鮮味の無い『えきねっと』の本物そっくりの偽サイトです。  ここにIDとパスワードを入力してログインボタンを押してしまうと、その情報が詐欺師に流れてしまいます。 そして次に開いたページで個人情報を更新させると称しそれらの情報や、更にはカードの情報まで 詐取されることでしょう。 『My JR-EAST ID』廃止にまつわる怖わぁ~いお話 このメールのリンクボタンに書かれていた『My JR-EAST ID』は、JR東日本の複数の連携サービスに対して 一つのIDでログインできるようにするサービスですが、調べたところによるとこのサービスは2024年9月末で 廃止になってしまい、各サービスごと別々のIDでのログインするように変更されるとのこと。 色々な詐欺メールの調査している身にとってこのような転換期は、便乗詐欺師の格好のネタとされるのではと 今から不安で仕方ありません。 今後しばらくはこの『My JR-EAST ID』に関するメールには注意が必要ですね。 まとめ 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |