『建築図面』の変革を語る件(1)

『建築図面』の変革を語る件(1)

今回と次回ちょっとCADについての
うんちくを語ってみます。
先回同様ご興味のない方すいません…
少し読んでみたいという奇特な方、
長くなりますが是非最後までお付き合いください。


トレペからCADへ

先回の記事に書いた通り毎日建築設備の施工図をCADで作図する仕事をしています。
1995年ですからもう20年以上前からずっと。
野茂英雄が大リーグへ入団し、あのオウム真理教がサリン事件を起こした年ですからずいぶん昔の遠い過去の事ですね…
当時はWindows95が発表され各ベンダーがこぞってWindows対応のCADを発表していました。我々が描く図面の大きさは最大でA1サイズ(新聞見開き程度)
現場ではこれを紙に印刷し監督や職人たちが日夜持ち歩いて作業を行い建物を構築していきます。
その昔、CADが世に出る前は、ドラフターと呼ばれる定規を使い図板(木の板)にA1サイズのトレペ(トレッシングペーパー)を貼付け、1枚1枚来る日も来る日も右腕と手のひらを真っ黒にして描いていたものです。
それが25年ほど前位だったかなCADが世に出始めます。

初期はA1サイズが1つのファイル基準だった

その頃CAD図面はそれまでドラフターで使われたサイズのA1やA2を基準にし紙図面と同じ感覚でそれを1つの独立したファイルとして保存していました。(だから今でもファイルを1枚2枚と数える人もいます)
施工図の基準尺度は通常1/30~1/50、物件が大きくなれば建物がA1サイズ1枚に入りきらない場合も当然出てきます。
その場合はA1に入りきるよう何枚かに分割し分割した物をそれぞれ1個のファイルとして保存しますので建物がA1サイズで2分割になるのならファイルは2個、4分割なら4個となり、これが複数階の建物なら階数分だけ倍増します。例:図Aは某建築物の平面図です。
この建物の場合1/50の尺度でA1サイズ1枚には入りません。
昔は、図Bのように赤線部分で4つに分割し、それぞれ1個のファイルとし図面を作りました。
この建物が地上2階建てならこの建物の図面ファイルの合計は8個となります。
これが建築CAD初期時代の当たり前でした。

図A

図B(見難いですが赤線が分割位置)

1フロアーを1ファイルで扱う

それから十数年が経ち少しずつパソコン(以降マシン)も進化し能力も向上してくると1フロアを分割せず全体を描き、印刷する際だけ仮想的に画面上で分割する「モデルとレイアウト」と言う機能が追加されてきます。
これは1フロア全体を描いた元図面をモデルと呼び、これを基準サイズ、例えばA1に入るような大きさにつに分割したレイアウトと呼ばれる画像のようなものを図Cのように仮想的に表現するものです。

図C(レイアウトに図枠入りで4分割を表現)

それぞれに図枠が入っているので理解できると思います。
図Cの場合は1つのレイアウトに全部の分割図が見えているのでレイアウト上の平面的な縦や横のつながりが確認できます
一般的なCADなら印刷する範囲を決められるので、このように1つのレイアウトに4つの図面が表現されていてもそれぞれ1枚の図面として印刷することは可能です。
但し、印刷するコマンド操作の作業は各1枚ごとになるので分割数が増えると印刷するのに手間がかかります。
また、互換の無い別のCADデーターを渡す際はこのままの状態を1枚として出力することになります。

またこれとは別に下の図Dのようにそれぞれ基準サイズの図面を1つのレイアウトとして扱うこともできます。
(この現場の場合はレイアウトが分割の数だけ必要になります)

図D

この場合は図Cと違って1つのレイアウトに1つの図面しか見られないので平面的な縦や横のつながりは確認できないので必要な時はモデルに戻って確認する必要があります。
但し、レイアウトの数は増えるのですが分割図を一括して連続印刷する場合に便利。(CADの機能によりますが…)
それに、複数のレイアウト一度にファイル変換出力することもできるので図Cとは違って互換の無いCADにデーターを出力場合など分割数の多い場合は手数も減るのでかなり便利です。

以前の基準サイズごとにファイルを作っていた際1つ1つのファイルサイズは大しておおきくありませんでしたが、全体を1つのファイルで管理するようになるので当然ながらファイルサイズは大きくなりCADも元よりマシンの処理能力もそれなりに必要となってくるのと同時にオペレーターのスキルも必要となります。

この後、近年更にファイルサイズが大きくなる出来事が起こります。

それは、次回書いてみようと思います。
誤字乱筆な上、長くなりましたが最後までお付き合いくださりありがとうございます。
次回、お楽しみに~

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