あからさまに中国のドメイン いつもご覧くださりありがとうございます! 今日もこちらの話題から! これは三井住友カードの名を騙るフィッシング詐欺メールです。 同じ件名で内容が異なるものも確認されていますのでとにかくこの件名のメールは要注意です! では、このメールを解体し詳しく見ていきましょう! 三井住友カードからメールが来ているわ、なにかしら? ふむふむ… ええ!第三社による不正登録ですって!? WEBサービスってVpassのことかしら… 不安だからリンクを辿って再登録した方が良いのかしら… 奥さん、リンクを辿ってはだめですよ! これは立派なフィッシング詐欺メールで カード情報を盗み取られる危険性があります。 じゃ、簡単に説明してみましょう! まず差出人のメールアドレスに着目してください。 この三井住友のオフィシャルサイトのQ&Aに書かれている通り contact.vpass.ne.jp vpass.ne.jp mail.vpass.ne.jp smbc-card.com prepaid.smbc-card.com smbcgroup-point.jp otp-auth.net が三井住友カードが利用するドメイン。 でもこのメールの差出人のアドレスのドメインは”paimi27.cn”と この一覧にはありませんよね! それにこのドメインは”.cn”が使われているので中国の物です。 あら、そう思って見てみるとこのメールの日本語ちょっとおかしいわね。 今回は時間があるので少し深堀してみましょうか! まずはプロパティーから見ていきます。 件名は『[spam] <重要>【三井住友カード】使用制限のお知らせです』 ご承知の通り件名欄は、差出人が書き込むものですからいくらでも適当に記入できます。 この件名には”[spam]”とスタンプが付けられているので迷惑メールの類です。 このスタンプはスパムスタンプと呼ばれるサーバーからの注意喚起で、これが付いている ものは全て迷惑メールと判断されたもの。 うちのサーバーの場合注意喚起だけですが、例えばGoogleのGmailサーバーの場合だと 否応なしに『迷惑メール』フォルダーに勝手に保存されるような仕組みもあります。 差出人は 『”SMBC” <info@paimi27.cn>』 皆さんはご存じでしょうか? この差出人欄は完全に自己申告制で、誰でもウソが書けるフィールド。 ですから、ここは信用できない部分です。 先に書いた通りこのドメインは三井住友カードさんのものではありません。 一般的に三井住友カードさんが利用するドメインは”vpass.ne.jp”です。 どう間違っても”.cn”なんて中国に割当てられた国別ドメインを使うはずがありません! ん?ワードサラダ?? このメール、ちょっと気になったので表示形式を通常のHTMLからTEXT形式に切り替えてみました。 すると赤で囲った部分にHTMLでは記載の無かった全くこのメールには関係の無い部分が炙り出しのように 現れてきました。 これはワードサラダでしょうか? 本メールの内容には全く関係の無い内容です。 もしかして我々受信者を試しているのかも知れませんね! 因みにワードサラダとは、HTMLでは見えない部分にメール本文には全く関係ない言葉や 記号、数字等を並べ立てて受信サーバーに備わっている悪意のあるメールを振り分ける スパムフィルターを混乱させて通過させようとする試みのことを言います。 発信元は香港 では、このメールが悪意のあるメールであることを立証していきましょうか! まず、このメールのヘッダーソースにある”Received”を確認し調査してみます。 私が愛用のThunderbirdの場合、『表示(V)』⇒『メッセージのソース(O)』と進むと見られますよ。 ここに掲げた”Received”は、ヘッダー内に複数ある”Received”の中で時系列が一番古いもので このメールを差出したデバイスの情報と最初に通過したサーバーの情報が刻み込まれています。 末尾の4つに区切られた数字の集まりはIPアドレスと呼ばれるいわばインターネット上の住所や電話番号で 同じ数字の集まりは世界中に1つしかありません。 因みに、この数字の集まりじゃあまりにも煩雑でわかりにくいので、それに文字を割り当て分かり易くした ものがドメインと呼ばれるものです。 ”Received”の前半のドメイン部分は、往々にして偽装されていることが多いものですが、末尾のIPアドレスは 送信者のデバイスに割当てられたもので偽装することができません。 では、メールアドレスにあったドメイン”paimi27.cn”が差出人本人のものなのかどうかを 『Grupo』さんで調べてみます。 これがドメイン”paimi27.cn”の登録情報です。 これによると”103.106.188.148”がこのドメインを割当てているIPアドレス。 もちろんこのメールの差出人は偽物ですが”Received”のIPアドレスと全く 同じ数字なのでこのメールアドレスは差出人ご本人さんのもので間違いなさそうです。 ”Received”に記載されているIPアドレスは、差出人が利用したメールサーバーの 情報でこれを紐解けば差出人の素性が見えてきます。 このIPアドレスを元に送信に使われた回線情報とその割り当て地を 『IP調査兵団』さんで確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 代表地点として地図に立てられたピンの位置は、香港の上環(Sheung Wan)付近。 あくまで大雑把な代表地点なのをお忘れなく。 そして送信に利用されたプロバイダーは『High Family Technology Co., Limited』 このメールは、この付近に設置されたデバイスから発信され、このプロバイダーの メールサーバーを介して私に届けられたようです。 本物そっくりだけど情報の古い詐欺サイト では引き続き本文。 このメールは詐欺メールですから詐欺サイトへのリンクが付けられています。 そのリンクは『ログイン』って書かれたところに付けられていて そのリンク先をコンピュータセキュリティブランドの『Norton』の『Nortonセーフウェブレポート』で 検索してみるとこのように判定されていました。 既に『フィッシングサイト』としてしっかりブラックリストに登録済みですね。 このURLで使われているドメインは”vtandsons.com”とこれまた三井住友カードさんのものではありません。 このドメインにまつわる情報を『WebAnalysis』さんで取得してみます。 このドメインを割当てているIPアドレスは”107.173.35.129” このIPアドレスを元にサイト運営に利用されているホスティングサービスとその割り当て地を 再び『IP調査兵団』さんで確認してみます。 (※IPアドレスから導き出された位置情報は、必ずしもそれほど正確ではありません) 代表地点として地図に立てられたピンの位置は、米国のサンタクララ付近。 こちらもあくまで大雑把な代表地点でございます。 利用されているホスティングサービスはカナダに拠点を置く『HostPapa』 この辺りに設置されたHostPapaのウェブサーバーに、リンク先の詐欺サイトは 構築されているようです。 危険だと聞かされると余計に見に行きたくなるのが人間のサガ…(;^_^A それを承知で、しっかりとセキュリティーの整った環境下で見に行ってみました。 開いたのは三井住友カードの会員専用Webサイト『Vpass』にそっくりなページ。 でも残念ながら『重要なお知らせ』の日付がかなり古いですね。 ここにIDとパスワードを入力してログインボタンを押してしまうと まずその情報が詐欺師に流れてしまいます。 そして次に開いたページで個人情報を更新させると称しそれらの情報や 更にはカードの情報まで詐取されることでしょう。 まとめ 恐ろしいことに、今、こうしている間にも大量のフィッシング詐欺メールが発信されたくさんの フィッシング詐欺サイトが作られ消滅していきます。 次から次に新種のメールが届くので常に意識して被害に遭わないようご注意ください。 いつものことながら、誤字・脱字・意味不明がありましたらお許しください(^-^; |